藤山直美


「コメットさん」は「ウルトラマン」より後に作られた番組なのですが、19話までは白黒です。その第11話「ふしぎなふしぎな女の子」に小学生時代の藤山直美が出ていてびっくりしました。わんぱく兄弟とコメットさんをむこうにまわして手のつけられない大暴れを見せます。藤山直美でもう一回びっくりしたのは「ゴジラ×メカゴジラ」の出演。逃げ遅れて踏み潰される一瞬の場面でした。藤山直美を特撮女優に入れます。

「コメットさん」に関係した人で意外な名前は、香川登志緒さん。「てなもんや三度笠」の作者です。コメットさん研究の第一人者籾山幸士さん編集の同人誌「β星より愛をこめて」を読んで内幕がわかりました。九重佑三子の所属事務所マナセプロからの「歌わせろ」という要求に折れて、二年目からドラマの後に「今月の歌」というコーナーがつけられました。同時期九重は、てなもんやシリーズ第二弾「てなもんや一本槍」にも出演していて劇中で歌う予定だった「ポロロンワルツ」を「今月の歌」に使いたいと願い、作詞の香川さんが諒承したのでした。経緯がわかれば意外でもないのですが、「てなもんや一本槍」は台本も映像も保存されておらず、「今月の歌」も再放送ではカットされていたのでフィルムが紛失して未確認の分があるそうです。
 さて、香川登志緒さんという人ですが、大阪のど真ん中に生まれて、子供の頃から寄席通いをしていたら、かの吉本勢に「ぼん、そないに好きか」と声をかけられ翌日から木戸御免タダで入れるようにしてもらいました。香川さんは「やさしい御寮人さんや」と思ったそうですが、吉本勢は、もっと賢くてしたたかな人です。演芸の将来を考えて評論的視点を持った見巧者を育てておこうと目論んだのです。そして、この少年の資質を見抜いた眼力の確かさに舌を巻きます。吉本100年の礎を築いた女傑です。香川さんは、楽屋へも自由に出入りして、桂春団治、エンタツ・アチャコ、ワカナ・一郎ら戦前の名人の芸と人物を観察することになります。
 終戦時は兵隊として満州にいたのでソ連軍の捕虜になったのですが、なんとか生きながらえて帰国しました。他者の追随を許さぬ笑芸についての知識が重宝され、お笑い番組の作家になるのですが、基本的に狷介でヘンコな人です。演出家の澤田隆治さんや同じ作家の花登筐さんともけんかしました。この香川さんを藤山寛美は、松竹新喜劇の座付きとして招きました。香川さんは寛美の子役時代も知っています。寛美丈はもちろん台本も頼んだのですが、香川さんと一緒に、よく死にかけたような役者の話しを聞きにいきました。「古い話を聴こうとする寛美はえらい」と評していましたが、藤山寛美はおそらく、大阪の芝居の歴史を香川登枝緒に記録させようとしていたのではないか?未来の大阪の芸人のために……。

 晩年は「若いくせに名人いとし・こいしの味わいがある」とダウンタウンに注目しました。ダウンタウンの方も「香川先生」と慕いました。いと・こい師は漫才は教えることはできないものと終生弟子をとりませんでした。それを証明してしまったのがダウンタウンなのですが、この二人が長く活躍できているのは、香川先生から昔の芸人の心意気や芸談を聴いたからではないかと思うのです。
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第一人者?より

拙著お読みいただき、どうもありがとう。
ネット上で今も特集サイトを管理しています。

『コメットさん』全79話DVD-BOX好評発売中。
「今月の歌」も次回予告も全部収録されていますよ。

リンク希望

ホームページ拝見いたしました。まさに偉業です。研究活動を応援したいと思います。リンクすることを許可して下さい。
「コメットさん」の価値は、この作品に記録されている時代の風景や子供の姿が、どんな特撮を使っても二度と再現できないことです。個人的には坂本スミ子の完璧な大阪弁です。こんな正しい発音のできる人はもういません。

……ついでに記事の内容を訂正します。いとし・こいしに弟子はいないと書きましたが、吉本新喜劇の桑原和男が弟子だったとラジオで西川きよしがしゃべっていました。

リンクどうぞ

ご返信どうもありがとう。
リンク紹介はご自由にどうぞ。
ひょっとしてお会いしたことあります?

おスミさんの発音は「コメットさん」のメにアクセント。
香川登志緒(晩年は登枝緒)さんも同じ発音でした。
九重「佑」三子の誤字できましたら修正よろしく。

修成しました

ご指摘ありがとうございます。誤字ではなく知らなかったのです。香川先生が改名されたことといい、やっぱり関西の特撮ファンは昔から博識です。
伊丹グリーン劇場のオールナイトに行ったことがあります。ゴラと言うとき、みんながにアクセントをおくのが不思議でした。
籾山さんは、私に「これを観ろ」といって「いつか通った雪の街」のビデオを貸して下さいました。

あれ?

度々失礼します。
「さとる」って拙著奥付にも載ってる「さとる」君?
最終頁でイラスト採用・掲載しましたよね。

「いつか通った雪の街」はわかる人しかわからない話です。
伊丹グリーンの友人連中はわかる奴ばかりで、凄いと感心しました。

伊丹グリーン劇場

籾山さんは本の中で「コメットさん」のエピソードにも何本か凡作があると認められています。しかし、テレビドラマの評価が平均点ではなく到達点で決まるとするなら、「コメットさん」最高傑作説に賛同できます。「いつか通った雪の街」は「第四惑星の悪夢」よりすごい。

浩二の視点で観ていたころにはわからなかったのですが「アリの国探検旅行」も良い話です。ダイヤを失うところからアリの穴に水を流すところまで、スミ子ママのダメさにみんなが翻弄されるのですが、登場人物もストーリーの結末も、このママを責めないのです。

伊丹グリーン劇場の特撮大会は本当に楽しかった。

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Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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