悪魔くん


「メーキング・オブ東映ヒーロー2ラディカルヒーローの世界」(講談社エックス文庫/昭和62年2月)。この“radical”というのは日本語に変換しにくい単語です。異色とか過激という意味がある一方で、正統・根本という意味もあります。ただ、これが特撮ヒーローのことかと思えば納得できるのです。ウルトラマン、仮面ライダー、またはキカイダーにしても、出現時は異端で衝撃的な存在でしたが、いつのまにか、主流になり基本になってしまいました。Radicalとは、そういう意味と理解してよいのでしょうか?
 この「メーキング・オブ東映ヒーロー」の2巻目で扱われているのは、ロボットヒーロー、忍者ヒーロー、妖怪ヒーローです。
 悪魔くんのカラー写真が載っていますので、今回は悪魔くんを描きました。セーターは茶色と白のVで、下地の毛糸は淡い桜色。これは、白黒フィルムで撮ったとき、自然な黒と白になる計算だと思います。不可解なのはマントの色で、表が光沢のある白、裏が、やはり光沢のある青です。特撮で飛行する場面を想定したとき、合成が難しくなります。カラー撮影会用のマントの疑いあり。

 「悪魔くん」は、映画監督をあきらめさせられた平山亨さんが、テレビ部に配属されてプロデュースした、第一回目の作品。玩具会社が企画し東映が受注して作る近年のシステムを作品と呼べるのかという疑義がありますが、「悪魔くん」にはスポンサーがありませんでした。東映が自費で製作し、テレビで放映するとき、一回毎に広告料を集金したのです。作品と呼んでよいと思います。第1話「妖怪ガンマー」の脚本を書いた高久進さんのインタビューが載っていますが、「良いものを作ろうと燃えていた」と証言されています。高久進さんは「キイハンター」から始まる丹波哲郎の刑事ドラマをずっと書いていく人ですが、子供番組でも名前をよく見ます。なぜか「仮面ライダー」シリーズは一本も書かれていません。
 そして、平山亨さんと伊上勝さんのコンビは「悪魔くん」から始まるのです。

 以前、字面だけを見て、伊上勝のペンネームは山上伊太郎からもじったのではないかと書いたことがあります。あれから、また嵐寛寿郎のインタビューを読み直しましたら、アラカンさんに「イガミ」と呼ばれていた人物がいたらしいことがわかりました。音感が似ていますが、この“イガミ”が脚本家山上伊太郎か否かは不明。もちろん、昭和20年にフィリピンで死んだ山上伊太郎と伊上勝に連続的師弟関係はありません。変身ヒーロー史を捏造することは自戒していますが、鞍馬天狗と仮面ライダーは結び付くはずだと確信しています。
 インタビュアーは竹中労さん。「聞書アラカン一代」という古い古い本なのですが、先日書店に行ったら、七つ森書館から新刊で出ていたのです。戦前戦中の映画界の裏事情がわかって、円谷英二研究者にもおすすめです。

 私にとっての「悪魔くん」体験を語りますが、これは本放送で見ていない人の共通談だと思います。白黒番組なので再放送が無かったことに加え、上に書きましたようにスポンサーがついていなかったので、玩具などの商品も出ていませんでした。
 その存在を知るのは勁文社の「全怪獣怪人大百科」です。「原色怪獣怪人大百科」には載っていません。しかし、「悪魔くん」が面白いという評価はずいぶん聞かされて耳年増にはなっていました。やがて、映像ソフトが流通するようになって、観てみたら本当に面白かった。特撮ファンとしては、なんらかの採点をしておかなくてはならないのですが、面白いといわれて観て面白かったら、何も言うことがありません。だまされて来てまことなり夕桜。
 加算するとしたら子役の魅力。第1話の貧太のびっくりする芝居、やはり第1話ラストシーンで、妹をものすごく雑におんぶする悪魔くん……第21話、化石人に氷漬けにされた桑原友美。救出に来たメフィストの魔力で解凍されるのですが、間髪入れずに愛想よく丁寧にお礼を言います。冷凍されて、ダメージゼロか。
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怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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