シルバー仮面


 佐々木守さんは、國民学校三年生の夏に終戦をむかえました。これからは、民主主義の世の中が来ると教えられました。「個人が、体制よりも社会よりも組織よりも優先して尊重される考え方」であると佐々木さんは解釈しました。それは「輝かしい世界」でなければなりませんでした。しかし、戦後日本は多数決で物事が決まる「バカな国」になりました。佐々木さんは左翼の運動家になり時代の闘争に参加します。また児童文学を専攻した佐々木さんは子供番組の脚本家になりました。高度経済成長期、子供番組の中でも科学的真理こそ正義とされました。進歩イコール「善」という風潮が時代を支配し、その頂点に登場したウルトラマン。この絶対的な存在に対して、ジャミラというアンチテーゼを差し向けます。第23話「故郷は地球」、この回の監督は実相寺昭雄。看過してならないのは、ジャミラが宇宙科学とは無縁そうな山村の農家を襲う場面です。テレビや自動車のある国に無辜の民など存在しえないと言っているのです。罪の意識が無いとしたら、その無知こそ重罪なのです。
 ジャミラは「怪奇大作戦」においては犯罪者の姿をとります。現代社会から排除されたものが自己の存在理由を試すとき、かならずや狂人として抹殺されます。「怪奇大作戦」の橋本洋二プロデューサーは子供番組の製作者として、やはり戦後教育を否定していました。橋本プロデューサーと実相寺監督と佐々木守さんが企画した番組が「シルバー仮面」です。ジャミラが怪獣でも犯罪者でもなくヒーローになったら…体制の権威には抵抗し、民衆の無知にも迎合せず、子供の嗜好すら無視されます。正義は自己の中にあり、未来の彼方にしか無い理想の世界にむかって突き進んでいきます。民主主義とは、そういうことなのです。
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ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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