ケムール人


「成田亨画集」(昭和58年、Ⅱ昭和59年・朝日ソノラマ)怪獣研究家必見の本。意外と図書館や図書室に置いてあったりします。原画展もよく開催されているので本物をご覧になるのもよいかと思います。私は京都府大江山に建つ鬼のMONUMENTも見にいきました。バブル景気の時代、ときの竹下総理が地方自治体に“ふるさと創成資金”とかいう名目で一億円づつ配りました。これをもらった大江町は大江山に鬼の銅像を建ててやろうと考えました。そこにたまたま成田亨さんがあらわれます。日本の怪物である鬼を研究する目的で訪れていたのですが、話しをしていてこの人が彫刻家だと知った観光課の職員さんは「渡りに舟」とばかりに依頼をしたのでした。成田さんにとっても、これが最大の彫刻になりました。

 成田亨さんこそ日本の怪獣を定義した人です。
 渡辺明さんは怪獣は生物でなくてはならないと言っていました。キングギドラは宇宙怪獣でありながら外見は既存の地球生物の要素で構成されています。円谷英二は炎や光線を吐かせました。生物というより兵器に近い演出です。本多監督は、自己の人生観から災害あるいは戦争のような個人の力で抗いがたいものと解釈しました。東映は妖怪です。
 成田さんは怪獣は恐竜でも妖怪でもないと考えました。ウルトラQ怪獣をデザインしながらギリシャ哲学のカオス・コスモスの対立理論に辿り着きます。そして、怪獣をカオス=渾沌とするなら、ウルトラマンは必然的にコスモス=秩序となります。成田さんは円谷プロに対して、二つの問題で不満をいだいておられました。自分がデザインしたものが商品化されても権料が入ってこないこと。もう一つはコスモスの典型(キャノン)として完成させた彫刻作品ウルトラマンの姿に、他人が手を加えることです。芸術への冒瀆です。

 平成13年から製作された「ウルトラマンコスモス」。おとなしい怪獣に憑いて凶暴化させるカオスヘッダーという敵と戦います。カオスとコスモス…成田亨さんへのオマージュかと思いますが、二年にわたる長期シリーズになりパワーアップするたびにコスモスの姿がどんどん変っていきました。本当の顔もわからなくなってしまいました。これは渾沌カオスではないか。
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怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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