BD7


 よりぬき長坂秀佳さらば斗いの日々そして…六回目「少年探偵団」(昭和50年)。「レッドバロン」「マッハバロン」の日本現代企画の仕事でした。後に「特捜最前線」や二時間サスペンスで本領を発揮する人なので、怪獣番組よりも、地に足のついた設定のほうが性にあっているのかも知れません。上原正三さんも書いていますが、メインライターは長坂さんです。
 江戸川乱歩の原作との違いは、時代を昭和50年現在に移したことと、団長の小林少年以外は流動的だった探偵団の人員と人数を七人に固定したこと。この改編は成功しています。

 では、賢明なる読者諸君に七人の探偵を紹介しましょう。あるいは机北の友よ、淵籔の記憶を思いおこされたし。
 小林芳雄 団長。日本一の名探偵明智小五郎の助手。昭和11年、すでに小説家として名声の高かった江戸川亂歩が、少年倶楽部の執筆依頼を承諾しました。少年探偵団の構想の骨子は、読者を物語の中に引き込む装置だったはずでず。しかし、昭和50年版のドラマで小林団長を演じた黒沢浩は自己投影しにくい人です。顔が良いとか足が長いとかいう枝葉末節のことではなくて、人種が違うのです。何者かと思ったら、一世を風靡した少女モデルキャロライン洋子のお兄さんだったのです。
 そのキャロライン洋子は第一話のゲストで出演します。動くキャロライン洋子が見られます。どんな美少女だったのだろうと思ったのですが、そうでもありません。お兄さんのほうが綺麗なくらいです。

 以下、身長順。一番背が高い(最年長?)のが小林団長で、その次が篠崎始。当時、注目されていたスポーツ、アメリカンフットボールで鍛えていて体幹が強い。ニックネームは“ガッツ”。必殺技は反則タックル(うそです)。役は坂本高章。芸歴の長そうな人ですが、あまり見たことはありません。体が大きくなったので子役として使いにくくなったのでしょう。

 秋吉めぐみ 手品が得意で、ひとよんで“マジョ”。山添美千代という人がやっているのですが、手品とかいう小手先の芸当よりも、男心を惑わす魔性の魅力があります。斎藤浩子も佐久間真由美も好きだとは思わなかった私ですが、この山添美千代はちょっと好きになりました。怪獣番組には出ていないのですが、後年特撮上映会で観た「血を吸う眼」に出ていました。『あ、マジョや…』と判ったのですが、この映画は「少年探偵団」より過去の作品で、さすがの山添美千代も妖女というより、ただの幼女です。がっかりしました。
 桂正一 ゴム弓の名手で、またの名を“ゴムカン”。演じる簾内滋之は、特撮番組でもおなじみの子役。スター性のある人で、この後、「おらあガン太だ」で主人公をつとめます。
 羽柴壮二 人間から動物までなんでも声帯模写が出来る。二つ名を“オウム”。羽柴壮二というのは、原作で少年探偵団の結成を提案する人物なのですが、このドラマの中では語られません。篠崎始、桂正一も原作に登場しますが、名前を踏襲しただけで設定はテレビ版オリジナルです。オウム役内海敏彦は「マッハバロン」のレギュラーでした。「マッハ」から引き続き出ている人は、ほかに中村警部役の深江章喜。この人は「レッド」の頃からずっと刑事の役でレギュラー出演。私はよく、深江章喜と藤江喜幸を間違えます。そして…怪人二十面相役の人も、クレジットでは「?」となっているのですが「マッハバロン」から引き続き出ている人でした。
 白石四郎 機械いじりが好きで“キカイ”と呼ばれています。当初はラジコン操作の高専ロボット程度のものを造って通風孔から潜入させるくらいのことだったのですが、最終的には自律型二足歩行ロボット・ロボター7を完成させ工学会から注目される天才。演・岩渕英二。大人になって観返すと、この子が一番かわいい。
 山田三吉 身軽で愛称“トンボ”。演じる辻辰行は「円盤戦争バンキッド」のラビット役。次回は「バンキッド」を取り上げる予定。

 大日本雄辯會講談社の「少年倶楽部」に、「少年探偵団」ものが連載された期間は、昭和11年1月号から昭和15年2月号まで。ドイツがポーランドに侵攻し、日本は蒋介石とか共産軍と戦っていました。第二次世界大戦と位置づけられるのは後世のことで、当時は政治家も軍人も不可解な世界情勢は予測不能でした。ましてや小学生に理解できるはずもなく、当時の作文からも、対米英宣戦布告後のような危機感や闘志の滾りが読み取れません。怪人二十面相との闘いに没頭していました。
 小学生と書きましたが、当時は尋常科六年。高等科二年です。高等科は義務教育ではないので、尋常科終了後、五年制の中学に進学する人もいます。
 また、少年探偵団の活動範囲は東京ですが、昭和十八年までは東京府東京市でした。

 特撮技術史の観点で「少年探偵団」が語られるときは、必ず、(いまは亡き)スキャニメイトの効果的な使い方があげられます。忘れてならないのは、そのスキャニメイトで作られたタイトルバックの題字が戸川昌子だったことです。戸川昌子は江戸川乱歩賞を受賞した推理作家なので少年探偵団と無縁ではありませんし、社会的に分類されるなら文化人です。しかし、健全な児童教育とは縁遠い人です。銀巴里、美輪明宏…青い部屋、寺山修司…昭和史の退廃的な場所に棲んでいた人でした。「少年探偵団」は子供が自転車やローラースルーGOGOで走りまわるばかりの番組かと思いきや…淫靡で猟奇的な夜の世界に通じていたのでした。
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怪人二十面相の正体

 「少年探偵団 BD7」は幼い頃、何気なく見ていましたが最終回は見ませんでした。後になってケーブルで見ましたがクレジットで怪人二十面相の役者名が「?」になっていましたが、あの長身あのたどたどしい喋り方どう見ても「帰っ○き○ウ○トラ○ン」のあの人であることはバレバレでしたね。まあ、そこら辺は御愛嬌ということでしたが最終回で遂に素顔を晒し誰もが想像した通り、あの人でしたが作品の中で「怪人二十面相の正体はD・Zさんだったのか・・・」には驚きでした。
 まさか怪人二十面相の正体が役者名のD・Zさんのままの存在だったのは本当に意外でした。

D・Zさん

 私が初めて見た「少年探偵団」が、この形でした。それ以前に作られた東映の白黒版のフィルムが残っていて見ることができますが、小林少年が丸坊主に学帽をかぶった日本人の子供です。本来はそうあるべきなのでしょうが、なんかモノ足りません。
 また東映版の二十面相は加藤嘉。若い頃は知りませんが、私の認識する加藤嘉は素朴な百姓のお爺さん役で、いつも死にます。

 やっぱり、小林少年はハーフの美少年で、二十面相役はそれに対抗できる俳優でなくてはなりません。「BD7」は私もケーブルテレビでじっくり見直しました。一話完結式になってからバタバタしてきて、最終回はグダグダです。
 DZさんは、ほかの乱歩原作ドラマにもよく出ています。

ご無沙汰してます。
このドラマ、当時見てました。覚えているのは♪7人7人7人揃えば怖くはないぞ~ の主題歌と、怪人20面相の不敵な笑みが最後に出てくるエンディング曲、そして黒沢くんの風貌ぐらいでしょうか。あと、あのアメフトっぽい服(笑)

好き!好き!!魔女先生が1971、72年のドラマ、そして私が今もう一度見返している5年3組魔法組がおそらく1976、77年頃のドラマだったかと思うのですが、わずか5年ほどしか時期が違わないにも関わらず、ドラマから放たれる雰囲気、レトロ感のようなものが思った以上に差があることに改めて驚いています。
そういうこともあってこの2作の間の時期にあたる少年探偵団ももう一度見てみたいなあと興味が湧きます。なんやかんや言っても乱歩の原作ですからドラマのトーンは異なるでしょうけどね。

再放送の2時間ドラマのクレジットでよく名前をお見かけする長坂さんが、これにも携わっておられたんですね!知らなかったです。

斎藤こず恵

いつも古い話に付き合ってくださってありがとうございます。
「少年探偵団」は何度も映像化されていますが、このBD7版が再視聴がしやすいようです。おそらく、一番よく出来ていたのではないでしょうか。

 キャロライン洋子に続くゲストは「それいけカッチン」の斎藤こず恵。戦災孤児のイメージがありますが、ここでは金持ちのお嬢様。基本的に怪人二十面相は、貧乏人の娘に用はありません…。
 斎藤こず恵の妹斎藤ゆかりは「5年3組魔法組」に出ていませんでしたか?忘れていましたが、ゴムカン簾内滋之は「魔法組」の主要メンバーでした。
プロフィール

ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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