バルタン星人jr.


 特撮脚本家列伝。今回からは長坂秀佳編。もとよりシナリオテクニックについて解説することはできません。「長坂子供番組と私」というような個人的感想文になろうと思いますが、平成元年に朝日ソノラマから出版されたシナリオ傑作集からいただいて、外題は「さらば斗いの日々そして」にします。最終回は「快傑ズバット」になりますが、まずは円谷プロの仕事から……。

 新人時代の長坂さんが「快獣ブースカ」のために書いた脚本「ブースカついに入院する」は、ボツになりました。読んだことはありませんが、おそらくブースカが入院する話だと思います。採用されて映像化されたのはやはり新人市川森一さんの「ブースカ月へ行く」(…という脚本なのですがブースカは月へ行きません)。長坂さんが悔しがって市川さんを目の敵にし始めたのはこのときからだと云われています。

 市川森一さんは続いて「ウルトラセブン」でも才筆を揮うのですが、まだ長坂さんの登場はありません。円谷プロ作品で長坂秀佳の名前が初めて出るのが、帰ってきたウルトラマン第41話「バルタン星人jr.の復讐」。ウルトラマンに滅ぼされたバルタン星人の生き残りが仕返しに来る話です。ゲスト子役に、「タロウ」の白鳥健一くん役で有名になる斎藤信也が出演します。この人は先月取り上げた問題作「隼」にも出ています。
 バルタン星人は再登場、再々登場する度に外見が甚だしく違うので混乱しますが、やつらは昆虫人間なのです。多様化することによって環境に対応し種を保存する遺伝子戦略なのです。スペンゲル反射光も改造ではなく進化です。本気でサイボーグ手術をするなら「アンドロメロス」のメカバルタンになります。また、私の解釈ではジャンボーグAと戦ったキングビートルはバルタン星人に擬態した植物怪獣で、バルタン星人とパーツに共通点があるテンペラー星人は昆虫ではありません。

 バルタン星人については長坂秀佳さんと見解が異なります。バルタン星人には種の系統という価値観はあっても、親子あるいは近親という概念は無いはずです。かつてハヤタと対話したとき「生命」に相当する言葉を彼等は持っていませんでした。個人の生存権が尊重される民主的社会は作れないかわりに、世襲独裁社会も生まれません。したがって、バルタン星人が父親の復讐という個人的動機で行動を起こすことはないと思います。
 また、ドリー・ファンクの息子だからこそ、ドリー・ファンクjr.であって、個人名ではないバルタン星人の息子はバルタン星人jr.と呼ばれないはずです。
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怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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