宇宙刑事


 講談社X文庫「メーキング・オブ・東映ヒーロー3メカニカルヒーローの世界」。第3巻は戦隊とメタルヒーロー。なお、この本の発行は昭和62年4月。その時点ではメタルヒーローシリーズという呼称は確立しておりませんが、便宜的に使用いたします。
 メタルヒーロー第一作、特撮ヒーロー史に輝く「宇宙刑事ギャバン」。発案者はバンダイの村上克司さん。村上さんが描いた銀色の宇宙戦士のイラストから発想が広がっていきました。東映側のプロデューサーは吉川進さん。メインライターは上原正三さん。音楽は渡辺宙明先生、主題歌串田アキラ。そして、主演は大葉健二。私の感触では、「バトルフィーバーJ」→「電子戦隊デンジマン」→「太陽戦隊サンバルカン」→「宇宙刑事ギャバン」が大泉東映ヒーローの主流で、「大戦隊ゴーグルV」が分流ではないかと思えます。「サンバルカン」と「ゴーグルV」は水質が違う気がするのです。いま、気がついたのですが、私はゴーグルロボのデザイン画を見たことがありません。

 当時のテレビ雑誌で、市川森一さんのインタビューに答えて、上正さんが「宇宙刑事ギャバン」にかける意気込みと苦労を語っておられました。意気込みは、金城哲夫の「ウルトラマン」には及ばずとも、自分の代表作にする。苦労については、時間と予算がウルトラシリーズより厳しいこと。
 予算についての条件は意外でした。我々特撮ファンの耳には、新作「宇宙刑事ギャバン」」は、第三話までに一億円をつかったという噂が入ってきていたのです。東通ECGシステムによるマクー空間の表現にお金がかかったのでしょうか?

 東通ECGシステムについては「特撮秘宝Vol.5」(洋泉社)に、理論と実際が解説されています。ビデオで合成してフィルムに変換する装置です。映像表現の可能性が無限に広がりました。カメラとVTRと周辺機器までは自力で開発したのですが、最後の焼き付けだけはアメリカまで持っていかなくてはなりませんでした。しかし、この画期的なシステムもハイビジョンカメラとCGの時代になると、まったく無用の長物になってしまいました。技術を継承する人もいません。着物とか日本刀よりもむなしいジャンルが特撮かも知れません。火縄銃みたいなものですら、その技術を伝える保存会があるというのに……。

 マクー空間について、もう少し書きます。これは銀色のキャラクターにしたギャバンがハレーションを起こして屋外撮影に向かなかったために考えられたアイデアでした。モンスターとギャバンの戦いが始まると、バトルフィールドが、セットと東通ECGで作った異次元空間に飛ぶという設定です。この設定は便利で、最後の火薬爆発のシーンが毎度三栄土木の採石場になっていたことにも説明がつくという思わぬ得もありました。
 と、初めは一挙両得と自画自賛していたのですが、やはり両刃のレーザーブレードでもありました。マクー空間へ入った時点でストーリーが途絶してしまうのです。人間ドラマに、突如、怪獣が出現する以上の断絶感です。第30,31話に宮内洋の宇宙刑事アランが登場します。本来ならば二人が力を合わせてモンスターを倒すべきなのですが、マクー空間へ入るのはギャバンだけで、せっかくの宮内洋が置きざりになりました。あのとき、宮内洋ファンはさびしい思いをしました。

 「メーキング・オブ・東映ヒーロー3」は、ちかごろあまり見かけない、少女ドラマにも一章割いています。昭和四十年代を通じて吉沢京子がものすごく人気があったことが追体験できます。吉沢やすみ先生が吉沢京子の大ファンで「ど根性ガエル」の吉沢京子のモデルが吉沢京子だったことは有名です。近年の実写ドラマ「ど根性ガエル」では前田敦子がやっていましたが、お母さん役くらいで出てほしかった。吉沢京子は、思春期とか青春を象徴するスターだったようですが、最近は、線香やお墓のコマーシャルもやっています。

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怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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