メカゴジラ


「宇宙船」Vol.65(平成5年8月)。密着大取材「ゴジラvsメカゴジラ」。ダイアモンド仮面からゾーンファイターとメカゴジラが戦っているイラストを描けというリクエストが来ました。この無理難題な公案にたいして私は坐禅を組んで考え、怪獣映画のポスター風にまとめるというトンチで切り抜けました。
 なめとんのか!と怒られるかも知れませんが…ちょびっとだけ生頼大画伯を意識しています。ゴジラの目を赤くすると、それらしくなるという裏技も見つけました。

 ゾーンファイターのデザインは井口昭彦さんと言われていましたが、特撮秘宝の証言でアニメーターの岡迫亘弘さんだったことが判明しました。アニメ版「月光仮面」の作画監督をされたことで萬年社とつながりが出来、その後、レインボーマン、ダイヤモンドアイもデザインされたそうです。そう言われると、ゾーン三兄弟のスタイルはイスラム風ではあります。ゾーンファイターについて萬年社から言われたことは、斬新なヒーロー…ではなく、ウルトラマンみたいなものをというミもフタも無い注文。

「ゴジラvsメカゴジラ」、主演は高島政宏。復活「ゴジラ」の田中健以来、なぜこの人なのか?といつも思っていましたが、高島家次男政宏(長男は夭折)については本人の意思に関係なく家業として「ゴジラ」には出ておかなくてはなりません。ついでに、お父さんも特別出演しています。なお、みうらじゅんさんは高島忠夫は嫌いだと言っておられました。
 高島忠夫の代表作は怪獣映画ではなく花登筐の「細腕繁盛記」の板前役です。正確な大阪弁が話せる役者を揃えていたことが花登筐ドラマの魅力でした。現在、NHKで吉本せいの一代記をやっています。興味のある主題なので見てみたら、大阪弁がむちゃくちゃでした。その土地の言葉はその土地の人の心です。心がわからなければドラマはうそになります。
 ヒロインは佐野量子。当時、まさに武豊と噂になっていて、発表記者会見ではメカゴジラのことはそっちのけで、質問は武豊のことばっかりになりました。結婚後はすっぱり引退したのですが、昨年、武豊が浮気をしたので、久しぶりにテレビに引っぱり出されていました。

 私は「ゴジラvsメカゴジラ」を京都宝塚劇場で観ました。ゴジラがついに王城聖地を侵すというので現地で体感したいと思ったのです。京都を蹂躙した後、宣伝に協力した毎日放送の裏手を表敬通過し大阪湾に抜けます。距離感がわかるので、京都から大阪まで歩くのは、ゴジラとはいえしんどいやろと無精者の私は思ってしまいました。ところが……その頃、京都から電車で大阪学院大学に通っていた人が、陸上部の高橋尚子さんに「Qちゃん、今度の日曜日うちに遊びにおいで」と言いますと、高橋さんは、吹田の寮から京都まで走ってきたというのです。当然、帰りも走りです。京都ー大阪間は人間でも走れる距離なのでした。
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バトラ


「宇宙船」Vol.61(平成4年8月)。「ゴジラvsモスラ」詳報。新怪獣はバトラ。黒い蛾です。現代の成虫蛾の口は蝶と同じくストロー状になっているか、退化して無くなっているのですが、バトラにはモスラ同様牙のついた口があります。デザインとして間違っていると思われるかも知れませんが、原始蛾には口がありました。バトラとモスラを蛾の古代種と考えるとむしろ正しいのです。問題はモスラの羽にある目玉模様で、これは蛇に擬態して天敵の鳥から身を守るためのものです。この羽の模様から推察できることは、モスラ種が乱舞していた時代に、翼長250メートルの蛾を捕食する鳥類が棲息していた可能性です。

 登場怪獣はモスラとバトラとゴジラなのですが、人間側の出演者も見ていきます。
 主人公を演じたのは別所哲也。この人は後に「ULTRAMAN」でウルトラマン・ザ・ネクストに変身します。ほかに代表作も無さそうなので、特撮俳優の列に加えてもよいかと思います。
 小林聡美。怪獣映画の人間側ドラマの中心になるのは、昭和29年の「ゴジラ」以来、だいたい結婚前の男女なのですが、別所哲也と小林聡美は離婚した元夫婦。ゴジラvsモスラ騒動でやけぼっくいに火がつき、状況の沈静後、元のさやにおさまるのです。二人の間には女の子がいて、家族円満めでたしめでたしという結末でした。ちょっと珍しいかと思いましたが、ハリウッド映画の風潮を取り入れただけでした。アメリカのファミリー映画によくあるパターンらしいのですが、寡聞にして私の周辺では離婚して復縁したという話を聞きません。(そんなこと言うなら怪獣が出て暴れたという話も周辺で聞かんぞ!)別所哲也はウルトラマンになったときも独身ではなく、難病の子供を持つ父親役で、仕事よりも家族優先でした。
 小美人役は双子じゃないのが残念。第3回東宝シンデレラの今村恵子と審査員特別賞大沢さやか。三枝未希役の小高恵美は第2回東宝シンデレラ。第1回はもちろん沢口靖子なのですが、ほかの人はゴジラ映画以外では見ません。
 国家環境計画局という架空の官庁があって、ここに宝田明と小林昭二と篠田三郎がつめています。ああ、この人達になら日本をまかせられる…本気でそう思えます。

「ゴジラvsモスラ」は興行成績22億円という結果で怪獣映画史上に刻まれるのですが、ハリウッドスターの映画一本の出演料がそんなところらしい。

メカキングギドラ


「宇宙船」Vol.57(平成3年8月)。特報「ゴジラvsキングギドラ」。宇宙最強の超生物キングギドラ復活。とりあえず最強怪獣と言われ続けていますが「怪獣大戦争」以降は連戦連敗でボロボロな扱いをされてきました。今回も、ちっちゃいペットにされたりメカギドラに改造されて人間に操縦されたりと散々です。この映画はタイムマシンで過去を変えるストーリーでした。できれば「地球最大の決戦」以前の時代に行って、ソロ主演映画「キングギドラ」を製作し、以後の歴史を変えてやりたいと思いました。

 出演者を見ていきます。主人公は豊原功補。知らない人だったのですが、前作「ゴジラvsビオランテ」にちょい役で出ていたようです。大森一樹監督に気に入られたのでしょうか。
 ヒロインは中川安奈。この人も知らないのですが、お父さんは中川晴之助監督。ウルトラQで大傑作「鳥を見た」「カネゴンの繭」「育てよ!カメ」を撮った人です。何箇所もロケに行って、フィルムを大量に費うので、ウルトラマンでは願い下げにされた実相寺さん以上の豪傑監督。お爺さんが千田是也。東宝特撮映画の博士役でよく出てきます。関西ではなじみが薄いのですが、東京の演劇界の大立者。ビートきよし師匠が考えたギャグに「なんだコレヤ千田コレヤ」というのがあるそうな。
 東宝特撮おなじみの人では土屋嘉男、佐原建二、佐々木勝彦が出ています。一番うれしかったのは小林昭二の出演。このおやっさんが出てくると、やたら嬉しくなります。

 そして…アンドロイドM11役のロバート・スコット・フィールド。この人を私は難波の南街会館で見ました。行列に並んでいたら、すぐ後ろにいたのです。中学生レベルの英会話力で『ゴジラvsキングギドラに出とられた人やないですか?』と聞いたら「そうです」と笑って握手をしてくれました。後で知ったことですが、南海ホークスのピッチャーとして日本に来て、そのまま大阪が気に入って住み着いたということでした。
 そういえば…同じ時期、道頓堀でハリソン・フォードを見ました。私が一番最初に見つけたのですが、あっというまに人だかりになってしまいました。ツーカーホン関西のコマーシャル撮影だったのでした。
 やはり同じ時期、上六(上本町六丁目)で、パトリック・スチュワートを見ました。「ピカード艦長や!」と思って行ってみたら、ただのハゲ頭のお爺さんでした。しかも日本人。ところが、私が懐かしげに寄ってきたものですから、その人も知っている者かと錯覚をおこして愛想笑いで会釈されました……。

 最近はというと、認知能力が低下しているのでスターを見つけるどころか、先に向うから挨拶されます。適当に会釈したり愛想笑いして別れた後で…『さっき話したん豊島さんやったで』と気づいて冷や汗を流しております。

ビオランテ


「宇宙船」Vol.50(平成元年11月)。G警報緊急発令「ゴジラvsビオランテ」。前作から五年の時を経ての大朗報!いやゴジラが甦って日本国土に上陸するのですから悲報と訂正すべきか。とにかく平成帝の御代にもゴジラが出現しました。さらに危険な新怪獣ビオランテ誕生……怪獣バカは怪獣さえ見ていたらよいってなもんですが、実写映画である以上、出演俳優も気になります。本作の人間側主人公は三田村邦彦と田中好子。なぜこの二人が選ばれたのか?当時、それが一つの疑問でした。江戸時代の飾り職人の秀さんがどうして科学者の役なのか?田中好子はキャンディーズの頃から知っているのでおばさんという印象があり、当時の私には感情移入しにくい対象でした。前作のヒロイン沢口靖子の友達という設定があったようですが十歳くらい離れています。その前作の主人公は田中健だったのですが、その配役を知ったときも、なぜこの人が?という疑問をいだきました。「俺たちの旅」で中村雅俊のたよりない友達の役をやっていましたが、ゴジラに結びつきません。そういえば、前作「ゴジラ」で小林佳樹が演じた総理大臣の名前が三田村でした。そこから三田村邦彦につながったのか、まさか……。ちなみに…すぐ近所に三田村邦彦いきつけの焼き肉屋があります。

 敢えて、こんなことを書いてみます。前号から始まった、満田穧監督の新連載「ウルトラの星を見た男たち」。ウルトラシリーズと円谷作品の製作裏話。必読の内容で今号以降も続くのですが私はこれが読めません。何度がんばっても無理でした。ねちゃねちゃの御飯といおうか糖尿病になりそうなあまったるい文章なのです。
 もちろん「ウルトラセブン」最終回の功労者で、トークショーで証言されるときは快活にお話しされます。日本国民で満田監督の声を聴いたことがないという人はいないはずです。ウルトラホーク発進を指令する管制官の声が満田監督です。
「宇宙船」の連載で毎号熟読していたのは、このブログで何度か紹介した平山亨プロデューサーの「私の愛したキャラクターたち」。歯切れの良い壮快な文章でした。しかし、晩年の平山さんしか知らないのですが、お話されたら滑舌の悪い人でした。歯切れの良い文章といえば、司馬遼太郎ですが、やはり晩年の司馬先生の講演を聴きに行ったら、滑舌が悪く何を仰っているのかわかりませんでした。

「ゴジラvsビオランテ」のラストシーン。三田村邦彦がちょっとした大活躍を見せます。それを評してスーちゃんが「バットマンみたい」と同年の競合正月映画に例えます。この一言で全部が台無しになってしまいました。前回「ロボコップ」は面白くなかったと嘯いた私ですが、ティム・バートン監督の「バットマン」は悔しくなるくらい面白いと感じたのです。以降の「バットマン」映画もハズレがありません。それでも、バットマンが好きとは言えない日本特撮ファンの辛さを誰が知るのか。

ガス人間


「本多猪四郎全仕事」(平成12年・朝日ソノラマ)竹内博さんの編集。俳優に演技をつけたり、円谷英二と打ち合わせをしている貴重な写真が満載で、前々回取り上げた「写真集 円谷英二」といっしょに並べておきたい本多監督の写真集です。
 全仕事ということで、特撮怪獣もの以外の映画も扱われています。サラリーマン映画や青春映画などジャンルの幅は広いのですが、筋の通った大作はなさそうです。機会があれば観ておきたいと思うくらいです。
 こんな、どうでもいい映画群よりも、私などは、やっぱり本多さんの戦歴にこそ価値があったと考えます。盧溝橋事件が勃発した瞬間から、大東亜戦争終結の日まで、第一線で戦闘をしていた人は少ないと思います。本多さんの戦場は、満州から中支あたりだったので、日本軍は最後まで優勢だったのですが、それでも戦死する確率はあります。本多さんが監督した戦争映画は「さらばラバウル」と「太平洋の鷲」だけ。両作とも海軍の話で戦域もまったく違います。本多さんは、ついに戦争体験について語り残すことをされませんでした。同世代の有川貞昌特技監督には「敵兵を狙った銃口の先に、黄色い可愛い花が咲いていて、引き金を引けなかった」と話したといいます。特攻隊員でもあった有川さんは、この人は嘘を言っていると思いました。戦場を知らない人が共感できそうな話を作っているのだと思いました。東宝の戦記映画も敗戦後の風潮に迎合してストーリーが作られています。本多さんは機関銃中隊でした。一度引き金を引けば、何十発もの弾丸が発射されます。この操作を昭和12年から昭和20年まで繰り返していたのです。

「ゴジラ」が製作されたのは終戦から九年後。人々に空襲体験があるので、避難場面が真に迫っていると言われますが、本多監督自身は逃げたことがありません。日本軍に追われ荷車に家財道具を積んで逃散していく現地民の様子を見下ろしていました。本多監督の視点はゴジラだったのです。
プロフィール

ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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