コンドールマン


「宇宙船」Vol.37(昭和62年7月)。特集「コンドールマン」。「仮面ライダーストロンガー」「秘密戦隊ゴレンジャー」と同時期に企画された東映作品でプロデューサーは三本とも平山亨さん。(荒木しげるは、どれに出たいかと聞かれて、とりあえず“仮面ライダー”とついているストロンガーを選んだという話が残っています。)昭和50年春の新番組として東映が放った三本の矢でした。しかしコンドールマンだけはヘンな方向に飛ぶ番組です。まず主題歌がヘンです。
〽どこの どこの誰から たのまれた
命をかける価値も無い それほど汚れた日本の
人の心が産み出した……
 こんな絶望的な歌詞を、児童合唱団が朗々と歌っているのです。作詞は原作者でもある川内康範さん。しかし、この主題歌がウケたのでした。このあとの
ゼニクレージー!ゴミゴン!スモッグトン!
 と無意味な単語を絶叫する部分が子供の嗜好にマッチしたのでした。ドテッチーン!ヒネモグラーッ!みたいなものです。ちなみに私はこのテの無意味な歌には反応しません。一番良いと思い続けている主題歌は「宇宙の騎士テッカマン」です。

 さて、コンドールマンのひたいには鳥の羽と爪でかたどられた月形の徽章があります。月はイスラム教のシンボルです。川内康範さんはイスラム教の信奉者だったのでしょうか?月光仮面の月の紋章を詮索するまでもなく、川内原作の東映ヒーローに、まったくそのもの「アラーの使者」があります。レインボーマンは仏教ですが、ダイバ゠ダッタを聖者として崇拝する宗派は異端で日本では聞いたことがありません。
 イスラム教と変身ヒーローの関係について考えてみます。月光仮面と並ぶ変身ヒーローの元祖・快傑ハリマオのモデルである谷豊はイスラム教徒でした。月光仮面のモデル大山倍達はイスラム教の信者ではありませんが、極真空手を熱心に受け入れてくれた国は、中東やアジアのイスラム圏の国でした。イスラム世界の人々は格闘技の強者を尊敬します。変身ヒーローの第一条件も素手の格闘で強いことで、武器や乗り物の性能は第二義です。アントニオ猪木も強者ペールワンの諡号を持っていてイスラム世界で顔がききます。湾岸事変のときは、イノキ・ペールワンの名でフセイン大統領と交渉し、現地の日本人を救出しました。
 猪木が北朝鮮ともパイプを持っているように、かつて共産主義だった東ヨーロッパの国々にも極真空手の支部がありました。共産主義者が資本主義世界の解体を企んでいるように、イスラム教徒も反イスラム原理が支配する世界の破壊的革命を夢想しています。ならば、イスラム教と共産主義は相性が良いのかと思ったら、1991年共産党ソ連がアフガニスタンに侵攻したときには「無神論者との戦い」というテーマを掲げて世界各国からイスラム教徒が結集しました。一神教と無神論は相容れなかったのです。

 日本は多神教といわれています。やおよろずの神々のなかに、アラーがいて、エホバもいて、便所の神さんもいるという考え方です。考え方というより感覚です。仏教も無神論も共存しています。イスラム教徒モスリムの数は1万人くらいだそうです。多面的な価値観で多元論の国です。たしか……みうらじゅんさんが言っておられた説ですが、スーパーマンやバットマンがずっと一人なのに対して、ウルトラマンや仮面ライダーがどんどん増えるのは日本が多神教の国だからだそうです。それにしても増え過ぎました。ここは一神教であってほしかった。
スポンサーサイト
プロフィール

ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

カテゴリ
リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブログランキング

FC2Blog Ranking