ハカイダー


 テレビマガジン特別編集「ビジュアル全集人造人間キカイダー」昭和62年講談社。圧巻のキカイダー写真集。何故、本放送当時「キカイダー」を掲載していなかったテレビマガジンにこれほど写真があったのか?講談社には大島康嗣さんという名カメラマンがおられたのです。撮影会ではいつも一番よいポジションにつき被写体の怪人も大島さんに向けてポーズを取ったといいます。特別扱いを受けている大島さんとしても、現場から撮影会の連絡があると「キカイダーは関係無い」と言えなかったのでしょう。
 しかし…第一弾「仮面ライダー大全集」からはじまるテレビマガジン特別編集シリーズ。写真はすばらしいのですが、文章がまわりくどいわりに、味気ない。一番気になるのが、俳優の個人名に「氏」をつけていることです。現役の俳優やスポーツ選手に敬称をつけないことは慣例であり礼儀です。そもそも新聞等で使われる場合の「氏」は「mister」の誤訳です。明治以前には個人を意味しません。女優にまで「氏」をつけるのはあきらかな間違い。写真も大事ですが書籍である以上、文章も大切です。

 昨年、「別冊宝島特撮ニッポン」という本を店頭で見かけて開いてみたのですが、はじめのほうの頁に「鷺巣富雄は円谷英二に私淑した」と書いてありました。鷺巣さんは円谷英二に直接指導され薫陶を受けたと言っているのですから、「私淑した」のではなく「師事した」のです。この一行だけで買う価値無しと判断できます。   つづく
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キカイダー


 厳密に言えばテレビ先行企画なのですが、「人造人間キカイダー」については必ず石森章太郎先生の原作漫画を読まなくてはなりません。小さくは少年が大人になる瞬間の物語。大きくは神と人間と悪魔の相関図です。石森ヒーロー達はよく神と対決します。石森章太郎は神を否定する作家でした。神をかたり他者を支配しようとする者を許さない常識人でした。とくに人間の自由意志を規制する一神教と、人間の創造力は無限だと宣言した萬画家石ノ森章太郎は相容れるはずがありません。しかし、人間ドラマを描こうとした最晩年の作品「ホテル」に登場する人物群は一様に薄っぺらでリアリティーに缺けます。人間主義もまた一神教と同じく単純な一元論なのです。

「人造人間キカイダー」において、人間は人造人間の造物主となります。良心回路を組み込まれたキカイダーは人間にさからうことが出来ません。まさに神です。ストーリーもまたキカイダーの視点に加担せず、その不可解な行動を神の目で見守るだけです。再確認しておきますと、人間の共同幻想として神は存在します。すなわち絵に描くとしたら、それは人間の脳のかたちをとります。キカイダーの前に脳の化け物ハカイダーが登場します。マニュアルやプログラムはキカイダーの複製ですが、良心回路を持たないハカイダーは欲望の赴くままに行動ができます。
 悪魔に導かれる少年のようにキカイダーの運命はハカイダーによって変転してゆきます。悪魔もまた人間の創造したものです。ハカイダーはキカイダー自身の影だったのです。世界征服を企てるハカイダーは、キカイダーを味方にするため良心回路を制御する服従回路を埋め込みました。その結果、正義と悪の二つの心を持ったキカイダーは人間と同じ感情が働き出します。人間の心を持ちながら実際はロボットである者は、この世界にどう存在していけばよいのか?釈迦ですら考えなかった命題を与えられて物語は幕を降ろします。
プロフィール

ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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