ウルトラマンパワード


「宇宙船」Vol.66(平成5年10月)。現地取材「ULTRAMAN THE ULTIMATE HERO(日本題『ウルトラマンパワード』)」。ウルトラマンがいよいよハリウッドに進出。登場する怪獣も、成田亨デザインを前田真宏さんがアレンジして現地のスタッフによってぬいぐるみが製作されました。高山良策さんのオリジナルとどっちが良いかと迷うくらい素晴らしいものが出来上がりました。オーストラリアで作られた「ウルトラマングレート」よりも「ウルトラマン」に近いことを日本のファンは喜びました。もちろん、日本のファンは、我らのウルトラマンがアメリカ人のド肝を抜いて、その勢いのまま世界のウルトラマンになるのだと思っていました。

 ところが…残念なことに、アメリカでは、大評判にならなかったのでした。突然巨人になる理由が解らないとか…怪獣との格闘が動物虐待に映るとか…この理解の差異を歴史観または宗教観の違いとして研究してみれば興味深い結論が出るのかも知れません。かといって、アメリカのヒーローが日本に受け入れられていないかといえばさにあらずで、人気があります。

 80年前に生まれたアメリカのヒーロー、スーパーマンやバットマンは現在も続いているようです。公開される新作映画を観て驚くのは、ウルトラマンより長い歴史があるのに、あいかわらず、クラーク・ケントとブルース・ウエインで、一人なのです。
 いや、驚くほうがおかしくて、歴史的に観れば、日本古来のヒーロー、桃太郎や金太郎、水戸黄門も鞍馬天狗も一人です。増えるほうが不思議なのです。巨大化もしません。宗教的に観ても、御本尊御神体が入れ替わってゆく宗教はありません。ウルトラマンが特殊過ぎるのです。これ自体が独立した宗教かも知れません。

 テレビ番組で、京都府福知山出身の芸人が、昔話の二大ヒーローといえば桃太郎と金太郎だが、桃太郎にくらべて金太郎の話はつまらないという説を提示していました。
 金太郎側に立って弁護しますと、金太郎の物語は熊との相撲で完結するのではなく、これは、大江山の鬼退治のサイドストーリーのうちの一つなのです。大江山の鬼とは、実は山賊の集団であったというのが定説になっています。これを征伐した源頼光の家来の一人が坂田金時。城門破壊用の巨大鉞がアイテムとして人々に注目されました。想像ですが、風貌や性格も良かったのだと思います。出自が源平藤橘の武家でなかったことも庶民の人気者になる理由たり得たと思います。(対して桃太郎は景行天皇の第ニ子という貴種説あり。)そこで作られた話が「金太郎」です。昔は山姥の子供だったのですが、現代人に共感が得られなくなって人間の母親と山で二人暮らしに直されました。このへんで話が骨抜きになっていったのです。

 前回、京都から大阪まで易々と歩いてくるゴジラの脚力に脅威を感じていたら、大阪学院陸上部(当時)の高橋尚子にとっては、京都大阪間は隣の家へ遊びに行くくらいの感覚だったという話になりました。大江山は、京都から自動車で二時間くらい…現在の福知山市にあります。ウルトラマンファン必見の成田亨さん製作鬼の銅像が建っています。この距離を往還して京都市中で狼藉略奪を繰り返していたとは、それが鬼であろうと山賊であろうと無理ではないか?私が伝説を疑ったら「日本陸軍はもっと重装備で、大江山の鬼どころかヂンギスカン、アレキサンダーに匹敵する距離を歩いたのだ」と、父が論証しました。その親父も先月末の寒波にやられて死にました。 征軍行萬里 寒風吹戦衣
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メカゴジラ


「宇宙船」Vol.65(平成5年8月)。密着大取材「ゴジラvsメカゴジラ」。謎の怪人か?はたまた正義の味方か?ダイアモンド仮面からゾーンファイターとメカゴジラが戦っているイラストを描けというリクエストが来ました。この無理難題な公案にたいして私は坐禅を組んで考え、怪獣映画のポスター風にまとめるというトンチで切り抜けました。
 なめとんのか!と怒られるかも知れませんが…ちょびっとだけ生頼大画伯を意識しています。ゴジラの目を赤くすると、それらしくなるという裏技も見つけました。

 ゾーンファイターのデザインは井口昭彦さんと言われていましたが、特撮秘宝の証言でアニメーターの岡迫亘弘さんだったことが判明しました。アニメ版「月光仮面」の作画監督をされたことで萬年社とつながりが出来、その後、レインボーマン、ダイヤモンドアイもデザインされたそうです。そう言われると、ゾーン三兄弟のスタイルはイスラム風ではあります。ゾーンファイターについて萬年社から言われたことは、斬新なヒーロー…ではなく、ウルトラマンみたいなものをというミもフタも無い注文。

「ゴジラvsメカゴジラ」、主演は高島政宏。復活「ゴジラ」の田中健以来、なぜこの人なのか?といつも思っていましたが、高島家次男政宏(長男は夭折)については本人の意思に関係なく家業として「ゴジラ」には出ておかなくてはなりません。ついでに、お父さんも特別出演しています。なお、みうらじゅんさんは高島忠夫は嫌いだと言っておられました。
 高島忠夫の代表作は怪獣映画ではなく花登筐の「細腕繁盛記」の板前役です。正確な大阪弁が話せる役者を揃えていたことが花登筐ドラマの魅力でした。現在、NHKで吉本せいの一代記をやっています。興味のある主題なので見てみたら、大阪弁がむちゃくちゃでした。その土地の言葉はその土地の人の心です。心がわからなければドラマはうそになります。
 ヒロインは佐野量子。当時、まさに武豊と噂になっていて、発表記者会見ではメカゴジラのことはそっちのけで、質問は武豊のことばっかりになりました。結婚後はすっぱり引退したのですが、昨年、武豊が浮気をしたので、久しぶりにテレビに引っぱり出されていました。

 私は「ゴジラvsメカゴジラ」を京都宝塚劇場で観ました。ゴジラがついに王城聖地を侵すというので現地で体感したいと思ったのです。京都を蹂躙した後、宣伝に協力した毎日放送の裏手を表敬通過し大阪湾に抜けます。距離感がわかるので、京都から大阪まで歩くのは、ゴジラとはいえしんどいやろと無精者の私は思ってしまいました。ところが……その頃、京都から電車で大阪学院大学に通っていた人が、陸上部の高橋尚子さんに「Qちゃん、今度の日曜日うちに遊びにおいで」と言いますと、高橋さんは、吹田の寮から京都まで走ってきたというのです。当然、帰りも走りです。京都ー大阪間は人間でも走れる距離なのでした。

クモ女


「宇宙船」Vol.64(平成5年5月)。特集「仮面ライダーZO」。オリジナルビデオ「真仮面ライダー」が評判良かったので、これを映画にして公開しようというところからスタートした企画。……でも、やっぱり新しいライダーにしようとなって、ここにまた仮面ライダーが一人増えました。仮面ライダー20周年の20をもじってZOと名付けられたのですが、Zは究極、Oは原点と意味が後づけされます。究極で原点……これって翻訳すれば“真仮面ライダー”になるんじゃないでしょうか?1号、アマゾン、スカイ、ブラック…真の仮面ライダーはいったい誰なんだ!
「仮面ライダーZO」とタイトルは決まったのですが、自信の無い東映は、東映スーパーヒーローフェアと銘打って現在時間で放送中の「五星戦隊ダイレンジャー」と「特捜ロボジャンパーソン」の三本立てで公開することにしました。こうなると、当然「ZO」の持ち時間は短くなります。最初の構想では、宇宙空間での戦闘シーンから始まり、ZO誕生までの経緯がじっくり描かれるはずだったのですが、その部分は省略され、朝、ZOが目を覚ましてから夕方までに事件を解決させる一日の話になりました。正味48分。一日だけ、48分間だけの仮面ライダーでした。
 この映画の評価についてはZO麻生勝役土門廣の好演に尽きます。五歳くらいの息子にせがまれていやいや観覧したお母さん連に注目されたのでした。「宇宙船」にも年輩婦人読者からの賞揚のおたよりが届けられ、私も、当時まさに五歳の男児の母親から「今度の仮面ライダーの人、カッコよかった!」という絶賛の声を直接聞きました。好感度ヒーロー土門廣はこの後ブルースワットに抜擢されるのですが、「ZO」の続編は作られず、やっぱり一回だけの仮面ライダーとなってしまいました。

 本多猪四郎監督の逝去が報じられています。「温容忘れ難く」と綴られる追悼文は竹内博さん。これから評価が高まる大人物と言われているのですが、その竹内さんも亡くなったいま、本多猪四郎を評価できる大人物はいないような気がします。
 本多猪四郎さんは運命の人でした。歴史の目撃者であり当事者でした。軍人として2.26事件に立ち会い、日本陸軍の最盛期から武装解除までを体験されました。映画人としてはゴジラの誕生に立ち会い、日本映画の黄金期と撮影所の解体までを目撃されました。語ることはいくらでもあると思うのに、日本人の美風を守る本多さんは、ご自身による著書や自伝は残されていません。たいしたことの無い経歴に尾鰭をつけて自慢話をする軽輩にくらべれば、その高潔な人格は尊とすべく、須く範とすべしなのではありますが、やはり私はもどかしくなるのです。

 映画を監督できるほどの特別な才能と権利を生得した人は自己を表現する使命があります。模型に耽溺し弄する技術に喜悦していたかのような円谷英二の絶筆は「日本ヒコーキ野郎」のシナリオでした。戦勝国に飛行機の研究開発が禁じられたことは涙をのんで忍ぶしかないけれど、明治から昭和にかけて雲の階段を駆け上がろうとした人達の夢と情熱は忘れられてはならない。それが、映画監督であり飛行機少年だった自分の使命だと思い定めていました。しかし、高価な軍用機の開発をやめたことで、民生の自動車が普及するようになりました。円谷英二の本当の夢は大衆への迎合ではなかったとも言えます。
 本多猪四郎監督の仕事に自身の体験に基づく戦争映画が無いのが残念です。歩兵第一聯隊は、2.26事件で叛臣の汚名を着せられたまま満州に移され、最後はフィリピンに送られ全滅しました。その生き残りである本多さんには、原隊の戦歴を映画にしておく使命があったと思います。
 晩年は黒澤映画に演出補として協力されていました。そのことで、本多さんの名はより知られるようになります。ただ、たとえ黒澤明であろうと、本多猪四郎の名前がその下風にあることは、特撮怪獣ファンにしたら、もどかしかったのです。

「宇宙大戦争」(円谷英二/本多猪四郎・昭和34年)で強く心に残った演出があります。大気圏内に侵入してきたナタール人の円盤群を地球の戦闘機隊が邀撃に上がる場面。激しい損耗戦の終りに戦闘機隊から司令に無電が入ります。「現在、わが方三機。ただいまより最後の攻撃を敢行します。伊豆半島上空、高度12000」この連絡に対して、基地司令(高田稔)は、もはや戦闘指揮官としての役目が終ったと頓悟し、口調を変え「ご健闘、感謝します」と応えます。このやりとりが淡々と行われるだけに万語の思いが伝わってきます。上空12000m…誰も見ていないところで、祖国と同胞のため勇敢に使命を全うして死んでいった人の心が偲ばれます。 成否を誰か論らふ 消えざるものは只誠

グリッドマン


 今年も「宇宙船」の続きから。Vol.63(平成5年2月)。特報!円谷プロから久々の新ヒーロー登場「電光超人グリッドマン」。三人の中学生がお小遣いでジャンクパーツをちょっとずつ集めてきて、秘密の隠れ家でコンピューターを組み上げてゆきます。モニター画面に現れたのがグリッドマン。コンピューターワールドを荒す怪獣と戦うために、三人に協力を要請してきました……拒絶反応を起こしそうな状況設定ですが、これが面白かったのです。対象年齢は小学校低学年ということで、私にはちょうどです。保育園児をターゲットにした戦隊シリーズは幼稚と感じることがあります。
 放送はTBS系。それならば、ウルトラマングリッドと名のったほうが商品展開が有利になろうと思うのですが、スポンサーが提示した予算では“ウルトラ”を冠せるスケールの作品は出来ないとして、別のシリーズにしたのです。この頃の円谷プロにはガンコさが残っています。近年の「ウルトラマンギンガ」などはスケールの小さい話で、「グリッドマン」より安く作られているような気がしました。
 また「グリッドマン」を担当されたときの佐川和夫さんの肩書きは“特撮監督”です。“特技監督”の称号は円谷英二だけの諡號にしようという円谷プロ社内の約束があると聞いたことがあります。ところが、近年の円谷プロ作品のクレジットを見ていますと“特技監督”になっていたりします。円谷プロはガンコさを忘れてしまったのではないか?

 同時期の他の新番組を見てみます。
「特捜ロボ ジャンパーソン」。あいかわらず作られ続けていたロボコップの亜流です。敢えて特徴を言うなら、主人公が完全にロボットで人間の姿になりません。代わりに敵が人間でした。知能が高くて性格は異常というやつらです。私は「バットマン」からの影響を見ます。証拠の一つとして前作「特捜エクシードラフト」で正木俊介(宮内洋)が帰国する回のサブタイトルが「バットマンリターンズ」をもじった「正木リターンズ」。影響されるのがす早くて露骨です。
 前回取り上げた「8マン すべての寂しい夜のために」もバットマンを意識していた部分があります。後日談として作られたビデオアニメ「8マンアフター」はゴッサムシティー風の街が活動の舞台でした。

「五星戦隊ダイレンジャー」。天火星リュウレンジャー、天幻星シシレンジャー、天重星テンマレンジャー、天時星キリンレンジャー、天風星ホウオウレンジャー。水滸伝をもじった戦隊です。

 水滸伝で一つ思い出しました。「ひきゅう」(ことえりに漢字が無かったので作字しました。上のイラストを参照して下さい。)という語が出てきたので調べたら、戦争に使う猛獣と説明されていました。ただし、水滸伝に、あるいはもっと古い三國志にも戦争で猛獣を使う場面はありません。直截的なイメージは絵物語の「少年ケニヤ」とか「冒険ダン吉」です……が、ふと思ったのは「ウルトラセブン」の宇宙人です。彼らがときに地球侵略の尖兵として送り込んでくる怪獣こそ「ひきゅう」と呼ぶべきではないのか。いや、セブン自身が使うカプセル怪獣も、本当はカプセルひきゅうと称されるべきではないのか。生態を把握して飼いならしているのですから“怪しい獣”ではありません。コレ誰かに言わなと思ってそれっきりにしていました。日常会話に「カプセル怪獣」という単語が出てこなかったのです。なお、シャプレー星人が連れてきたギラドラスの使用目的は掘削ですから、これは家畜でしょう。

「有言実行三姉妹シュシュトリアン」。東映不思議コメディー最終作。シリーズ終了の理由は「美少女戦士セーラームーン」の大ヒットで、東映としてもバンダイとしても実写魔法少女を作る必要性が見出せなくなったからでした。しかし、「美少女戦士セーラームーン」は、こちらのシリーズ「美少女仮面ポワトリン」をもじったものではないでしょうか?盗作というほどのうしろめたさも無く、もしくは作家的使命感に突き動かされたというわけでもなく、少女漫画家武内直子さんが、器用な小手先でチャカチャカッと描いたものが社会現象になったというのが真相ではないかと見ているのですが……。

 そのほかにも、映画「仮面ライダーZO」「ゴジラvsメカゴジラ」、テレビドラマ「私が愛したウルトラセブン」「西遊記」(孫悟空=本木雅弘)など、Vol.63は新作情報で紙面が埋め尽くされている観があります。これらの作品はまたの機会に取り上げます。

犬怪獣


 あけましておめでとうございます。
 犬の怪獣といって最初に思いつくのが犬怪獣(「スペクトルマン」)。しかし、怪獣専科ブログとして、それではあまりに芸が無かろうと考えなおして、次に出てくるのがブルスコング、ブルガンダーらブルドッグ類。もうちょっと考えて思いあたるのが、ロボイヌ、ロボタック、デカレンジャー他の犬のおまわりさん系。狛犬モデルの怪獣怪人もいますが、狛犬は犬ではありません。架空の動物です。そんなこと言ったら戌も厳密には犬ではありません。東戌の戌です。この意味を考えたら正月早々気分が悪くなるのでやめといて……。ケルベロスも架空の動物ですが、地獄の番犬と言われているくらいですから犬ではあるのでしょう。ケルベロスをモチーフにした和製怪獣もいます。

 …で、ぐるーっと回ってきて、やっぱり犬怪獣にしました。奇をてらったり意表をついたり小細工を弄したりせず、怪獣ハウスは今年も怪獣ブログの王道を行くことに決めました。(とは言ったものの、犬怪獣は王道か?むしろ、邪道ではないか?)
プロフィール

ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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