ゾンビロン


「メガロマン」のつづきで、今回は怪獣について書こうと思います。この作品の商標©は、じん・男組・東宝です。じんプロというのは、この後「Xボンバー」を制作する会社で、「宇宙船」Vol.4(昭和55年4月発行)に代表の池田公雄さんの写真が載っています。謹厳篤実そうな方で、写真から拝察する年齢から見て、軍役にも就いておられた世代だと思います。こんな方がどうして怪獣番組を作ろうとされたのかが、メガロマン七不思議のその三です。おそらく、それまでの怪獣ブームには関わっておられなかったのでしょう。怪獣特撮が結局もうからないことを御存知ではないようです。
 男組は、原作の雁屋哲さんの名義と思って間違いありません。同時期。池上遼一先生と少年サンデーに「男組」を連載されていました。池上遼一先生と書き流しましたが、池上先生こそ私の最も尊敬する漫画家さんでした。先生の生原稿を見せていただいたこともありました。池上先生のアシスタントになりたいなと考えたこともありましたが、この原稿を私の手垢で穢してはならないと、ついに言い出すことができませんでした。……そういえば、このことは友達にも家族にも言ったことがありませんでした。「たけし軍団に入りたい」「プロレスラーになりたい」「修学旅行を抜け出して北島三郎に弟子入りしたい」といった話の流れで「池上遼一のアシスタントになりたい」くらいのこと言ってもよかったものを…。
 そして、東宝。東宝の怪獣ドラマといわれてすぐ思いつくのが「流星人間ゾーン」と「行け!ゴッドマン」ですが、メガロマン怪獣も、この二作と共通するテイストがあります。ゾーン怪獣(恐獣)を軽量化し、ゴッドマン怪獣の“イヤな感じ”を加味したのがメガロマン怪獣の味わいです。「カード図鑑メガロマン」から三枚選んで紹介します。

 左から、シャークロン。サメがモチーフだと言うのですが、テレスドンに角をつけただけにしか見えません。背景から切り抜かれているのでわからないのですが、実物はテレスドンと同様しっぽがあります。なぜ背景が切り抜かれているかといえば、ぬいぐるみ完成直後、開米プロの敷地で撮影されたもので、納入用の軽トラ等が写り込んでいたりするからです。特撮ファンとしては、そっちの方がありがたいのですが、子供向け出版物なので夢を壊さない配慮がなされています。
 その隣がレザックス。汚物の塊にしか見えません。「怪獣」という字義には不快感とか嫌悪感が包摂されているのかも知れませんが、それでも疑問の多い姿です。
 その右がパラボラン。名前から察して機械的な外見にしたかったのだと思われますが、ぬいぐるみの作りが粗いので、無機質さを表現できていません。写真のトリミングが微妙に変なのは、おそらくホリゾントが切れて照明機材が入っていたからだと考えられます。
 今回のイラストに選んだのが、ゾンビロン。映りの悪いテレビで見たときびっくりしました。素っ裸に墨を塗って出てきたのかと思ったのでした。ナマハゲ以下、これを怪獣として見ろというのか?!しかし、安心してください。メガロマンカードのスチール写真でよく見たら黒いタイツを着ていました。ただし、このゾンビロン、スイドラスの牙等を付け替えて改造され、ザターンという別の怪獣として再使用されます。メガロマン七不思議のその四は、東宝という怪獣界の成田屋宗家の商標を冠しながら、どうして怪獣がこうも残念なのかということです。

 しかし、ことわっておきます。世に女好きと呼ばれる人が容姿や年齢を価値基準にしていないように、怪獣好きは、ぬいぐるみの出来映えやデザインがまずいほど愛着をそそられるのです。そのうち、史上最低の怪獣群、ゴッドマン怪獣の特集をやりたいとも思っています。    つづく

カマギドン


 ウルトラマンがアニメになり、ガンダムがスタートした特撮大ピンチの昭和54年。忘れてはならない怪獣番組がありました。思い出さなかったら忘れそうになる怪獣ドラマ「メガロマン」。今回のお題は「カード図鑑 メガロマン」(昭和54年・朝日ソノラマ)。私の好きなブログ「ソラリスの時間」に出ていた一枚の写真をたよりに四天王寺の古物市を探して手に入れました。貼り函こそ無くなっているもののカードは全部そろっています。メガロマン怪獣のディテールがわかるスチール写真は貴重です。値段を尋ねたら4000円と言われました。店主が女の人だったので、あまく見て話したら、「メガロマン」の概要を把握されていました。そうなると怪獣好き相手に4000円は高くもなく安くもありません。むこうの方が一枚上手でした。
 アニメブームの反作用のように、日本特撮を再評価する動きが昭和53年頃に起こったのですが、思えばそれはゴジラとウルトラマンの復活を待望する活動でした。時代の空気を読み切れずに登場したメガロマンは、目論んだよりも歓迎されなかったのでした。手持ちの資料も本当に少ないので、私のメガロマン観を書いてお茶を濁しておきます。
 おそらくテレビ先行企画だと考えられますが、原作が雁屋哲さんになっています。少年サンデーに「男組」を書かれていた頃なのでしょうか、この時期の雁屋哲さんは料理より拳法に興味があったようです。メガロマンも宇宙拳法で戦います。そうなると宇宙空手のウルトラマンレオと対決させたくなりますが、レオの身長は52m。メガロマンはなんと150m!試合が成立しません。
 メガロマンに変身するのは地球人の父とロゼッタ星人の母の間に生まれた獅子堂たかし。演じるのは北詰優基という俳優なのですが、ものすごい美男子です。キムタクよりかっこいい。これほどの人がなぜ有名にならなかったのかがメガロマン七不思議その一です。ふたごの弟・ひろしももちろん北詰優基が演じています。獅子堂たかし・ひろし…大金持ちのおぼっちゃんみたいな名前です(すまんのう〜)。
 ヒロインとして十代の娘が存在し、アクションもこなして活躍するのですが、それよりも、獅子堂たかしのお母さんの方が断然魅力的なのです。宇宙人という設定に負けない美女なのでした。メガロマン七不思議その二は、なぜ若いヒロインより圧倒的にお母さんに魅かれるのかということでした。「カード図鑑 メガロマン」にも単体カードが二枚あります。なお、お父さんは川津祐介。他に、穂積ぺぺ、黒部進がレギュラーで出ています。黒部の役はベーロックという悪者。名前を逆さにしています。

 このブログのどこかで、私が思う一番かっこいい主題歌は「宇宙の騎士テッカマン」だと書きましたが、エンディングで一番かっこいいのはメガロマン「我が心のロゼッタ星」だと思い続けています。     つづく

バトルフィーバーJ


「最新版テレビヒーロー大百科」(昭和54年・勁文社)。「ウルトラQ」より前の作品をオミットして前冊より内容の薄い本になっています。今回の表紙はすべて当時現役のヒーローです。メインは未来ロボ ダルタニアス。裏表紙も全面、ダルタニアスの超合金とポピニカの広告。ウルトラマンジョーニアス、009(新作)、ゼンダマン。そして、ガンダム…放送開始当時にどれくらいの人気があったのかはわからないのですが、あつかわれ方がダルタニアスより小さいのは、たぶんスポンサーが弱かったからでしょう。なお、「機動戦士ガンダム」はもちろん、「ザウルトラマン」「サイボーグ009(新)」も日本サンライズの仕事です。ウルトラマンすらアニメになってしまう時代に、この表紙の中で唯一の実写が「バトルフィーバーJ」。若い特撮ファンと特撮に理解の無い人に、是非観てほしいのが、この「B.F.J」です。東映作品ではありますが、これは戦隊シリーズの一本ではありません。また「ゴレンジャー」のリメイクでもありません。あるいは「スパイダーマン」の続編でもありません。てさぐり状態で企画された冒険的意欲作でした。斬新なヒーロードラマが誕生する瞬間を追体験してください。

 この本においても、まだ実写とアニメは峻別されておらず、テレビヒーローというカテゴリーに一括されています。光情報になって網膜から入り、柔軟な子供の脳の中で実態化するとき、アニメと実写の差異は無意味になるのかも知れません。それでも、特撮ファンとしての私は、ものわかりのよい男ではないのです。
 子供向けコンテンツを充実させるため、東映は日本動画を買収して東映動画を創設したのですが、ときの大川博社長には、いま一つの目論見がありました。日本人の顔と肉体は世界に通用しないが、漫画映画ならその障壁を超えることができると思ったのです。まこと先見の明と言うべきなのですが、ならば日本のアニメーションは最初から肉体を否定していたことになります。肉体の喪失。それは亡国の文化です。

 昨年、面白くなかったことは、せっかく怪獣映画「シン・ゴジラ」が大好評で大ヒットしていたのに、興行成績で「君の名は」が上にいたことでした。実写作品ならともかく、ぐにもつかないアニメです。もちろん観ていませんが、もれ訊くところによると、ストーリー、音楽、上映時間等々、ヒットするように計算されて実際ヒットさせたのだと云います。20世紀の国家が国民をコントロールする装置として映画を作っていた歴史を思い出しました。人間をばかにしています。

デンセンマン


 ケイブンシャ「ヒーローロボット大百科」の翌年昭和53年に出た「テレビヒーロー大百科」。表紙のメインは闘将ダイモス。そして、V3、タロウ、ジャン・クーゴ、ガッチャマン、鉄腕アトム、009。特撮ヒーローはV3とタロウだけ。時代はアニメ優位です。ただ、この時点では子供番組をアニメと実写に区分するという考え方は明確ではなかったようです。表紙の七人で放送中の現役ヒーローは闘将ダイモスとジャン・クーゴ。ジャン・クーゴとは「惑星ロボ ダンガードA」の後番組「SF西遊記スタージンガー」の主人公。宇宙の孫悟空です。この時代の子供は、堺正章の「西遊記」とドリフターズの「飛べ!孫悟空」、テレビマガジンの「ゴーゴー悟空」、そして「SF西遊記スタージンガー」と四つの西遊記を同時体験していたのです。世界は孫悟空で出来ているのかと思っていたことでしょう。

 昭和53年とは、昭和33年に「月光仮面」が始まってちょうど20年。この大百科の副題は「ヒーロー20年史」。基本データ付きの年表が載っています。これをベースにして、新作を追加したり古い作品を挿入したりして、私もヒーロー史を作成し続けています。月光仮面は鞍馬天狗を現代風にアレンジしたものですが、鞍馬天狗から月光仮面登場の間に、頭巾スタイルの剣士ヒーローがたくさんいます。快傑黒頭巾、白頭巾、紫頭巾、まだら頭巾……。あと、多いのが、まぼろし探偵型。黒シャツ、黒ズボンに、黒の簡単な仮面。近年、発見したのが「快傑ハヤブサ」。昭和24年の映画です。日本ヒーロー史の完成が私の使命だと思っています。
 ヒーローの定義の範囲をどこまで拡げるかも難題です。この「テレビヒーロー大百科」にも、“ゆかいなヒーロー”というカテゴリーが設けられていて、デンセンマン、ムキムキマン、カウンタックマン、パンツマンその他が紹介されています。デンセンマンのデザインは石森章太郎先生と云われていますが、私はデザイン画を見たことがありません。そんなこと言ったらマシンマンもブラックも石ノ森ヒーローではなくなるのですが……。デンセンマンは漫画にもなって、秋田書店の冒険王には「釣りバカ日誌」で知られる北見けんいちさんが連載されていました。この人は石森プロではなく、赤塚不二夫先生のフジオプロの人でした。
 ムキムキマンのデザインは小森和子さんと云われていますが、おばちゃまの記憶には無かったようです。「ムキムキマン体操」のレコードは文化祭のバザーでタダ同然で入手してヒーロー史用の資料として保管しています。振り付けは楳図かずお先生ということですが、これもどこまで真実なのか?ヒーロー史完成の道はけわしいのです。

18


 たまたま入手したテレビマガジン昭和50年7月号の話が長引きましたが、昭和40年代を怪獣の時代だったとするなら、昭和50年代はロボットの時代であったとは言えると思います。
 昭和52年に発行された、勁文社の「ヒーローロボット大百科」を見てみます。表紙のイラストは「全怪獣怪人大百科」でおなじみの前村教綱さん。ここに描かれているのが当時放映中のものです。
 「超電磁マシーン ボルテスⅤ」東映動画。堀江美都子の歌う主題歌とともに前作「超電磁ロボ コンバトラーV」をしのぐ支持を獲得しました。
 「惑星ロボ ダンガードA」東映動画。偉大なるマジンガーシリーズの後番組。テレビ先行企画ですが、原作を松本零士先生に依頼しています。この時期の東映動画は永井豪先生から松本零士先生に乗り換えたような感があります。
 ロボットブームというなら、東映特撮部門だって腕におぼえがあります。「ジャイアントロボ」をリメイクして「大鉄人17」を世に問うたのですが、実はロボットはロボットでも、アニメロボットに需要があったのでした。
 「合身戦隊 メカンダーロボ」。かといってアニメロボットがみな時流に乗りえたのかというと、やはり栄光なき勇者達の残骸が累々とよこたわっています。
 「ロボット110番」。半球で構成されたロボコンの体型を円筒構造にしたガンガラガンちゃん。前作を超えることはできませんでした。
 「ジェッターマルス」。清水マリさんをキャスティングしての「鉄腕アトム」のリメイク。玩具化しやすいように髪型が左右対称にデザインされました。前作を超えることはできませんでした。
 「ガンバロン」。等身大ヒーローが合体メカを呼んで巨大ロボットを操縦するという方向性は間違っていなかったかも知れません。

 この「ヒーローロボット大百科」は小学生対象ですが、なかなか良いことが書いてあります。基礎知識として、ロボットとはカレル・チャペックの1920年の戯曲「RUR」中の造語であること。映画に登場した最初のロボットは1926年ドイツで作られた「メトロポリス」のマリアだということ等。
 わが国におけるロボットの歴史としては、昭和初期の紙芝居「黄金バット」に鐵タンクなるロボットが登場するのが確認できる。また、ロボットが主人公の紙芝居として「鉄の男」という作品があること。戦前の漫画では「ハツメイ・ハッチャン」にロボットと認定できる物が描かれる。
 昭和31年「空飛ぶ円盤・恐怖の襲撃」から昭和52年「超人戦隊バラタック」まで、日本の映像作品におけるロボット史、決定版ヒーローロボット大年表は圧巻。「おそ松くん」に一回だけ出てきた、5円を入れると頭をなでてくれる“こじきロボット”まで入っています。「空飛ぶ円盤・恐怖の襲撃」が日本初のロボット登場映画であることは周知の通りですが、あのロボットにダレスという名前があることは特撮ファンでも知らない人がいます。私も古いめの特撮ファンの自負がありますが、未見不知のロボットがここに載っています。ただ、この大年表が信頼に足ると確定できるのは、ナース、キングジョー、ユートム、にせウルトラセブン、クレージーゴンは入っていますが、ウィンダムが入れられていないことです。あいつはロボットに見えますが設定では生物です。そして、ロボットとは工業製品ではなく空想の産物であることを再認識できます。

 巻末にケイブンシャ大百科シリーズの昭和52年新刊ラインナップが載っていました。大相撲大百科、野性動物大百科、自動車大百科などはまだしも…「算数パズル大百科」、これは欲しくない。
プロフィール

ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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