キティファイヤー


「宇宙船」Vol.15(昭和58年8月)。高山良策怪獣製作日記昭和46年8月30日〜11月7日よりキティファイヤー。高山さんが造られたミラーマン怪獣は、このキティファイヤーだけです。ピープロのスペクトルマン怪獣の仕事はあいかわらず続いていますが、池谷仙克さんがシルバー仮面宇宙人の仕事を持ち込んできます。キティファイヤーは燃え上がる炎を表現しようとバンザイした形でぬいぐるみが造られたため、ふなっしーより動きが不自由だったのですが、二回目に登場したときは、ミラーマンとよく格闘しています。おそらく、肩の周りを改良したのだと思われます。

 さて、Vol.15の特集1は「宇宙家族ロビンソン」。特集2は「大アマゾンの半魚人」。真に、時代にも読者にも媚びない編集方針です。池田憲章さんが『「宇宙家族ロビンソン」のことを思い出すと血湧き肉踊ってくる。』と語っておられるのですが、あとの世代の者には、その実感がわかりません。また、アマゾンの半魚人のデザインは鮮烈で画期的だったと言われても、我々は先にラゴンを見てしまっているので、衝撃的でもなく驚嘆もありません。されども!「宇宙家族ロビンソン」を知らずして「ここは惑星0番地」を論評することはできませんし、「大アマゾンの半魚人」の原題「CREATURE FROM THE BLACK LAGOON」のLAGOONが、わがラゴンの名前の由来なのです。日本の歴史や大東亜戦争の真相を知らなくても、この国で生きることになんらさしつかえは無いのですが、特撮ファンであるなら、古い恐怖映画や昔のSF番組は観ておかなくてはなりません。そして、当時の人がどんな反応を示し評価をしたのかを拝聴する必要があります。
 菊池秀行さんらによる「NEO HORROW入門」。私はホラー作品は興味が無いというより苦手です。こう言うと、精神が健全であるようですが、たぶん、この社会に教育されて洗脳されて去勢されてしまっているのです。人間の皮を剥いだり、首を切り落としたりする映画があること。また、そんな映像を作らざるを得ない人がいることを認めたいと思います。ホラー映画進化論では、作品の意義とは人の心が人の心に伝わることであるから、故に何百億円の製作費で作られた超大作映画はニセモノであるとして、少なくとも心の闇を映すホラー映画はすべからく貧であるべしと断じておられます。
 これは、“SPLATTER MOVIE”の定義を翻訳し菊池さんの意見を加えた文章なのですが、いまや人口に膾炙されることになった“スプラッタームービー”という分類語が日本で初めて紹介された瞬間だったのではないでしょうか?かつての「宇宙船」は時代にも読者にも媚びなかったと書きましたが、じつは、時代より先に行き読者を引っ張っていたのでした。

 一つ、仮説を立てます。もはや日常語として定着してしまった「着ぐるみ」という造語の発祥が宇宙船であることは確実なのですが、起因はアマゾンの半魚人ではないか?昭和58年発行のVol.15の時点では「半魚人のぬいぐるみ」と書かれていますが、そのMONSTER SUITとしか呼びようのない皮膚を日本式のぬいぐるみと翻訳することに無理矢理な感を覚えて、編集部の聖咲奇さんあたりが着ぐるみという呼称を造ったのではないか……?検証続行します。
 
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ザイラス


「宇宙船別冊3D SFワールド PART2」(昭和58年7月8日)。バンダイ・ポピー事業部のリアルホビーシリーズの発売に合わせた増刊でしょうか?商品化されなかったメカゴジラとレッドキングの試作原型の写真もジオラマ作例のかたちで載っています。レッドキングの発売が見合わされた理由は、原型の写真を見てイメージが違うという手紙が多く寄せられたからです。実際のレッドキングは細身で小顔で足が長いのですが、これを玩具サイズに縮小すると弱々しく見えるのです。短足でズッシリした怪獣のイメージがあるのです。「80」のレッドキングは、そのイメージで若狭新一さんが造られたのですが、人間が入るサイズで太めに造ると今度はオリジナルの精悍さが失われます。田宮模型の社長が仰っていたのですが、零戦を設計図通りに、例えば48分の1に縮小したら零戦に見えなくなるそうです。この辺に特撮の神髄が垣間見えてきます。

 この年にバンダイとポピーは合併するのですが、ポピーとはもともとバンダイのキャラクター玩具を扱う部門でした。「仮面ライダー」と「マジンガーZ」の売り上げで社内で突出してしまったために切り離して独立させたのでした。給料の不公平感等の問題が出たのでしょう。そして再び併合された理由はガンプラでした。プラモデル事業部が発売したガンダムのモビルスーツシリーズが品薄になり社会問題になるほど売れたのです。こうなるとキャラクター部門を切り離しておくより統合させたほうが合理的という判断になったのです。
 さて、この「機動戦士ガンダム」というものですが、これは宇宙船創刊当時よりありました。じつに特撮ファンの活動はガンダムブームの中で始まったのでした。しかし、ロボットアニメが中学生以上に対象年齢を上げていくのに引き替え、特撮ヒーロードラマの対象年齢は未就学児童にまで落ちていきます。特撮ファンとしては、忸怩たる思いの中で反骨精神が育ってしまいます。おかげで性格がかなり歪んでしまいました。徳間書店からガンダムエースというガンダム漫画の月刊誌が出ています。それに続いて、特撮漫画専門の特撮エースが創刊されました。ときどき買って読んでいたのですが、まもなく廃刊になりました。あのときは本当に背筋が寒くなりました。特撮がたばになっても、ガンダムにかなわない現実を思い知らされました。しばらく無口になりました。宇宙船も休刊していたのです。
 イオンにプラモデル売り場があるというので見にいったら、全部ガンプラでした。帰ってきて怒りました。零戦すら置いてないプラモデル売り場なんてあるものか!日本橋にガンダム専門店はありますが、ウルトラマン専門店とか仮面ライダー専門店は存在しません……。怒っても喚いても仕方ありません。同じような理由で昨今のスターウォーズブームにも乗れません。私にとって、スターウォーズはミッドウェーと同義語です。そのときから、日本特撮はアメリカに負け始めた気がするのです。
 最後に一つだけかましておきます。光の剣の発想はスターウォーズのライトセーバーが最初で、ガンダムがビームサーベルで真似して、宇宙刑事ギャバンのレーザーブレードが三番煎じと認識している人が多いと思いますが、最初に使ったのは「ミラーマン」に登場する怪獣ザイラスです。なお、放送タイトルは「火焔怪人ザイラスを撃て!」ですが、ザイラスの武器は火焔ではありません。光の剣、光の手裏剣、光の球です。

アイアン


 ずいぶん昔、初対面のコレクターの人に「書籍マニアですね」と言われたことがありました。そのときは意識はなかったのですがいつのまにか増えていました。そして、狭い寓居がさらに手狭になってくるにつれて、怪獣本一冊買うのにも考えたり迷ったりしなくてならなくなりました。おかげで、こと怪獣本、特撮本に関しては目が利くようになってきました。最近は買って失敗することもありません。
 一年間だらだらと続けてきた怪獣ハウスですが、テーマを「本」に決めます。プロフィールも書き換えました。次回からは、私が買った良い本やだめだった本を紹介していきます。

ミラーマン


 昭和54年、放送終了から7年後に朝日ソノラマから刊行されたファンタスティックコレクションNo.16が「ミラーマン」の初めての研究書でした。作品解説を執筆されたのが酒井敏夫(竹内博)さん。円谷一監督は書生として居候させていた竹内さんに、完成した第1話「ミラーマン誕生」を見せました。竹内さんは「帰ってきたウルトラマンの方が面白いですね」と正直な感想を言ってしまったそうです。そのときの気持ちはいまも変らず、35ミリフィルムを使った光学合成カットなど特筆すべき部分もあるけれど、やはりウルトラマンの影ともいうべき哀しい存在と結論づけます。「ミラーマン」の本で「ミラーマン」が面白くないと書かれているのです。こんな正論は現在の本ではありえません。なぜなら、いまの特撮出版物には必ず映像ソフトや関連商品の広告が掲載されるからです。昭和54年当時はビデオデッキすら普及していません。

 さらに後日談があります。この本の最後に好きな特撮映画と特撮テレビに投票する葉書が付いていて、結果は宇宙船創刊号で発表されます。映画では1位「ゴジラ」。テレビの方が1位「ウルトラセブン」2位「ウルトラマン」3位「ウルトラQ」と順当にきて、4位が「ミラーマン」!ここで集計した編集者が一度驚きます。そのあと、ミラーマン本に付けていたアンケートだったことを思い出すのです。よくよく哀しい存在です……。
プロフィール

ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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