バンキッド


 長坂秀佳迷作劇場7回目「円盤戦争バンキッド」。昭和51年東宝の仕事。全編の特撮を担当したのは真野田陽一監督。ただ…「バンキッド」と言って、真っ先に出る名前は宇宙人デザインの成田亨さんです。バド星人あたりで行き詰まった憾のある、セブン宇宙人のその先が提示されました。造形物も丁寧に作られているのですが、それでもデザイン画を見せられると魂がふるえます。
 
 そして、成田亨さんの次に出てくる名前が、バンキッドペガサス天馬昇役の奥田瑛二。国際的に認められる演技派俳優です。この人が好んで出る難解な映画は私には縁がありませんが、NHKのドラマで演じた本位田又八の役は思い出します。吉川英治の小説を読み返してもわかりにくかった人物が奥田瑛二を通してイメージすることが出来ました。

 バンキッドドラゴン宇崎龍一は田鍋友啓。小さいときから出ている人です。この番組では高校生。奥田瑛二の役は家庭教師。家庭教師と生徒は現実社会でも友達になる例が多くあります。
 龍一の弟、ラビット宇崎龍二役は辻辰之。前回取り上げた「少年探偵団」のトンボ。「バンキッド」は「少年探偵団」のストーリー構造の変形でした。子供のグループ円盤研究会が宇宙人の陰謀をあばいていくのですが、人間に化けた宇宙人を指摘する場面は怪人二十面相の変装を見破るパターンを踏襲しています。
 円盤研究会(少年宇宙遊撃隊)のメンバーはほかにオックス牛島一郎。役は、あのウルトラ6番目の弟、梅津昭典。番組のキャスティングに長坂さんの推薦があったのでしょうか?
 スワン白鳥ほのか役、鈴木美江。顔が小さくて、首と手足が長い。当然ながら身長もあって、仮面にタイツのヒロインのコスチュームを着せたくなります。実際、初期においては、五人の出演者本人が着ていたようです。惜しむらくは一人一人の顔型を取らずに仮面を作ったそうで、スワンの頭もデカい。鈴木美江は後年「仮面ライダー(スカイ)」に喫茶店アルバイト・ナオコ役でレギュラー出演。

 宇崎兄弟の祖父、宇崎巌博士の役が下条正巳。もちろん、その当時松竹映画「男はつらいよ」シリーズで寅屋のおいちゃん役をやっていました。こんな人がなぜ、東宝の「バンキッド」に出ていたのかが、返す返すも不思議です。
 竜崎兄弟の母親役が塩沢とき。子供向け特撮ドラマだと思って、全力のオーバー演技で笑わせようとしてくれます。物語全体をぶち壊すほどのパワーを出します。
 この、塩沢ときさんと平田昭彦が小学校時代の同級生だったという過去に驚きます。その平田昭彦も最終回にゲスト出演しています。特撮ファンとしては、こんな番組に平田昭彦に出てほしくなかったというのが普通の心情です。陸軍士官学校入学→東京大学卒業→内閣官房長官……になってもよいくらいのエリートなのに→ブキミ星人グザレ司令って…そんなもったいない経歴があるものでしょうか。

 もったいないと言えば、金子吉延が第15話にブキミ星人の役でゲスト出演していますが、青影時代の明るく融通無碍な芝居が見れません。
 ゲスト出演者では、他に第1話の水谷邦久。同じ東宝制作ヒーローレインボーマンです。第7話で幼稚園の保母さん役で出た佐々木梨里も特記しておきます。この人は女優ではあるのですが「魔神バンダー」と「オール怪獣大進撃」の主題歌を歌っていました。男の子の声かとばかり思っていたら、大人の女の人が歌っていたのです。なかなかの芸達者です。こんな名優たちと、天才成田亨が参加しながら、「円盤戦争バンキッド」が名作と評価され得なかったことの責任は、メインライターの長坂秀佳さんにもあります。
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番組のラスト

「円盤戦争バンキッド」は幼い時に毎週見ていました。
この番組の特徴は、やはり毎週番組ラストでエンディングに入る前に主人公の天馬昇役の奥田瑛二さんが視聴者に語りかけるシーンです。幼い頃は奥田瑛二さんのメッセージに真剣になって聞いてましたが大人になってからケーブルテレビでの再放送を見ると意味不明に思えました。

謎のメッセージ

 急に部屋が暗くなって奥田瑛二が立ち上がります。真面目な顔をして視聴対象の子供に短いメッセージを発します。しかし、それは宇宙に関する知識でもなければ、生活の指針となる格言でもありません。
 長坂さんとしてはドラマのパターンにするつもりだったのでしょう。木戸さんのように、このシーンばかりが印象的だったという子供がいたのなら成功だったとも言えますが、面白いとは思えません。
プロフィール

ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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