ザイダベック


  勅撰長坂秀佳戯曲抄「さらば斗いの日々そして」8回目「アクマイザー3」。昭和50年東映の仕事で、原作は石森章太郎先生。もちろんテレビ前提企画で、石ノ森先生による漫画作品はありません。主要キャラクターのデザインと基本設定について意見を出された程度のかかわりだと思います。メインライターとしてシリーズ全体の構成を考え、脚本を書いたのは自分なのに、いつも頭に「原作石森章太郎」と付くのが悔しいと長坂さんは思っていました。

 「アクマイザー3」について語るには、世界観から説明しなくてはなりません。地球空洞説に基づく設定なのですが、私はその説が理解できておりませんので、テレビを通しての解釈を書きます。
 地球の裏側にダウンワールドという世界があります。引力ではなく遠心力で成立している空間です。熱と光は地球の核から供給されます。ダウンワールドの霊長はアクマという種族。南極と北極に二つの世界の出入り口があります。ときどき、船で地上世界に現れ人間を拉致していきます。その姿を目撃した人によって空想されたのが、「悪魔」とか「鬼」なのです。また、拉致された人間は食料にされたり労働力にされます。逃亡したのか解放されたのかはわかりませんが、ダウンワールドから生還した人の記録が「地獄」と呼ばれて語り伝えられたのです。
 かといって、アクマ族が妖怪的な物かと思ったらそうでもなくて、人間との混血も可能。主人公ザビタンの母親も人間です。もともとは地上の生物だった可能性も考えられます。その証拠に、地球の裏側の環境が変化したのか、種としての進化が限界を越えたのか、おそらく、その両方の理由で、サイボーグ手術を施さないとダウンワールドでは生きていけなくなりました。
 アクマ族は、やむにやまれず、地上世界の征服を開始するのですが、なぜだ!?同族のザビタン、イビル、ガブラが人間側に立って叛逆するのでした。また、なぜだ!?人間に味方することをアクマ族は「正しい心」「正義」と言います。アクマイザー3の自称は「正義の悪魔」…矛盾した言葉ですが、わが国においては普通です。

 さて、この壮大な世界設定を映像で表現するには何億ドルかければよいのかと、ハリウッドのプロデューサーなら頭をかかえることでしょうが、東映のプロデューサーは「仮面ライダー」シリーズの半分の予算しか計上しません。そして、現場も要求に応じます。第一話では、夜空に帆船が現れ、不思議な砂を撒いて人間を拉致し、北極点からダウンワールドに入り、人間を奴隷労働させるまでを、きっちり映像で見せます。第二話以降も、地上侵略を本気でやろうとしていることが伝わってくる大規模な作戦や大量殺戮の場面が描かれるのです。
 私が気になるのは、特撮シーンではなくて、アクマ族を取材する新聞記者島一平が勤務する東都タイムスの狭さです。机が二台くらいしかなく、警察の取調室かと思うくらい狭いのです。こういうところでお金が無いことが伝わってきます。また、アクマイザー3は人間に変身しないので、出演者は実質島一平役の千葉治郎一人と言っても過言ではありません。やっぱりお金のかかっていない番組です。

 千葉治郎。「仮面ライダー」の滝和也役以来、変身番組ではおなじみの人です。しかし、一度も変身したことがありません。お兄さんの千葉真一に『お面を被る役は損だからやるな』と言われていたからだそうです。
 変身ヒーローの持ち役が無いことで、子供には印象の弱い俳優ですが、昭和五十年代の東映のアクション映画、アクションドラマには宮内洋よりもよく出ています。主演映画もあって「激突!合気道」では主人公植芝盛平役。植芝盛平は実在した超人的武道家。実在の英雄を演じることも多く、「けんか空手 極真拳」では大山倍達が嫉妬したという天才児春山章(有明省吾)を、テレビ版「二百三高地」では、旅順封鎖作戦の軍神広瀬武夫の役を……そして、俳優を引退した後の職業が森林パトロール官というのも、ものすごくヒーローです。

 「アクマイザー3」のキーワードは、「地球空洞説」と、あと一つは「三銃士」。女アクマに惚れられたり、裏切られたり、だまされたりします。ちょっと異色のラテン系ヒーローです。
 「三銃士」の子供向け抄訳を読んだときの疑問が拭いきれません。四人の剣士が出てくるのに、何故、三銃士なのか?また、銃士という言葉も、いままで生きてきて三以外で聞いたことがありません。
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Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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