ウルトリア


 前回の続き。「ザウルトラマン」の企画時の仮題は「ウルトラマンⅢ(三世)」。再三の仕切り直しという意味もありますが、当時好評だったアニメ「ルパン三世」にあやかろうとしたのでしょう。Theの発音を指摘されたり、内山まもる先生の漫画と混同されがちな現行の題名より「ウルトラマンⅢ」の方がよかったかも知れません。
 「ウルトラマンⅢ」の企画が進行していた昭和52~53年はアニメブームと呼ばれていました。予算の問題という消極的理由もあったのですが、アニメという表現形式を選択したことは、将来を見越しての挑戦でもありました。ただ…特撮の雄ウルトラマンですらアニメになった時代―とブームの語り草にされる変な結果にもなりました。

 アニメブームについて…また聞きのまた聞きとして私が承知しておりますことは、あれは自然発生したムーブメントでもなくマスコミが仕掛けたアングルでもなかったということです。富沢洋子さんという、ものすごい行動力があって事務処理能力が高くて、なおかつ統率力がある一人の女の子が起こしたものだったと。この洋子さんが、系統立てたアニメの鑑賞法を、まずはクラスの友達から指導し、さらには全国規模に伝道させたのでした。

 また、この人は特撮も好きだったのですが、アニメで一杯で手がまわらず、そっちの分野は弟の雅彦さんにやらせました。すなわち、PUFFの富沢雅彦さんです。資料の収集、リストの整理、評論の書き方、同人誌の運営法を伝授しました。特撮ファンはアニメファンから分派しその活動を模倣したことになるのです。我らが池田憲章先生や開田裕治師匠でも足がすくむ御姉様がいたのです……

 さて、「ザウルトラマン」のアニメ制作は日本サンライズに依頼されます。円谷プロとは「恐竜探検隊ボーンフリー」からつきあいがあります。なおサンライズには経営的な事情で正社員のアニメーターはいません。実作をしたのはタツノコプロ出身の人が多かったそうです。そう言われれば、第一話でシーグラの群と戦うジョーニアスの動きは「破裏拳ポリマー」を彷彿させます。
 メカニックデザインの大河原邦男さんもタツノコプロにいた人です。放送開始日を見ると、同時期の日本サンライズの仕事である「機動戦士ガンダム」と並行してデザインワークが進められていたと考えられます。「ザウルトラマン」第11話に、地球防衛軍の大河原大佐という新兵器開発に熱心な技術士官が登場します。
 大河原さんは「ガンダム」に専念されることになったのか、途中で抜けられ、後任のメカデザイナーは河森正治さん。今回描かせていただいたウルトリアも河森さんのデザインです。放送当時おもちゃが発売されず、私はそれらしい形の模型を自作し悦に入っておりました。

 脚本は第1話「新しいヒーローの誕生」阿部桂一さん。過去のウルトラシリーズには参加されていませんが、「猿の軍団」などの円谷作品を書いておられるベテランです。ヒカリ隊員とウルトラマンの合体とともに、初めて科学警備隊編成の過程が第一話で描かれます。マルメが入隊を直訴するくだりが面白い。
 第2話は吉川惣治さん。この人が「ザウルトラマン」の事実上のメインライターです。アニメ業界では実績のある人で、スタートは虫プロのアニメーターでした。シナリオも絵コンテも描けるちょっとした手塚治虫先生です。吉川さんのイマジネーションによって宇宙スケールのウルトラ世界、またウルトラの国の様子が描写されました。あの時点でウルトラの国を表現する手法はセルアニメがもっともふさわしかったとおもいます。
 結論ではありませんが「ザウルトラマン」は吉川惣治さんの作品でした。
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No title

こんばんは。

はやいもので富沢雅彦さんがお亡くなりになって30年以上が経ってしまいました。自分のことで振り返っても高校時代末期の「PUFF」に参加していた頃が昨日のことのように思えてしまいます。

富沢さんのご姉弟はある意味70年代の同人界では「最強のふたり」だったのかもしれませんね。お姉さんの方とは富沢さんの追悼本出版の告知をいただいただけで直接的な接点はありませんでしたが、当時から有名でした。

アニドウ(アニメーション同好会)の主要メンバーでアニメ製作会社にも在籍し、ご結婚なさったときの仲人は宮崎駿だったそうですから( ̄。 ̄;)ソレ聞いただけでスゴいなと思ってしまいます。

今回はひさしぶりに富沢さんのお名前を見て、とても懐かしい気分になってしまいました。

No title

日本のアニメ文化の歴史は本文中に書きましたような単純なものではないことは承知しております。
しかし、富沢洋子さんのような方がおられなかったら宮崎駿監督も埋もれたままだったとは言い切れます。そのことは宮崎監督本人もわかっておられると思います。

アニメーターとアニメファンの情熱によって築き上げられたコンテンツの経済的一面だけにしか注目しない人もいますが、涙ぐましい努力があったことは知るべきです。
PUFFから分かれた衝撃波Qをちょっと知っているだけの私ですが、富沢姉弟への最大限の敬意と感謝を忘れることはありません。
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ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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