カメストーン


 書斎派というのか出不精といおうか、引きこもり系の私が四天王寺に通うようになって、生活スタイルが一変しました。いまや、すっかりワイルドなアウトドア派です。歩いて30分くらいな場所にこんなワンダーランドがあったとは!“東大もと暮らし”とはこのことです。広大な敷地に堂塔史跡がひしめいています。お釈迦様の足跡もあれば源義経が鎧を掛けた松の木もあります。猿回しを見たり法話を聴いたり写経をしたり…豪快に遊んでおります。ディズニーランドというのは行ったことが無いのですが四天王寺より楽しいとは想像できません。ちなみに千四百年前に公人中の公人聖徳太子が建てたという歴史があり境内は24時間出入り自由なので、公共施設か公園のように思われているのですが、実は四天王寺は私有地です。寺内にある秋野暢子が卒業した名門四天王寺高校も私学です。

 今年は四天王寺名物古本市にも行ってきました。タイガーマスク研究会の参考資料として買った、昭和46年の週刊少年マガジンの感想を書いておきます。
 巻頭カラー特集は大山倍達と「最強!大山空手の秘密」!少女アイドルのグラビアが巻頭を飾る現在の週刊少年マガジンとの連続性は一点も見出せません。「タイガーマスク」は講談社月刊ぼくらで連載が開始されたのですが、週刊ぼくらマガジンに移行し、休刊統合にともない週刊少年マガジンに吸収されます。かつては「ぼくら」の顔で、カラー扉絵に二色刷りだったのですが、少年マガジンに来てからは肩身がせまそうです。この号は、悪役ワールドリーグ戦に優勝するも心身ともにぼろぼろになり、ラスベガスのネオンの中を「つかれた……」とつぶやいて帰っていく後ろ姿がラストシーンです。この後、帰国し、大阪府立体育館の裏道でダンプにはねられて死にます。
「タイガーマスク」を吸収したことで週刊少年マガジンは梶原一騎作品を三本同時連載することになります。他の二本は「あしたのジョー」と「空手バカ一代」。「あしたのジョー」はテレビ局主催のパーティの場面。ここにホセ・メンドーサが紛れ込んでいました。「グッドラック」と言ってジョーの肩に手をかけたら、あまりの握力に跡が残っていたという、あのエピソードにつながります。「空手バカ一代」は大山倍達とピストン堀口がプレミアムなスパーリングをする回。大山倍達とピストン堀口に技術交換を伴う交流があったことは事実。漫画では素人のように言っていますが、実は大山倍達は空手を習うより前にボクシングをやっていました。柔道も三段です。しかし、空手一筋のバカではなく器用な総合格闘家にしてしまったならタイトルに掲げたテーマが薄れます。

 連載漫画の一番後ろに石森章太郎「仮面ライダー」があってびっくりしました。トクをした気分もあったのですが、表紙にタイトルが載っていないことに不審をおぼえました。肩身のせまそうな「タイガーマスク」よりもひっそりとあるのです。ぼくらマガジンが休刊した理由は、仮面ライダーにタイガーマスクが人気を持っていかれたことでした。講談社は仮面ライダー専門誌テレビマガジンを創刊するのですが、石森章太郎「仮面ライダー」の連載は、テレビマガジンに行かず、「タイガーマスク」とともに週刊少年マガジンに移っていたのでした。この号の回は、一文字隼人が日の下電子の謎を探っているうちにショッカーの真相にたどりつく最終回目前のエピソードです。テレビの仮面ライダーが社会現象になるほどの話題になっていた頃、石森章太郎先生の漫画版仮面ライダーは、あまりにも人気が無かったのです。仮面ライダーファンの私も聞いたことがありませんでした。言ってはいけないタブーだったのでしょうか。

 四天王寺前夕陽丘駅のゆるキャラは亀和尚です。生惠幸子師匠のツッコミは「なにゆーてんのドロガメー!四天王寺に行ったらなんぼでもおる」でした。本当に昔、私は四天王寺の亀池から亀を一匹盗んだことがあります。そんな私から四天王寺さんにお願いがあります。亀池の亀を日本種と外来種に別けて、どちらかを西側の丸池に移してもらえないでしょうか?日本産の亀は絶滅が危惧されています。重ねてお願いします。グッドラック。

レインボーマン(アニメ版)


 昭和58年度版テレビヒーロー大百科からスーパーメジャーヒーロー宇宙刑事シャリバンを描いた後で思い直しました。怪獣ハウスに載せるイラストは、陽の当たらなかった者でなくてはならないと。すなわちアニメ版レインボーマンこそ平成最後の年に誰かが思い出して供養してやらねばならなかったのでした。
 アニメ版レインボーマンは失敗作でした。商品展開を考えて巨大ロボットを登場させたことが間違いでした。ロボットで決着をつけるならレインボーマンに変身する理由が半分無くなり、物語の説得力が失われます。なによりも、毎日放送は日曜日の午後に「超時空要塞マクロス」と一緒に放映したのです。視聴者は同系統のロボットアニメとして比較せざるを得ません。一目瞭然と言うより同じ時代の新作アニメとは思えないほどの技術の差がありました。「マクロス」のオープニング。エレベーターで格納庫から甲板に上がってきて、誘導員の指示で飛び立つバルキリーの緻密な作画に心を鷲掴みにされます。バルキリーは合体ロボットではなく一体変型タイプです。当時現役の実機F-14そのままの飛行形態から、ガラッとひっくり返って戦闘ロボットになります。これを完全再現したおもちゃが発売されていました。どうなっているのか知りたくて、私は春休みにアルバイトをして手にいれました。合体方式でもなくパーツの付け替えもなく、しかも、飛行形態とロボット形態どちらもかっこいいという、すばらしいデザイン、すごい設計でした。前回、シャリバンをほめちぎりましたが、グランドバースから変型するバトルバースは不格好でした。戦闘ロボットというより作業機械を意識したといいますが、そういう運用描写は本編中に無かったと思います。同時期、機関車からロボットに一体変型する銀河疾風サスライガーというのがありました。アニメではかっこよかったのですが、おもちゃにしたとき再現しきれずバランスの悪い物になっていて買う気が起こりませんでした。

 初めてアルバイトして買った完全変型バルキリーは、いまもこの写真のような状態で保管しています。では、それ以前に欲しいおもちゃがあったらどうしていたかというと、木を削って自作していました。サテライザー、大空魔竜、マグマライザー、ウルトラホーク1号、ビートル、ウルトリア……。その時点における技術力を傾注して作り上げた自信作ではあったのですが、家を出るときに湮滅しました。これを子孫に見られたら恥ずかしいと思ったのです。
 私の生家に、ものすごく精巧な船の木製模型がありました。作ったのはおばあちゃんの妹の子供で、戦中戦後のある時期、うちに住んでいました。健治郎さんという人で、いとこである父の口からも「けんちゃん」という名前がよく出てきました。もちろん、お会いしたこともあります。高価なプラモデルをお土産に持ってこられました。小学生の頃の写真を見ると、丸顔でかわいくて賢そうな子供です。その人が私と同じ年頃に自作したという船の完成度が圧倒的だったのです。船体も完全に対称で表面も磨き上げられていました。この作品と較べられたら私の作ったものはゴミでしかなかったのです。
 さて……その健治郎さんとは別に、もう一人、おばあちゃんの弟の子供という人もいたらしいのです。この人は出来が悪く寝小便ばかりするので、おばあちゃんに怒られてばかりでした。ひねくれた性格がさらに歪み、家を飛び出しそのまま行方不明になってしまいました。名前も覚えられておらず、おばあちゃんも、弟武一さんの子供だからと「武一の子」という記憶しか残っていません。ある宗教に、その人の生まれ変わりが私だと告げられました。問題児になったのは、その子のたたりだと告げられ、怖くなった母がお祓いをしてもらったという一幕がありました。
 アニメ版レインボーマンの話が、いつのまにか私の前世の話になっていました。

宇宙刑事シャリバン


 漸く、勁文社「テレビヒーロー大百科」に話を戻します。その昭和58年度版。この版になってアニメ番組と実写番組が区分されました。おそらく特撮ファンの擡頭が認識されるようになったのでしょう。ただし、アニメファンの方が断然優勢です。本の前半がアニメで、実写は後半です。採り上げられる作品数もアニメが24本に対して、実写は7本。「大戦隊ゴーグルⅤ」「科学戦隊ダイナマン」「宇宙刑事ギャバン」「宇宙刑事シャリバン」「ロボット8ちゃん」「バッテンロボ丸」「魔拳カンフーチェン」これで全部です。この時代の特撮ファンに問いたい!かくも不遇な仕打ちを受けながら、君は如何なる信念で特撮ファンたらんとしたのか?
 なお24本のアニメにはロボット物だけでなく「パーマン」「ミンキーモモ」といった系統の作品も含まれています。こっちで気になるのはアニメ版「レインボーマン」。あと…「サイボット ロボッチ」。田舎の村に住む博士が造った少年ロボットの話で、あきらかに「Dr.スランプ」なのですが(ちなみに「Dr.スランプ」は何故か大百科に入っていません)、私はこの「サイボット ロボッチ」に、あの「ジャンジャジャ〜ン ボスボロットだい」の匂いも感じます。

 今回はとりあえずシャリバンを描いときました。一口メモとして、私は全身を描きたい派なのですが、宇宙刑事は腰から上だけをトリミングして、メカの細部や映り込みを描き込んだ方がかっこよくなります。
「宇宙刑事シャリバン」はかっこよさという一点で頂上を示した作品だったと思います。これを超えることができなかったために、あるいは、かっこよさとは別の価値観を模索しているうちにメタルヒーローシリーズは自滅していったのではないでしょうか。「ブラック」「RX」も同じ手法で作られたことで独自性を残しえませんでした。
 ならば、シャリバンはどうしてかっこいいのか?かっこいいとはどういうことなのか?そんな根源的なことを考えてしまいます。シャリバンのデザインはおそらく何十枚と描かれて、製作側、スポンサー側で検討が重ねられた結論で、その総意に基づいてマスクとスーツが造型されました。かっこよくて当然と言ってしまうことは容易なのですが、シャリバンの決めポーズ、四股立ちから右手を開くあの型はどこから生まれたのでしょうか。無骨なポーズがなぜかっこいいのか不可解なのです。
 なによりも不可解なのは、エンディングの謎のカットです。シャリバンが歩いてくる背後を関係ない車が横切ります。「強さは愛だ」の歌詞で言うと〽くーるしみをくーるしみをのところ。背骨がびびるほどかっこいいのです。聞くところによりますと、当然NGカットなのですが、なんか不明ながらかっこいいので使ったといいます。
 同じことを後のシリーズ「巨獣特捜ジャスピオン」のエンディングで意図的にやられるですが、柳の下の泥鰌の古諺のまま、かっこいいという感覚は得られませんでした。かっこよさとは何か?計算では出せないということまでは言えそうです。

マリーキック


メガロマンの話は前回、あるいは前々回で終っているはずだったのですが、マリファンという方に、ローズマリーが黒星族と戦っている場面のイラストが欲しいというリクエストをいただきました。怪獣ハウスとしては、ローズマリーのイラストをもう一枚描き加えることに意義を見出せなかったのですが、続いて木戸健吾さんから「私からもお願いします」と、オトコ気に満ちた援護射撃。私もこれでなかなかオトコ気のあるやつですから、侠気には侠気で応えることにしました。与えられた画題通り、ローズマリーが黒星族を蹴り上げているの圖です。ロゼッタ星より男気を込めてマリファンさんと木戸健吾さんに捧げます。この方々が前回のイラストに寄せられたコメントも読んで下さい。いまなお、メガロマンを忘れない人がいるのです!至高のエンターティナー藤山寛美が強行したリクエスト狂言のひそみにならって、私も「リクエスト特撮イラスト」を演目に追加しようかとも思っています。

 それにしても…メガロマンに関しては言い尽くしました。もう書くことがありません…駅のホームで、都会に出て行く同級生を、田舎に左遷される上司を、もしくは出征する兵士を、はたまた「東京で見る雪はこれが最後」と寂しげに笑う君と、握手して、万歳して、涙を流したと思ったら、名残り雪が思わぬドカ雪になって、よもやの遅延。運転再開までの時間をどうやってもたせたらよいかという状況に似た心境です。今度こそ、さよならメガロマン!さよならローズマリー‼

ローズマリー


 メガロマンの話は前回で終るつもりだったのですが、なんとなくメガロマンがもう一度観たくなりました。十数年前、CSで放送されたものを録画したビデオテープを再生するため、日本橋へ行き、ポンコツデッキを買ってきました。5900円でした。
 まだ最初の数話しか観ていませんが、ひとつ分かったことがあります。メガロマンといえば、あのお母さんが印象に残っていると思ったら、それどころか、お母さんこそが物語の中心だったのです。ロゼッタ星へ飛んできた宇宙飛行士獅子堂剛(川津祐介)と結婚し、ふたごの子供たかし・ひろしを産んだことが全ての始まりです。対立する部族“黒星族”との争いに敗れ、夫は殺され、ふたごの片方ひろしを奪われ、自分はたかしを連れて地球へ亡命しました。なお、こっちの部族名は“たてがみ族”です。
 黒星族総統に育てられたひろしは、キャプテンダガーと名を変え、怪獣軍団を率いて地球に攻撃を仕掛けてきます。お母さんは、たかしをメガロマンにしてこれを迎え撃つのです。地球で成長したたかしは、自分がメガロマンに変身する理由や、その能力を知りません。戦闘が始まると、エプロンにカーディガンの普通のお母さんから、このイラストのようなコスチュームにチェンジし、セコンドのように口うるさく指示を飛ばします。(最も有名なお母さんウルトラの母でも、ここまで口出ししません。)このコスチュームは戦闘服というより民族衣裳だと思って下さい。結婚式に親類のばあさんがたが留袖でずらっと居並ぶ感覚です。一族の一大事に際して覚悟を示す、あるいは覚悟を促す正装なのです。
 たてがみ族の男子の使命は戦争。その母親の役割は息子を強い戦士に育て上げること。お母さんは、たかしを地球の拳法家の道場に預け、ひたすら武技を鍛錬させてきました。我が子を怪獣の前に立たせることに躊躇のないこの母親を鬼とは呼ぶなかれ。この母は“たてがみ族”なのです。

 ここで唐突に好き!好き‼魔女先生こと月ひかる先生の名前を出します。5900円のデッキを買ったついでに「好き!好き‼魔女先生」のテープも回したのです。ソラリスの時間さんの記事を読んで、なんとなくこっちも観たくなったのです。その第4話の授業中、黒板に世界地図を掲示した月先生は、「国境があるのは地球だけです。アンドロメダ星雲アルファー星ならアルファー人。M78星雲ウルトラ星ならウルトラ人。もし、宇宙人に何人かと訊かれたら日本人ではなく地球人と答えましょう」と言います。その壮大な気宇や良しと讃えたいところですが、人類が地球の各地でどれほど多彩な習俗信条を固持して生きているか把握されているのでしょうか?日本の常識では理解できない部族民族が生活しています。アイルランドの人はイギリスへの帰属意識は希薄だし、そのイギリスもヨーロッパ連合から離脱しつつあります。EUの利益よりも由緒あるフィッツジェラルド家の門閥が優先するのです。日本の小学生と同じ意識で地球人という感覚は無いと思います。
 アイルランドの歴史にくらべれば日本史は単調ですが、2677年125代の皇統を辿れば語り尽くせるものでもありません。諏訪の御柱祭などは、神道が成立する前の縄文時代に起源を持つと言われています。パンチ一発で伝統の野球部が廃部になるような現代に、死人がいくら出ても断絶しない行事があること。人命より一本の木が大切な町があること。同じ日本人でも理解し難いのですが、これは重要なことなのです。大樹を神とする原始宗教は世界中にあったのですが、キリスト教によって禁止されたのです。遺物が残っているのに、そんな信仰は無かったこととされ歴史から消されたのです。「好き!好き‼魔女先生」第4話の脚本市川森一さんはキリスト教徒でした。月先生が日教組の組合員だとしたら背後に共産思想があります。
 キリスト教や共産党の一元論で地球が統一されたとしたら、人間の自由や部族の信仰は奪われ過去の歴史は書き換えられます。おそらく数百人の特権階級によって何十億の人々が支配される世界になります。私は拒絶します。(月先生が例に挙げたウルトラ人は統一されても戦争ばかり続けているではないか!)自分が何者かと考えるときは、日本人もしくは、もっと小さい単位で規定しておいたほうがよいと思います。

 メガロマンのお母さんは、地球では獅子堂マリの通名で暮らしていますが、ロゼッタ星人としての本名はローズマリーでした。ドラマの中で呼ばれることもないし、本人も名のることがなかったので知らなかったのですが「カード図鑑メガロマン」を手に入れて判明しました。このビデオテープを見終わったら、もう二度と再び「メガロマン」を通して観る機会は無い気がします。さらばメガロマン!さらばローズマリー!たてがみ族に栄光あれかし!
プロフィール

ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

カテゴリ
リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブログランキング

FC2Blog Ranking