8マン


「宇宙船」Vol.62(平成4年11月)。「8マンーすべての寂しい夜のためにー」撮影速報。
 リム出版という書肆が、漫画「8マン」の復刻版を出したら予想以上に売れたので、そのいきおいで製作した映画。キャロル・キングのナンバーから8曲選んで、ジョー山中が歌い、それをBGMにして淡々とストーリーが進みます。
1. Down To The Darkness
2. It's To Late
3. Too Much Rain
4. Will You Love Me Tomorrow
5. I Can't Stop Thinking About You
6. Natural Woman
7. Brother Brother
8. Ain't That The Way
 あの…主題歌♫光る海、光る大空、光る大地〜は、最初にタイトルが出るところで、かすかにそれとわかるオルゴールの音が、思い出をよびさますように鳴ります。

 私論であり私感も入りますが、漫画・アニメが実写化されるときに私が重視するのは再現度です。映画「8マン」で主人公・東八郎を演じるのは宍戸開。原作に似ていません。この人は、その前年テレビドラマ「千代の富士物語」で国民栄誉賞級横綱の役をやっています。キャラクターとしても、孤独の探偵、苦悩のサイボーグの役にはふさわしくありません。宍戸開自身が、宇宙船Vol.62のインタビューでも「この役は自分ではないような気がする……」と心細いことを言っています。
 東八郎の前世=横田刑事の役はジェットマンで結城凱を演じた若松俊秀でした。どうせなら、結城凱の8マンが見たかったのですが、東八郎役に私が推薦したかったのは唐沢寿明です。ひたいの形が桑田次郎先生の描く東八郎と同じなのです。当時の唐沢寿明は何をやっていたのか?覚えておられるかたもあると思いますが、サントリーの栄養ドリンク「熱血飲料」のCFで熱血キッドなる変身ヒーローをやっていたのです。

 以下、漫画・アニメから実写になったものについて断片的に……。

 平成22年の映画「宇宙戦艦ヤマト」。キムタクの古代進はともかくとして、山崎努の沖田十三、西田敏行の徳川彦左衛門、柳葉敏郎の真田志郎、堤真一の古代守がイメージにピッタリで大喜びしたのですが、この日本製SF特撮映画の記事が宇宙船に載っていなかったのです。それより前の平成6年、やはりキムタクが特攻隊員役の戦争特撮「君を忘れない」も宇宙船に載っていませんでした。謎です。ちなみに香取慎吾の「忍者ハットリ君」、草薙剛の「日本沈没」は宇宙船に取り上げられていました。謎です。

 2年くらい前のテレビドラマ「ど根性ガエル」は評判よかったそうですが、再現度を重視する私としては不満でした。それよりも、同じくらいの時期のテレビドラマ「ハクション大魔王」は再現にこだわる誠意と熱意が感じられ高評価しました。それならば、再現度ベスト1は何やろか……と考えて、思い出したのが、ヤングジャンプの連載漫画を実写化した「押忍!空手部」(平成2年)!主人公高木の外見を松田勝がその肉体で完全再現していました。豆トピックとしては、まだ細くて若いころの彦摩呂が空手部員の役で出ています。「押忍!空手部」は漫画実写のB級グルメグランプリやあ〜。

「ベルサイユのばら」を本当にフランス人の女優で映画化したら、オスカルが女にしか見えなくて失敗したそうですが、外人の少女が演じる実写映画の「アルプスの少女ハイジ」を見たときも、ものすごい違和感を感じました。無意識下で青森県の山奥の物語くらいに思っていたのでした。私の思うハイジのイメージキャストは、スキージャンプの高梨沙羅選手です。(雪山での撮影も得意。)

バトラ


「宇宙船」Vol.61(平成4年8月)。「ゴジラvsモスラ」詳報。新怪獣はバトラ。黒い蛾です。現代の成虫蛾の口は蝶と同じくストロー状になっているか、退化して無くなっているのですが、バトラにはモスラ同様牙のついた口があります。デザインとして間違っていると思われるかも知れませんが、原始蛾には口がありました。バトラとモスラを蛾の古代種と考えるとむしろ正しいのです。問題はモスラの羽にある目玉模様で、これは蛇に擬態して天敵の鳥から身を守るためのものです。この羽の模様から推察できることは、モスラ種が乱舞していた時代に、翼長250メートルの蛾を捕食する鳥類が棲息していた可能性です。

 登場怪獣はモスラとバトラとゴジラなのですが、人間側の出演者も見ていきます。
 主人公を演じたのは別所哲也。この人は後に「ULTRAMAN」でウルトラマン・ザ・ネクストに変身します。ほかに代表作も無さそうなので、特撮俳優の列に加えてもよいかと思います。
 小林聡美。怪獣映画の人間側ドラマの中心になるのは、昭和29年の「ゴジラ」以来、だいたい結婚前の男女なのですが、別所哲也と小林聡美は離婚した元夫婦。ゴジラvsモスラ騒動でやけぼっくいに火がつき、状況の沈静後、元のさやにおさまるのです。二人の間には女の子がいて、家族円満めでたしめでたしという結末でした。ちょっと珍しいかと思いましたが、ハリウッド映画の風潮を取り入れただけでした。アメリカのファミリー映画によくあるパターンらしいのですが、寡聞にして私の周辺では離婚して復縁したという話を聞きません。(そんなこと言うなら怪獣が出て暴れたという話も周辺で聞かんぞ!)別所哲也はウルトラマンになったときも独身ではなく、難病の子供を持つ父親役で、仕事よりも家族優先でした。
 小美人役は双子じゃないのが残念。第3回東宝シンデレラの今村恵子と審査員特別賞大沢さやか。三枝未希役の小高恵美は第2回東宝シンデレラ。第1回はもちろん沢口靖子なのですが、ほかの人はゴジラ映画以外では見ません。
 国家環境計画局という架空の官庁があって、ここに宝田明と小林昭二と篠田三郎がつめています。ああ、この人達になら日本をまかせられる…本気でそう思えます。

「ゴジラvsモスラ」は興行成績22億円という結果で怪獣映画史上に刻まれるのですが、ハリウッドスターの映画一本の出演料がそんなところらしい。

特捜エクシードラフト


「宇宙船」Vol.60(平成4年5月)。冒頭は「特捜エクシードラフト」。メインライター宮下隼一さんへのインタビューを交えて三年目に入ったレスキューポリスの向かうべき方向を模索しています。期待感よりも心配がかった記事です。
 怪獣や怪人と戦うのではなく犯罪捜査と災害救助を専門にするヒーロードラマとして始まった「特警ウィンスペクター」。相手は人間で、こちらは日本の法律の範囲内で行動する警察なので逮捕はしますが殺すことはしません。また、この頃の子供番組は自主規制していたのか被害者も死ぬことはありません。第一話についての感想は以前、このブログに書きました。続編「特救指令ソルブレイン」は人命救助に付加して、人の心も救うというテーマを掲げました。犯罪者を改心させなければ事件は解決したことにならないというのです。ストーリーが説教くさいという批判が内部から上がったと、宮下さんが証言しています。特撮ヒーロー番組はドラマとしての完成度を追求しつつ、人形や装備の玩具の売り上げも考えなくてはならないのです。
 レスキューポリスシリーズの装備品のデザイン画と図面がてれびくんデラックスに掲載されていますが、精密かつ大胆で本当にすごいのです。この重装備で地上げ屋とか万引き少年を相手にしていました(本当です!)。そして三作目「特捜エクシードラフト」はアクションを強化した活劇を目指すと言っていますが、その方向は正しいのか?

「特捜最前線」が毎日再放送されていた時期がありました。この番組を見ていると特撮ヒーローファンはどうしても『変身しろ』と思ってしまいます。いつもモヤモヤしました。刑事ドラマと変身ヒーローは結合しないものか?そんな夢想がかなったのが「特警ウィンスペクター」でした。しかも、われらの宮内洋が出演するというのです。期待せずにはいられなかったのですが、宮内洋自身は本部長という立場で変身しません。変身王宮内洋が変身しないことで、やっぱりモヤモヤしました。ノリきれません。
 ウィンスペクター最初の頃は、地上げ屋の放火とか子供の万引きを相手にしていたのですが、エクシードラフトの中盤でとうとう宇宙人が登場しました。そして、最終回は神と悪魔の戦いにまきこまれます(本当です!)。日曜日の8時から8時30分……窓の外を見ると青空。うららかな休日の朝に、テレビ画面の中では神と悪魔の戦い。天地が裂け地球滅亡寸前。現実と乖離し過ぎているというか同時性が感じられないというか『どこでやっとるんや』……。もともと、この路線の放送時間は金曜日の夜7時30分からでした。私は『特撮は夜に放映されてしかるべし』そんな感想文を遺しています。

 なお、レスキューポリスの収穫として特筆しておかねばならないことがあります。小林靖子さんが、弟の傍らでソルブレインを観ていて「脚本家になろう」と決めたというのです。小林さんが、それまでに好きだった番組は「Gメン75」。独特の雰囲気があって熱心なファンが多い刑事ドラマです。レスキューポリスには「Gメン75」と共通する何かがあったのでしょうか?硬直しかけていた東映の変身ヒーロードラマは小林靖子さんによって限界を突き破ります。

プテラレンジャー・メイ


「宇宙船」Vol.59(平成4年2月)。新番組「恐竜戦隊ジュウレンジャー」。ティラノサウルスから進化したティラノレンジャー、トリケラトプスから進化したトリケラレンジャー、プテラノドンから進化したプテラレンジャー、マンモスから進化したマンモスレンジャー、サーベルタイガーから進化したタイガーレンジャーの五人の騎士が一億七千万年の時を超えて戦隊を組みます……ええ〜⁈
 宇宙人に育てられたとか、サイボーグ手術を受けたとか、不思議な光を浴びたとか、これまでも特殊な来歴の戦隊がありましたが、いちおう人間でした。しかし、ジュウレンジャーは人間ではありません。そのわりに外見も骨格も言語も現代日本人と変らないのです。ここまでデタラメになると視聴者は創造力をさしはさむ余地がありません。断言できるのは、千年前の日本人と現代の日本人でも会話が通じないのに、いわんや一億七千年前の恐竜族とのコミュニケーションをやです。

「超電子バイオマン」以降は女子隊員の定数が二人なのですが、今回は一人。プテラレンジャーのメイ・千葉麗子。びっくりするくらいかわいいのです。前作「鳥人戦隊ジェットマン」の岸田里佳と内田さゆりが束になっても遠く及びません。アニメ屋さんが描く人間を見て、そんな顔の女おらんぞ…と思う、そんな顔なのです。まちがいなく人気が出ると思いました。実際、最初からスター扱いでマネージャーの運転で撮影現場に送迎されていました。かつて戦隊に選ばれた若い新人俳優でマネージャーが付いていた人はいません。
 そのマネージャーは池田さんという方なのですが、「宇宙船」にページをもらって、千葉麗子の活動情報を連載されていました。こんなことも異例です。私が引っかかったのは、芸能活動をやりながら通っていた定時制高校で、全科目一位の成績だったということでした。
 ジュウレンジャー終了後すぐの仕事は日清焼きそばUFOのCF「UFO仮面ヤキソバン」でした。デーブ・スペクター扮する悪者ケトラーにつかまって、マイケル富岡のヤキソバンに救われる役です。マイケル富岡のお姉さんはシャーリー富岡という人で、高校時代はアン・ルイスと同級生。当時、大阪でラジオ番組をやっておられました。リスナーからヤキソバンのことを言われるたびに不肖の愚弟を嘆いておられたのですが、ヤキソバンは大人気となり、その契約金と出演料でマイケル富岡は“ヤキソバン御殿”と呼ばれる豪邸を建てました。悔しいけれど東映なり円谷プロで正規の変身ヒーローを演じて大邸宅を建てたという話は聞きません。千葉麗子も幾許かのお金を得たのか、コンピューターソフトを作る会社を起こします。
 パソコンもまだ一般的ではない時代でした。通産省はコンピューターの普及を推進する国家戦略を立てました。その推進委員の名簿の中に千葉麗子の名前があったのです。ここで私は、定時制高校全教科一位だったという記憶とつながりました。やっぱり天才少女だったのでした。

 千葉麗子はあれからずっと通産省(経産省)でやっているのかと思いながら「仮面ライダー響鬼」(平成17年)を見ていたら、合間に流れるオロナミンCのコマーシャルにヨガインストラクターの肩書きの千葉麗子さんが出てきました。他人より早くコンピューターに興味を持ったかと思ったら、もっとも原始的な方向に行ってしまっていました。さらにこの後……東北大震災が発生すると反原子力発電所活動に身を投じたかと思ったら、その活動家達の危険な実態を知り、これを告発する反左翼行動を開始しました。ここが現在の千葉麗子です。この天才の興味と信念は、次にどこに向かうのでしょうか?

真仮面ライダー


「宇宙船」Vol.58(平成3年11月)。「真仮面ライダー」製作開始。石ノ森先生は予算と時間の問題で完成度に憾みが残る「仮面ライダー」を何度かリメイクしようとされました。スカイライダーもブラックも、実は、それまでのシリーズをリセットしてスタートしたのですが、結局最後は先輩ライダーが出て来てしまいました。しかし、今度こそ本気です。「真」の対語は「偽」。それまでの仮面ライダーは存在しなかったことになります……の、はずだったのですが、現在の立ち位置はやっぱり歴代ライダーの一人。公式の初参戦は、映画「全ライダー対大ショッカー」なのですが、それまでに紅白歌合戦の応援アトラクションでほかのライダーと一緒に出ていました。『あんたはそこに並んだらあかんやろ』と思いました。

「仮面ライダー」は予算と時間に追われていたことに加えて、毎日放送の容喙などで初期設定が変ってしまう場合が多く、画面が矛盾したりストーリーが破綻したりしています。そこを頭の中で弥縫し修整しながら観ていくので、仮面ライダーファンそれぞれに「真仮面ライダー」の物語が出来上がってゆきます。私にも「真仮面ライダー」があります。
 まず、ショッカー首領の正体ですが、スカイライダー最終回に姿を見せた宇宙怪獣ではありません。断定しますが、これは私の「真仮面ライダー」なのでおつきあい下さい。人間が想像しそうな形の生物を造って顕わしたのです。やつらの科学力なら可能です。それよりも、ショッカーを捜査してきたFBIの滝和也が、首領の正体を想像して「案外、つまらない人間かもな」と吐き捨てるように言った科白が印象に残っています。ショッカーの首領は人間です。「仮面ライダー」のテーマから考察しても宇宙生物であるより人間でなくてはなりません。
 改造手術の理論と技法はナチス政権時代のドイツで開発されたというのはオフィシャルな設定です。当時のドイツは世界水準の先を行くメカニック兵器を駆使したのですが、一方で、チベット密教とか超能力を研究し、これが戦争に役立たないかと本気で考えていました。インカ帝国の獣人製造法や日本の化身忍法も人体実験で検証し、動物や昆虫の改造人間を産み出したのです。
 それなら、ショッカー首領はヒットラーかという可能性も考えられます。不死身の改造人間になって君臨し続ける影の帝王ヒットラーという妄想はロマンの誘惑があります。しかし、地下室でピストル自決した総統の体と脳は、御存知の通り怪人ヒトデヒットラーに使われました。ショッカーとは、ヒットラーすらチンピラあつかいする大組織なのです。

 なんとなく…私は、子供の頃からヒットラーとナチスには欺瞞を感じていました。特撮でもアニメでも正義の日本人がナチスドイツをモデルにした悪の組織と戦います。先の世界大戦では日本はドイツと同盟国だったはずです。こう言うと、かならず杉原千畝の故事を免罪符のように持ち出して、日本人はユダヤ人を助けたと反駁されます。しかし、ユダヤ人の歴史の長さは日本の倍で、その四千年間、日本との利害関係は無かったのです。ヒットラーのユダヤ人差別には共鳴しようがありません。それは理解できなかっただけで正義からではありません。
 戦前のユダヤ人の数が1600万人、それが戦後には1000万人になっていたということで、差し引き600万人のユダヤ人が殺されたことになっていますが、ありえない数字です。ユダヤ教から改宗しただけです。ユダヤ人とは人種ではなく宗教概念なのです。日本人でそれをわかっていない人もいます。
 国家社会主義労働者党のヒットラーはドイツ国民の選挙によって指導者に選ばれました。その政権は他のヨーロッパ諸国からも支持されました。当時、本当に人気があったようで、戦前のアメリカでも青少年のアンケートで2位に入っていたそうです。ちなみに1位はアインシュタイン、3位がルーズベルト…。日本の子供にも下層階級からドイツ総統までのぼりつめた英雄として尊敬し目標とする人物像とされていました。それが現在、なぜ、歴史上絶対の悪人とされ、ドイツにおいてすら否定されているのか?ナチス・ヒットラーより、はるかに巨大な陰謀によって世界が瞞着されているに違いありません。
プロフィール

ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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