ジャイガー対キングシーサー


「SF怪獣と宇宙戦艦」(昭和54年・小学館)。コロタン文庫の39巻。映画とテレビに登場するキャラクター達が、エーリアン、ロボット、怪獣、スペースクラフト、アースクラフト、武器、異世界、ヒーローの8つのカテゴリーにカタログ風に分類されています。大百科サイズの本で映画のストーリーを紹介されても読みにくく、このカタログ形式の方がすっきりします。前回、怪獣図鑑を買う際の条件は自分の知らない怪獣が載っていることと書きましたが、キングジョーやウルトラホーク1号といった家族よりつきあいの長いものが掲載されている「SF怪獣と宇宙戦艦」はホッとします。また、サンダーバードなら、1、2、4号はアースクラフト、3、5号はスペースクラフトの項に別々にわけられているのですが、わがウルトラホーク1号はスペースクラフトの項に入っています。主にジェット戦闘機として運用されていたのですが、そういえば、ペガッサシティーを攻撃に行ったこともあったと、なんか嬉しくなってしまいます。
 執筆者を見ると、聖咲奇さん、開田裕治さん、隈谷和夫さん、米田仁士さんら、この後「宇宙船」の創刊に関わる人々の名前が並んでいます。「宇宙船」のイラストといえば米田仁士さんでした。読者欄の小さいカットなどにも凛とした気品がありました。F.フラゼッタを意識されていたようですが、フラゼッタの猛々しさは無く、かわりにかわいらしさがありました。これは米田さん個人の資質というより民族的限界ではないかと思います。米田さんのイラストがあるときの宇宙船は高尚な専門誌を読んでいる気がしたのですが、編集スタッフが代わってイラストレーターも違う人になると、なんとなく低級な雑誌になりました。次回からまた、宇宙船の考証を再開します。

 コロタン文庫のラインナップを見ると、鉄道ものが充実しています。昭和58年3月の時点で全87タイトルあるのですが、そのうちの17冊が鉄道関係です。私は、子供の頃からこの趣味だけはありませんでした。「国鉄駅名全百科」「鉄道時刻表全百科」「鉄道切符全百科」等という題名を読んだだけで大笑いしてしまいます。
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ギロン対ガイガン


「世界の大怪獣ものしり大博士」(昭和54年・桃園書房)これも大百科サイズの本です。奥付けを見ると聖咲奇さん、酒井敏夫さん、開田裕治さん、品田冬樹さん、米田仁士さん…他、宇宙船と共通する執筆者の名前が見られます。この本もまた宇宙船創刊の根源になったのでしょう。
 怪獣図鑑を選ぶときの基準は、自分の知らない怪獣が載っていること。世界中の怪獣について知りたいと思っていたのです。ましてや日本の怪獣で知らないやつがあったならば逡巡せずに買います。「世界の大怪獣ものしり大博士」にも、撮影中断した大映の「大群獣ネズラ」とともに、昭和51年東映のデビルマンタが紹介されています。宇宙から来たエイの怪獣だというのですが、企画年度から見て、あきらかに「ジョーズ」の剽窃です。企画書に石森章太郎先生の名前もあるのですが、残っているデビルマンタのデザイン画は石森先生の絵ではないような気がします。

 世界中の怪獣のことが知りたいという悲願を立てた私でしたが、学校の帰り途に入った古本屋で、やはり大百科サイズの怪獣図鑑を見つけました。全部知らない怪獣ばかりでした。一匹たりとも知らないのです。世界は広いと思いながら買って持って帰りました。なお、私の言う世界中の怪獣とは、映像化されたものに限るといった、そんな狭い範疇のものではありません。ネッシーみたいな実在怪獣から神話や物語に登場する怪獣まで全部なのです。で……その本を読んでいったのですが、こいつらが何者なのかわかりません。気がついたら、写真は一枚も無く全て絵です。なんと、この怪獣図鑑のために考えて描かれた怪獣だったのです。怪獣図鑑のための怪獣=そんな関係式は成立するのでしょうか?不気味なものに見えてきて箱の底にしまっておいたのですが、それでも気持ち悪くて河原で火をつけて燃やしました。

ラドン対ギャオス


 竹内義和さんの著作を検索したのですが、前回の「怪獣格闘概論」が挙がっていません。「大特撮」はありますが「世界怪獣大全集」はありません。このほかにもリストに記載されていない怪獣本があります。
「怪獣映画大全科」(昭和58年・秋田書店)これも竹内さんの編集。勁文社の大百科サイズの本です。1925年の「ロストワールド」から1982年までの秀作怪獣映画を選出して子供向けに解説紹介されています。日本映画重視で海外作品も付け足された「世界怪獣大全集」よりも世界映画史の中に日本の名作を含める形の「怪獣映画大全科」の方がしっくりします。外国の怪獣映画といっても、ほとんど恐竜です。「ジョーズ」に代表される「グリズリー」「アリゲーター」「オルカ」等の大きめの動物映画も多いようです。あらためて、日本怪獣の凄さを知ることになります。

 さて「怪獣格闘概論」の共著者田中正悟さんには「イノセントファイター」という自叙伝があり、前田日明には「パワーオブドリーム」という自伝があります。それによると、不満のエネルギーをけんかに向けた前田日明は、相手をもとめて毎日大阪をさまよっていました。強いやつがいると聞けば出向いていってやっつけていました。そして、初めてコテンパンに負かされた相手が田中正悟さん。一学年下で、190センチの前田からすればチビなのですが、「弟子にして下さい」と頼みこみます。漫画のような話ですが、本人も漫画の登場人物になりきっていました。そういう時代だったそうです。意気投合した前田と田中さんは、二人づれでけんかをして回り、大阪でその名を知らない不良はいなくなったというのですが……。
 前田の通っていた北陽高校には二級上に、阪神の名選手になる岡田彰布がいました。尼崎のジーパン屋の店長と親しくなって話していたら、この店長が北陽高校出身で当時の岡田を知っておられました。高校時代からスターではあったのですが、その名声もさることながら、下級生をいじめたり威張ったりするところのない人格者だったということでした。岡田という人の評価は、この店長の感懐で決定したのですが、格闘技プロレス派の私としては、岡田より前田の方が気になります。「岡田の後輩やったら、同級生に前田日明がおったんやないですか?」と尋ねたら、前田がプロレスで有名になってから知ったことで、記憶に無いくらい目立たないやつだったと言われました。
 また、天満のキックボクシングジムでトレーナーをやっていた人も、あの時代の大阪でけんかをしていたのですが、前田日明の名前も田中正悟の名前も聞いたことが無かったと言っていました。

アンギラス対バルゴン


 この項、前回の続きにします。
「大特撮」「世界怪獣大全集」を出したコロッサス・コーオペレーションの竹内義和さんは、筆も立つのですが、多才巧弁の人で、テレビやラジオに出演されるようになります。宇宙船Vol.1にのっている写真は痩せて鋭い感じなのですが、その頃は少し太っておだやかな顔になられました。読売テレビ制作で、高野宏一、野長瀬三摩地、満田穧、佐々木守、上原正三、桜井浩子を円谷プロに集めて一夜、ウルトラマンについて語り明かすという壮絶な番組がありましたが、その司会進行をつとめたのも竹内義和さんでした。ラジオでは、プロレスからピンポンパン、宗教にまで興味と話題を拡げて、オウム真理教と創価学会を敵にまわしました。

 その竹内さんの著書で「怪獣格闘概論」(平成6年・青心社)という本がありました。怪獣を仮想対決させてどいつが一番強いのかを証明することが主旨です。科学特捜隊の装備を技術的に考察したり、生物学の視点からゴジラを観察するというような本がよく出ていた時期に出版された一冊です。そんな中でも群を抜いて愚にもつかない内容とも言えるのですが、この妄想に説得力が付加されているのは、監修的共著者に田中正悟さんの名前があること。本業はラーメン屋の大将なのですが、高校時代、前田日明とけんかして勝ったという人。前田が猪木の後をつぐ新格闘王として期待されはじめるとともに、その前田に勝った男として有名人になりました。田中正悟さんの昔の写真を見ますと、細身の美少年。これで、天才的にけんかが巧かったというですから、まさに漫画のヒーローです。
 最終章でトーナメントをやらせて最強怪獣を決定するのですが、エントリーされているのはガッパ、ギララを入れた映画怪獣ばかり。ゴモラ、メフィラス、ゼットンは特別に参加資格が与えられての出場です。竹内さんは昭和30年生まれ、田中さんは前田より一つ下の35年生まれ。前回、「世界怪獣大全集」にテレビ怪獣が無視されていることに不満を申しましたが、怪獣ブームを実感した世代にとっては、怪獣とは映画なのかも知れません。せいぜい認められるのは「ウルトラマン」まで……。この感覚については反論するより理解したいと思います。

「怪獣格闘概論」じつは買っていません。四ツ橋にあった昔の大阪電気館の図書室で読みました。田中正悟さんの店「西遊記」はこの近くにあります。

ゴジラ対ガメラ


「世界怪獣大全集」(昭和56年・朝日ソノラマ)前々回、取り上げた「大特撮」のコロッサス・コオペレーションと宇宙船が協力して作った本。ファンタスティックコレクションスペシャルということで、従来のファンタスティックコレクションより厚くて定価は2300円。「大特撮」より版型が大きく写真も豊富なのですが、私にとってはあまり役に立たない本でした。映画怪獣に限定されていることに加えて、外国作品の怪獣も入っているので、徹底的な感がありません。大全集という名のわりには不完全な編集です。当然ながら怪獣映画は次々と製作されるので、情報は古くなります。怪獣を邀撃する自衛隊の装備に関する考証記事が象徴かも知れません。時が経るにつれて価値の下がるおかしな本です。

 来年の「ゴジラ」ですが、樋口さんが監督するのなら、今度こそガメラと戦わせてほしい。
プロフィール

ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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