さらば斗いの日々、そして


  長坂秀佳シナリオ傑作集「快傑ズバット最終回/さらば斗いの日々、そして」。この最終回は是非観てもらいたいので、ストーリーは書きません。若い人で「ズバット」を一度も見ていないという方は「さらば斗いの日々、そして」の前に、第二話「炎の中の渡り鳥」だけは見ておいて下さい。

 最終回のゲストにだけふれます。国際秘密警察神竜伸介役に千葉治郎(矢吹二朗)。番組が続くのならば、神竜伸介を早川健の相棒にしてパターンに変化をつける案もあったようです。仮面ライダーシリーズにおいては、滝和也と風見志郎は入れ違いだったし、その後の変身番組でも千葉治郎と宮内洋の共演はありませんでした。
 初共演かと思ったら、千葉治郎と宮内洋が桧垣三兄弟の次男と三男を演じる「姿三四郎」の映画がありました。いつどこで観たのか忘れましたが、後年、古書店で見つけたパンフレットが、私の宮内洋コレクションに入っています。下の写真はそのパンフレットに載っていたもので、中央が宮内洋。右が千葉治郎です。ある時期に量産されていた東映の格闘技映画の一本かと思っていたら、東宝の作品で、岡本喜八監督。

 岡本喜八映画と言えば、必ず天本英世が出ることになっているのですが「姿三四郎」に天本英世の名前はなく、代わりなのか喜八監督自身が出演しています。そのことよりも驚くのが、この映画の公開日が昭和52年10月29日。「快傑ズバット」終了直後です。宮内洋は「ズバット」の途中から「ジャッカー電撃隊」の番場壮吉を兼任しています。その合間に映画「姿三四郎」にも出演していたことになります。「ズバット」の撮影スタッフが怱忙の宮内洋のスケジュールに合わせて行動していたら、千葉治郎がいたので、ついでにこっちにも出てもらったというのが、神竜伸介登場秘話ではないでしょうか?

 もう一人のゲストは松木聖。死んだ飛鳥五郎の恋人で、新繊維シルベールを発明する科学者皆川理沙役。飛鳥の遺言でシルベールを早川に届けに来ます。シルベールを使えば、ズバットスーツはさらに強化されるのです。
 「キカイダー01」の回で、「01」には上手い役者が出ていなかったというようなことを書いてしまいましたが、松木聖がいました。松木の演じたミサオは、長坂さん得意の謎の女のカテゴリーに入るのですが、庶民的で生活感がありました。では、何をして生計を立てているのかというとスリです。犯罪とはいえ変身ヒーロー番組で収入が描かれる登場人物は希少です。若いながら人生の苦労を知っているミサオ姐さんの印象が強いので、世俗離れした科学者の役はミスキャストでした。

 無料動画に懐かしい「銀河疾風サスライガー」の第一話があったので観てみたら、ヒロイン気まぐれバーディーがカジノでスリをやっていました。昔は、スリは職業として認知されていたのでしょうか?「一文笛」という落語で、スリの心意気が語られています。これは桂米朝の創作ですが、スリ師の実際に取材したものだそうです。

 長坂秀佳特集は今回で最後です。そして…私は「快傑ズバット」を見て特撮ファンになったようなものです。とにかく宮内洋に会いたいと願って、そのことが人生の最終目標のようになっていました。そして…特撮ファンをやっていたら、わりと簡単に宮内洋さんに会わせていただけました。そして…思いのたけを話して、サインをもらって、宮内さんの掛け声で変身ポーズをきめ、写真を撮ったとき、私の心のダブルタイフーンには虚しい風が吹き込んできました。V3もズバットもこの世界に実在しないことを確認してしまったのです。
 宗教をやっている人が神様に出会わずに信心しているように、変身ヒーローファンは変身ヒーローに会わないほうが良いのではないか…宮内洋さんは俳優としても人間としても立派な方なのですが、変身はできません。私が幼稚なのかアホなのか、その一点に失望するのです。次の目標が見えなくなりました。日本一という早川健以上の男はいるのか?いるとしたら番場壮吉…メタ矛盾になります。以前、このブログで「特警ウィンスペクター」を醒めた気持ちで観ていたと書きましたが、あのとき宮内洋に会っていなかったら、狂喜していたような気もするのです。
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No title

こんにちは。以前にショッカーの首領の正体で宇宙人は納得できないね、と話したものです。
本人にお目にかかるかどうかはなかなか難しいものですね。
25年くらい昔のことです。たまたまですが、住まいの近くのホールで宮内洋さんの公演があり、そのホールに向かわれている宮内さんをお見かけしたことがあります。というか、そんな公演のことは知らずに日曜日の昼過ぎに用事を済ませた帰路で駅を出て自宅に向かって歩いていたら、少し前をただならぬオーラを発して歩いている方を見かけて、どう見てもただならぬオーラなのだし歩き方だし、もう後ろ姿を見るだけで「ひゃ~、風見志郎! 早川健!」と心のなかのドラムが鳴り始めました。どんがらどんどん。でもオーラはすごいけど、公演を見るかというと見なかったのです。べつに宮内洋が悪いわけでもなんでもない、やはりなにかがたぶんそのなにかは自分のなかにあるのだと思いますが、それが違っていたのだと思う。
年代的には本郷猛(新)~V3あたりをピークに楽しんでいた世代なのでずばりどまんなかといってもいいのだけど、当時もう社会人になっていて、だれのファンかあらためて自分に問いかけると、作品というのが役者よりはむしろプロデューサーや監督によって決定づけられるということはわかるようになっていたし、特撮よりは作家のほうにずっと強く関心を抱くようになっていたし、子どものときから好きだった複数の作家さん(まんが家のYKさん、SF小説家のKHさん、最近だとまんが家のKTさん)とお仕事をしていて、充分刺激を受けて満たされていたので、役者さんになにかを感じる、ということをあまり想像できずにいました。
とはいえ、わたしはその後仮面ライダークウガを見てオダギリジョーのファンになるのだし(会ったことはない)、とあるホームページを作ってある役者さんを応援するようになる(こちらはかなり頻繁にお目にかかっている)ので、役者に会うから失望するということもない気もしますが、作品のもつなにか(たとえばテーマ)に対する役者さんの比重は、高くはないな~、という気はします。
藤岡弘、さんもまたなんというか不思議なたぶんスターさんなのだと思いますが、最近の『仮面ライダー1号』を見たりすると、いったいどうしたものかとは思います。どうしたものかというのはやっぱりちょっとずれている感が強いし。役者としてはすごく魅力的で、スクリーンでは光って見えます。ちょうど同時期に『真田丸』にも出ていて、やっぱりスターだな~と思うし。ただ、いまYouTubeで『仮面ライダー』を見ていますけど、#66、#67なんかを見ると、作品の本質(なにが本質なのかはよくわからないのですが)とはあまり関係ないんじゃないかなぁという気持ちも抱いてしまいます。『仮面ライダー』ってなんなんだろう。不思議な感じです。プロデューサーのアイディアなのか、石森章太郎のマンガなのか、脚本なのか、大野剣友会なのか。たぶん役者の比重は思っているよりもずっと小さいのではないか、という気はする。
もちろん子どものときのわたしにとっては、本郷猛は大ヒーローでその姿かたちは藤岡弘さんなんだけど、やっぱりちがうというのは感じるわけです。声も姿もそうなんだけど、違う。中身が違うって感じ。
作品が個人に収斂していく作家のほうが、魅力的だなと感じるのかもしれません。対象がわかりやすくて。
あまりとりとめもない感じですが…。

仮面ライダー

 仮面ライダーって何だろう?ワクワクするような公案ですね。藤岡弘に帰結しないことはわかります。また、石森章太郎先生一人の作品ではないことも、ライダーファンなら議論するまでもない常識です。

 仮面ライダーとは何か?突き詰めていけば、たぶん…日本民族の無意識にたどり着くのではないかと予測しています。それは原始的で凶暴なものかも知れませんし、繊細で脆いものかも知れません。いま『仮面ライダーアギト』を見直しているところです。
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ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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