シルバーライダー


「宇宙船」Vol.28(昭和61年1月)。特集「アイアンキング」。なかなか面白いドラマで、私はDVDボックスを買って、未見という人にプレゼントしたことがあります。本当は、その人は「レッドバロン」が欲しいと言ったのですが、「よっしゃ」と引き受けて日本橋に行ったら、「アイアンキング」のボックスが目についたのです。通しで一気に観るならこっちだろうという私の判断でした。
 石橋正次の演ずる静弦太郎が好きになります。懐かしさを感じる兄貴です。石橋正次の「あしたのジョー」はときどきCSでやりますが“ジョーあにい”なんていうのは実際あんな人だったのだろうと思えます。「帰ってきたウルトラマン」にゲスト出演したときの犯人松本三郎にも、ものすごく感情移入してしまいます。ただ、アイアンキングの外見はどうしても好きになれません。シルバー仮面とウルトラセブンを併せた無難なデザインなのですが失敗しています。敵側にも見るべきやつがおりません。デザイナーは池谷仙克さんでした。後年、やる気を無くしていたと正直な心情を白状されています。

 脚本は全話佐々木守さんです。「アイアンキング」は佐々木さんの作品だとも言えます。佐々木氏といえば、古代より製鉄が盛んだった現在の山陰地方を支配していました。鉄の王です。アイアンキングのネーミングと何か関係があるのでしょうか?また、国家警備機構の静弦太郎とアイアンキングが戦う敵は、二千年前大和民族に追われた不知火族の裔です。日本列島に先住民族がいたという説は、皇室の正統性を攻撃するために左翼が援用します。佐々木守さんはずっと学生運動の闘士でした。「アイアンキング」の設定は思想的に逆かと思うのですが転向したわけではありません。「ウルトラマン」を書いていたときから変っていません。万人に支持されるヒーローに退治される怪獣とは体制に順じれないマイノリティなのだと。個人を排除する社会は民主主義ではないと主張し続けます。
 学生運動なんて屁ェみたいなもんだろうと考えたら大間違いです。乱闘の中で死人も出ました。これを鎮圧する機動隊員として動員された方に話を聞きましたら、怖くてパニックになったと言われました。戦場でもそんな心理状態にはなりません。共産思想のために日本人同士で死ぬまで戦う理由がわからなかったのだと思います。荒俣宏さんの「帝都物語」にも東京を襲った危機の一つとして学生運動が書かれていました。1960年代1970年代、学生運動が激しかった時代は、実に怪獣ブームの時代と完全に重なるのです。共感するにせよ反発するにせよ表現者ならば無視はできなかったはずです。興味のわかないテーマではありますが特撮ファンの視点で考えてみたいと思います。
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ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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