ロボット学校一期生


 忘年会の仕込みが始まっているようです。今年の人気はトランプさん。ゴムマスクの需要に生産が追いつかなくなり埼玉県大宮市のメーカーがうれしい悲鳴を上げているというニュースを聞きました。ゴムマスクで大宮市といえばオガワスタジオ。社名が小川ゴムだった頃、宇宙船の筆頭広告主でした。昔の宇宙船の裏表紙は、一面に気色悪いおっさんのマスクばかり並んでいました。創業はなんと明治38年。
 ということで「宇宙船」Vol.45(昭和63年11月)。名作検証「がんばれ‼ロボコン」。昭和49年10月4日から昭和51年3月25日まで2年間118回放送された人気番組。商品展開も大好調だった東映゠石森作品中の優等生です。成功要因をあげつらうことはたやすいのですが、さすれば、同様の後番組「ロボット110番」の不人気短命の説明がつかなくなります。
 そこで、私が以前より提唱しつつある特撮俳優説、人気の出る番組、記憶に残る作品は出演者が良かったという持論をあてはめてみたいと思います。ロボコンといえば、まずこの人。バレリーナロボット・ロビンちゃんとしてキャスティングされた島田歌穂。当時10歳。後年アイドルとして歌手デビューし、さらにミュージカルスターとして注目され紅白歌合戦にも出場した芸達者。ロボコンが家事手伝いとして住み込む大山家のお母さんは加藤みどり。もちろん、サザエさんです。喜劇女優としても一級の人であることを対ロボコンの芝居で認識できます。ちなみにロボコンの声を演じたのは山本佳子。バカボンです。お父さんは大野しげひさ。特撮番組として分類される「走れ!ケー100」の主役でした。当時の子供に人気があったのでしょうか?長男はじめは山田芳一、この人は少年仮面ライダー隊員でした。長女みどりは佐久間真由美。おなじみの子役ですが、よく見ると美人です。佐久間真由美とロビンちゃんが、それほど仲が良くないというのもドラマのポイントです。この下に次男まことがいます。そして、町の巡査さんが由利徹。本物の喜劇人が出演していることでコメディドラマとしての成立が保証されています。

 では…「がんばれ‼ロボコン」が面白いのか?笑えるのか?というと、製作者側が意図するギャグの方向に共感しかねるのです。ロボコンは家事代行ロボットとして大山家に住込み派遣されているのですが、洗濯や料理も失敗しますし、掃除をすれば必ず家の中を壊します。壁はぶち抜く、戸は破るは、柱まで折る。修理費のことを考えたら笑えません。子供三人、お母さんは専業主婦。稼ぎ手は30才くらいのお父さん一人。職業はサラリーマンです。通勤はマイカーなので、ロボコンのガソリン代を合算すると、自動車二台を保有していることになります。生活感が喪失しているのです。喜劇を支えるものは生活感です。吉本新喜劇においても、大衆食堂や温泉旅館の経営状況を限定条件として話が進展します。石森章太郎先生の原作漫画を読んでみても、ロボコンが家を壊す行為がギャグとして繰り返されています。笑えません。石森先生の資質はギャグの人ではないのでしょう。

 前段でバカボンの名前を出しました。テレビ化された「天才バカボン」ではパパの職業は植木屋です。これは、制作局の読売テレビの局長が「このおっさんは何をして嫁はんと子供を食わせとるんや?」と疑問を抱いたことから急遽付け加えられた設定です。当時のことですから原作者側に無断だったので、赤塚不二夫先生はおおいに怒られたそうです。再テレビ化の「元祖天才バカボン」以降のシリーズではパパは無職です。しかし、生活基盤のある最初のシリーズのほうが笑えます。優れていると言い換えることもできます。
 赤塚不二夫漫画の全ては知りませんが、生活という観点で言えば、主人公が八百屋である「もーれつア太郎」は生活があります。また、当作品には浮浪児窃盗団の暗喩であるノラ猫のニャロメ、ケムンパス、ベシとか、三国人やくざのココロのボス等の体制外に存在するキャラクターが登場します。これらの者は、人を笑わせるつもりは毛頭なく利害を主張して一所懸命に生活しているだけなのですが、それを良識や思想といったフィルターを通さずに見ると、おかしくて、共感できて笑えるのです。
 以前……働かない亭主に苦労させられたという女の人が、バカボンのパパとフーテンの寅さんと裸の大将を見たら腹が立つと言っておられたことを思い出しました。
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ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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