真仮面ライダー


「宇宙船」Vol.58(平成3年11月)。「真仮面ライダー」製作開始。石ノ森先生は予算と時間の問題で完成度に憾みが残る「仮面ライダー」を何度かリメイクしようとされました。スカイライダーもブラックも、実は、それまでのシリーズをリセットしてスタートしたのですが、結局最後は先輩ライダーが出て来てしまいました。しかし、今度こそ本気です。「真」の対語は「偽」。それまでの仮面ライダーは存在しなかったことになります……の、はずだったのですが、現在の立ち位置はやっぱり歴代ライダーの一人。公式の初参戦は、映画「全ライダー対大ショッカー」なのですが、それまでに紅白歌合戦の応援アトラクションでほかのライダーと一緒に出ていました。『あんたはそこに並んだらあかんやろ』と思いました。

「仮面ライダー」は予算と時間に追われていたことに加えて、毎日放送の容喙などで初期設定が変ってしまう場合が多く、画面が矛盾したりストーリーが破綻したりしています。そこを頭の中で弥縫し修整しながら観ていくので、仮面ライダーファンそれぞれに「真仮面ライダー」の物語が出来上がってゆきます。私にも「真仮面ライダー」があります。
 まず、ショッカー首領の正体ですが、スカイライダー最終回に姿を見せた宇宙怪獣ではありません。断定しますが、これは私の「真仮面ライダー」なのでおつきあい下さい。人間が想像しそうな形の生物を造って顕わしたのです。やつらの科学力なら可能です。それよりも、ショッカーを捜査してきたFBIの滝和也が、首領の正体を想像して「案外、つまらない人間かもな」と吐き捨てるように言った科白が印象に残っています。ショッカーの首領は人間です。「仮面ライダー」のテーマから考察しても宇宙生物であるより人間でなくてはなりません。
 改造手術の理論と技法はナチス政権時代のドイツで開発されたというのはオフィシャルな設定です。当時のドイツは世界水準の先を行くメカニック兵器を駆使したのですが、一方で、チベット密教とか超能力を研究し、これが戦争に役立たないかと本気で考えていました。インカ帝国の獣人製造法や日本の化身忍法も人体実験で検証し、動物や昆虫の改造人間を産み出したのです。
 それなら、ショッカー首領はヒットラーかという可能性も考えられます。不死身の改造人間になって君臨し続ける影の帝王ヒットラーという妄想はロマンの誘惑があります。しかし、地下室でピストル自決した総統の体と脳は、御存知の通り怪人ヒトデヒットラーに使われました。ショッカーとは、ヒットラーすらチンピラあつかいする大組織なのです。

 なんとなく…私は、子供の頃からヒットラーとナチスには欺瞞を感じていました。特撮でもアニメでも正義の日本人がナチスドイツをモデルにした悪の組織と戦います。先の世界大戦では日本はドイツと同盟国だったはずです。こう言うと、かならず杉原千畝の故事を免罪符のように持ち出して、日本人はユダヤ人を助けたと反駁されます。しかし、ユダヤ人の歴史の長さは日本の倍で、その四千年間、日本との利害関係は無かったのです。ヒットラーのユダヤ人差別には共鳴しようがありません。それは理解できなかっただけで正義からではありません。
 戦前のユダヤ人の数が1600万人、それが戦後には1000万人になっていたということで、差し引き600万人のユダヤ人が殺されたことになっていますが、ありえない数字です。ユダヤ教から改宗しただけです。ユダヤ人とは人種ではなく宗教概念なのです。日本人でそれをわかっていない人もいます。
 国家社会主義労働者党のヒットラーはドイツ国民の選挙によって指導者に選ばれました。その政権は他のヨーロッパ諸国からも支持されました。当時、本当に人気があったようで、戦前のアメリカでも青少年のアンケートで2位に入っていたそうです。ちなみに1位はアインシュタイン、3位がルーズベルト…。日本の子供にも下層階級からドイツ総統までのぼりつめた英雄として尊敬し目標とする人物像とされていました。それが現在、なぜ、歴史上絶対の悪人とされ、ドイツにおいてすら否定されているのか?ナチス・ヒットラーより、はるかに巨大な陰謀によって世界が瞞着されているに違いありません。
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メカキングギドラ


「宇宙船」Vol.57(平成3年8月)。特報「ゴジラvsキングギドラ」。宇宙最強の超生物キングギドラ復活。とりあえず最強怪獣と言われ続けていますが「怪獣大戦争」以降は連戦連敗でボロボロな扱いをされてきました。今回も、ちっちゃいペットにされたりメカギドラに改造されて人間に操縦されたりと散々です。この映画はタイムマシンで過去を変えるストーリーでした。できれば「地球最大の決戦」以前の時代に行って、ソロ主演映画「キングギドラ」を製作し、以後の歴史を変えてやりたいと思いました。

 出演者を見ていきます。主人公は豊原功補。知らない人だったのですが、前作「ゴジラvsビオランテ」にちょい役で出ていたようです。大森一樹監督に気に入られたのでしょうか。
 ヒロインは中川安奈。この人も知らないのですが、お父さんは中川晴之助監督。ウルトラQで大傑作「鳥を見た」「カネゴンの繭」「育てよ!カメ」を撮った人です。何箇所もロケに行って、フィルムを大量に費うので、ウルトラマンでは願い下げにされた実相寺さん以上の豪傑監督。お爺さんが千田是也。東宝特撮映画の博士役でよく出てきます。関西ではなじみが薄いのですが、東京の演劇界の大立者。ビートきよし師匠が考えたギャグに「なんだコレヤ千田コレヤ」というのがあるそうな。
 東宝特撮おなじみの人では土屋嘉男、佐原建二、佐々木勝彦が出ています。一番うれしかったのは小林昭二の出演。このおやっさんが出てくると、やたら嬉しくなります。

 そして…アンドロイドM11役のロバート・スコット・フィールド。この人を私は難波の南街会館で見ました。行列に並んでいたら、すぐ後ろにいたのです。中学生レベルの英会話力で『ゴジラvsキングギドラに出とられた人やないですか?』と聞いたら「そうです」と笑って握手をしてくれました。後で知ったことですが、南海ホークスのピッチャーとして日本に来て、そのまま大阪が気に入って住み着いたということでした。
 そういえば…同じ時期、道頓堀でハリソン・フォードを見ました。私が一番最初に見つけたのですが、あっというまに人だかりになってしまいました。ツーカーホン関西のコマーシャル撮影だったのでした。
 やはり同じ時期、上六(上本町六丁目)で、パトリック・スチュワートを見ました。「ピカード艦長や!」と思って行ってみたら、ただのハゲ頭のお爺さんでした。しかも日本人。ところが、私が懐かしげに寄ってきたものですから、その人も知っている者かと錯覚をおこして愛想笑いで会釈されました……。

 最近はというと、認知能力が低下しているのでスターを見つけるどころか、先に向うから挨拶されます。適当に会釈したり愛想笑いして別れた後で…『さっき話したん豊島さんやったで』と気づいて冷や汗を流しております。

ゼイラム対未来忍者


「宇宙船Vol.56」(平成3年5月)。特集「ひょっこりひょうたん島」。昭和39年から昭和44年にかけて製作されたNHKの人形劇。放送史に残る名作なのですが、VTRが全く保存されていません。そこで、この年、オリジナルと同じキャストとスタッフが再結集してリメイク作業がおこなわれました。
 なぜ、そんなことが可能になったのかというと、当時、小学生で一視聴者であった伊藤悟さんという人が、毎回のセリフ、舞台装置、歌等々をノートに完全に記録しておられたというのです。実に五年間、月曜から金曜まで、テレビの前に座って記述し続けられたのです。これは感動します。敬意を顕しても過ぎることはありません。大木こだま・ひびきの漫才で「そんなやつおらんやろ〜」というのがありますが、一億人もいると想定を超える人が存在するのです。物を作る人も偉いけれど、それを記録する人も同等に尊ばれなければなりません。「ひょっこりひょうたん島」の製作に関係していた人は、絶賛されていることは自覚していたのですが、それだけに、作家として俳優として次の段階に進むためにひょっこりひょうたん島を敢えて忘れようとされたともいいます。人形劇を卑下する気持ちもあったかも知れません。

 第二特集は、「ひょっこりひょうたん島」が放送されていた同時代に描かれたウルトラ怪獣の対決画の復刻。私は伊藤悟さんと資質が違うのか、こっちの方が安心します。南村喬之、水木隆義、前村教綱、梶田達治といったおなじみの画伯によるもの。レッドキング対ガボラ、ケムラー対モングラー、ウー対ギガス、ゼットン対キーラ…眺めていると、いくらでも妄想が膨らみます。ラルゲユウス対バルンガというのは想像を絶するのですが……。

 雨宮慶太監督の新作「ゼイラム」の速報が載っています。「未来忍者」の続編の企画もあったそうですが、お金の都合で、現代日本が設定にできる「ゼイラム」が選択されたと言われています。そこで、怪獣空想対決にちなんで、ゼイラムと未来忍者不怒火の決闘を描いてみました。

 私は「鳥人戦隊ジェットマン」を面白いと思ったのですが、型破りの展開に対する不満や異論が、当時の「宇宙船」に取り上げられています。編集部内では不評だったようです。山尾志桜里さんの不倫から民進党がばらばらになったことは記憶にあたらしい出来事でしたが、特撮ファンにも保守派と改革派があるようです。もしかしたら一人一人に独自の持論があって嗜好もばらばらなのかも知れません。

鳥人戦隊ジェットマン

       
「宇宙船Vol.55」(平成3年2月)。新番組「鳥人戦隊ジェットマン」のメインライターに抜擢された井上敏樹さんのインタビューが掲載されています。じつは「特救指令ソルブレイン」の宮内洋インタビューの方が扱われ方は上なのですが、私の好みで今回は「ジェットマン」です。
 まず主題歌が良かった。日本コロムビアの木村裕史ディレクターのお話では「電撃戦隊チェンジマン」以降、どんどん難しくなっていく傾向にあった戦隊シリーズの主題歌を子供でも歌い易い歌詞とメロディーにしたということです。最終的に影山ヒロノブによって歌われるのですが、昔の子供番組のように児童合唱団に歌わせたいという希望もあったそうです。その主題歌とともにミニチュアセットの中を操演のジェットマシンが編隊飛行していきます。この映像が気持ちいいのです。エンディングも「こころはタマゴ」というポンキッキみたいな歌。映像は小田切長官(三輝みき子)が通信販売のカタログみたいな雑誌を開くところから始まるのですが、その素材が「てれびくんデラックス愛蔵版鳥人戦隊ジェットマン」(小学館)の付録についていたのも嬉しい。

 さて、インタビューで井上敏樹さんは、戦隊シリーズのパターンを壊してやると言っています。このことはやはり初の戦隊監督に抜擢された雨宮慶太さんとも意見が一致したそうです。5人そろってロボットに乗るという鋼鉄のフォーマットをどこまで崩せるのか。「ジェットマン」において5人がそろうのは3話。ロボットの登場は6話。必殺武器ファイヤーバズーカの完成は漸く第14話です。その後も掟破りの挑戦は続きます。雨宮監督の作品は「未来忍者」からずっと見てきたのですが「ジェットマン」がベストワーク……と言ったら監督とすれば不本意かも知れませんが、がんじがらめの制約の中でよくぞここまでと本当に感動しました。

 そして、戦隊シリーズ「鳥人戦隊ジェットマン」で、真に重大だったのは井上敏樹によって創造され若松俊秀によって演じられた結城凱でした。自分が何者であるのか何がしたいのかわからず、世間に反発しながら生きています。他人とは違うと思いながら、本当は友達が欲しいというややこしいやつです。しかし、こいつこそ井上敏樹さん本人であり、全てと言ってもよいくらいの大半の男です。私も強く共感した一人です。もてそうで案外もてない結城凱と、もてなさそうでやっぱりもてない自分との外見の差異は大きいのですが、腹の中で考えていることはだいたい同じです。
 他のメンバーは、真面目なリーダー、くいしんぼうのデブ、観念的な深窓の令嬢、類型的な女子高生。結城凱の一人称で見るとき、そいつらから悩みが感じられません。自分の苦悩を理解できない人間は容認できません。それでも、なぜかそいつらといると安堵します。自分がやつらと同レベルで未熟な人間であることには気付かないのです。

 井上敏樹脚本ではないのですが、第11話「危険な遊び」(藤井邦夫脚本・東条昭平監督)で、ジハンキジゲンに人間の本質が表面化するジュースを飲まされます。このとき他の4人は煩悩に翻弄されるのですが、結城凱一人だけが超真面目になってしまいます。結城凱の本質は真面目だったのです。しかし、真面目というのも酸素と同じく適当な濃度を超すと危険です。自殺するのは真面目な人です。共同生活やチームプレイが苦手な人も真面目なのかも知れません。かりに…この世界から戦争、差別、自然破壊を根絶させようと真面目に考えたなら、答えは一つで、ジェットマンになる前の結城凱の科白「人類なんざ滅んじまったほうが、すっきりする」となります。これは特撮ヒーロードラマが内包する矛盾でもあります。人類滅亡が答えなら自分も死ななくてはなりません。

 最終回、ジェットマンの戦いとは関係無く結城凱は死にます。結城凱に自己投影していた者にとっては幸福な結末でした。強烈な自我と戦闘能力を抱えたまま生きていくなら、法治社会では叛逆者になるしかありません。あるいは……自分が何にこだわっていたのかすら思い出せないつまらない大人になるか……いずれにせよ悲劇です。

 若松俊秀が「子供が生まれたので煙草をやめた」と申告したとき、井上敏樹さんは「それでも結城凱か!」と冗談まじりになじられたそうです。井上敏樹さんは変節しない人で、初めて書かれた仮面ライダー「SD」と、年月を経て書かれた仮面ライダー 「THE FIRST」は、ものすごく同じです。

女バトルコップ


 しばらく、ロボコップの亜流ばかり描いていくことになると思います。今回は女バトルコップ。東映Vシネマのオリジナルビデオです。「宇宙船」Vol.54(平成2年11月)に吉川進プロデューサーのインタビューがあります。たぶん「ロボコップ」の大ヒットを見て、ウチならもっと安く早く上手く作れると考えられたのでしょうが、お話の中にはロボコップとは一言も入っていません。
 時代は近未来。悪い組織に恋人を殺され、自分も半殺しにされた主人公が女バトルコップに生まれ変って復讐するというストーリー。東映Vシネマとしては梶芽衣子ものの路線を狙っていたのではないでしょうか。タイトルの「女」の一字から気合いが伝わってきます。近年は演歌の歌詞か犯人にしか使われません。気になったのは、主人公御子柴かおる(中村あずさ)の生前の職業がテニス選手だったこと…コップとは名のれません。なお恋人役はメガロマンの北詰友樹でした。

「ロボコップ」についても書いておきます。日本のマンガ(宇宙刑事ギャバン)にヒントを得たロボットをアメリカ映画の定番バイオレンス警官ものに嵌めただけで、そんなに難しい映画ではありません。ポール・ヴァーホーベン監督も気楽に作っています。ただ、ロボコップ役のピーター・ウェラーの苦労話は涙なくして聞けません。
 まずロボコップのスーツが出来上がってから俳優を選びました。必然的に細身の人になります。スーツの重量は100キロくらいあったそうです。ピーター・ウェラーは動くに動けず、パントマイムの先生にアドバイスを受けたり、監督と衝突したりしました。また撮影中は身も心もロボコップになりきる努力をしたともいいます。涙ぐましい真面目さです。

「ロボコップ」はガンマニアにも喜ばれた映画だったそうです。アメリカ映画なので全部実銃なのは当たり前ですが、近未来の設定なので最新型の珍しい銃がたくさん画面に登場しました。デザートイーグルなども当時は定番ではなかったそうです。聞いて驚くのは、最後の戦いで悪者どもが持ち出してくるこの世の物とは思えないどでかいライフル。あれもまた実在するといいます。50口径バレットM82!ロボコップの装備オート9だけは映画オリジナルですが、ベースはベレッタM93R。たぶん実弾も撃てるはずです。

 ガンマニアというと男らしいやつをイメージします。実際その通りなのですが、ガンとかナイフとか女性器からほど遠いものに興奮するやつは変態だともいわれます。
 用事で東京に行ったとき、ガンマニアの友達の家に泊まりました。映画に使われたガンについて等、夜通し講釈を聴いていたのですが、突然「いいものを見せてやろうか」と棚の後ろから何冊かの本を出してきました。『東京OL制服図鑑』というような題名です。まったくそのままで、最初から最後のページまできっちり制服を着た女の人の写真が載っています。「どうだい?」と感想をもとめてくるのですが、私には通信販売のカタログくらいにしか見えません。つきあいの長いやつですが、そんな性癖があったとは知りませんでした。
 翌朝、東京駅まで見送ってくれました。ホームにときどき制服姿の女の駅員さんがいます。「もしかして、あんなん見ても興奮するんか」と訊いたら「そうだよ」とやらしい目をしました。だとしたら…この男には日常風景がパラダイスに映っているのか?うらやましいと思いました。
プロフィール

ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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