ULTRASEVEN X


 「ULTRASEVEN X」。異世界の物語だったということらしいのですが、テレビでは伝わりません。日本人が日本語で会話しています。私は近未来の日本なのだろうと思って観ていました。またテレビでは説明しきれないほどの架空設定もあったようです。ウルトラ警備隊も出てこず、モロボシダンほか、オリジナルと共通するキャラクターも登場しません。世界の裏側で不可解な難事件が進行していきます。観ていてモヤモヤするばかりです。
 そのモヤモヤが極点に達したとき、宇宙人が正体を現します。そして、主人公らしき男がウルトラアイを装着、セブン登場、アイスラッガーでスパッと切って一件落着。このスッキリ感!

 ストーリーが複雑でついていけないので、セブンの変身だけが楽しみだったのですが、Episode11、12はウルトラセブンへの変身が無いのです。「ULTRASEVEN X」はオープニングにもエンディングにもウルトラセブンの映像が無いので、この2回はまったくウルトラセブンが登場しないのでした。これは感激しました。
 ウルトラセブンの登場しない「ウルトラセブン」はクールです。ウルトラセブンの出てこない「ウルトラセブン」こそ「ウルトラセブン」です。「怪しい隣人」に、セブンとイカルス星人の激闘は必要だったか?「第四惑星の悪夢」がセブンの空爆シーン無しに終っていたら…

 そして、最終回Episode13「NEW WORLD」。ラストシーンでダンとアンヌが立っています。謎解き編が咀嚼出来なかったので、唐突でした。おそらく、森次晃嗣とひし美ゆり子もわけわからないままに立っていたに違いありません。わからないまま、力づくで納得させられ感動させられました。こんな形式で視聴者を満足させるドラマはありません。
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 平成19年、「ULTRASEVEN X」はウルトラセブン誕生40周年記念作品ということでした。この年は他にも記念グッズがいろいろ作られました。ウルトラセブン最中という贈答用和菓子も販売されました。
 私が購入したのは、バンダイの「超合金魂」キングジョー。4機の宇宙船への分離と合体が実際に再現出来るというキングジョーです。プロポーションを維持するためにパーツの付け替えはありますが、感涙の玩具。これは永久保存の宝物になりました。

 あれから十年以上経ち、ウルトラセブンXのイラストを描きながら気がつきました。キーワードとしてサブリミナルに挿入される水のイメージは、オリジナルのオープニングのタイトルバックではなかったのか?そして、揺れ動く水面とは、セブンが地球に対して感じていた心象風景だったのだと。
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道/タオ


 平成19年度戦隊「獣拳戦隊ゲキレンジャー」。山奥でトラの乳を飲み、パンダと遊びながら育った野生児、漢堂ジャン。スポーツ用品メーカーのスクラッチ社にスカウトされゲキレンジャー・ゲキレッドに選ばれます。ゲキレンジャーを鍛えるのはマスター・シャーフーという拳法家の山猫。
 奇想天外にして脱力感のある世界設定は、鳥山明先生の「ドラゴンボール」かなと察せらるるのですが…そこは口を噤みましょう。

 シャーフー老師は良いことも言います。「修行は暮らしの中にあり」。嵩山少林寺でも水汲みや薪割りがそのまま肉体の鍛錬になっていました。老師は、特に、掃除こそが基本中の基本だと訓えます。その通り!だと共鳴します。
 都会のスポーツジムでは練習生に掃除をさせません。あんなとこでつけた筋肉なんて精神性をともなわないにせものです。そういえば…巻き藁に一礼してから突きの稽古を始める伝統派の空手道場を見学して感動したことを思い出しました。サンドバックやバーベルにも礼をしていました。
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 ゲキレンジャーの訓練では徹底的に道場の雑巾がけをやらせます。その雑巾がけで身についた突進力で牛の怪人と激突して弾き飛ばすのですが、私の言いたいことはそんな即効性を期待することではありません。
 一生使うかどうかわからない必殺技。それを生涯かけて磨き続けるのが武道なのだと心得るものです。

ウルトラ兄弟の誓い


 平成18年の新シリーズ「ウルトラマンメビウス」。第一話のアバンタイトルで、ウルトラの父がメビウスに地球へ行けと命じます。嗚呼この世界観は久しぶりです。オープニングにはウルトラの母も出てきます。
 GUYSのトリヤマ補佐官の「25年間、怪獣は出現していない」というセリフから、これが「ウルトラマン80」の続編であることがわかります。「グレート」から「マックス」までのことは無かったことになっているようです。(宇宙で戦っていた「アンドロメロス」は有りか?」)
 メビウスがヒビノミライの姿に変り地球へ降り立つと、空に向かって「ウルトラ五つの誓い」を奉唱している男がいます。35年前、郷秀樹がこの惑星に残していった訓えです。そして、第2話からは、グドン、サドラ、ベロクロン、バキシムといった懐かしいやつらが復活。

 そして、ウルトラ兄弟がオリジナルキャストで帰ってきます。おおとりゲンがヒビノミライに空手を特訓します。桜ヶ丘中学校昭和五十八年度卒業生の同窓会に矢的先生が出席します。
 みんな結局、これが見たかったのでしょう。ウルトラ兄弟対怪獣大軍団。「ティガ」でも「コスモス」でも「ネクサス」でもなかったのです。

 「ウルトラマンメビウス」は、あの時代のウルトラマンシリーズの総決算でした。あの時代というのを、いつからいつまでということは言えません。第二期ウルトラシリーズの真っ只中に幼年期を過ごした人。コロコロコミックのウルトラ漫画に夢中になった人。ファンタスティックコレクションから入って特撮ファンになった人。“ジャック”という呼称を拒否して『新マン』と言い続ける人。ウルトラセブン至上主義者をさらに上から憐れむ人…同じ時代を生きてもウルトラの世界はそれぞれなのです。
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 そして、ウルトラ兄弟が結集して戦う最後の敵はエンペラ星人!かつてウルトラの星を滅ぼしたとされる不倶戴天の敵。「ウルトラマンタロウ」の中で光の国の歴史が語られたとき、シルエットだけで登場したやつです。忘れていた人もいるだろうし、気になっていた人もいるでしょう。そんなやつです。もちろんウルトラファンは大喜び!

 今作の防衛チームCREW GUYSの精神程度は小学校ドラマの学級会くらいに設定されています。ただ、隊長のサコミズだけは不思議な落ち着きのある人物です。演じたのは田中実。歴代隊長の中でも一番かと言えるくらい好印象なのです。「サコミズ」とは特別な名前で、「ウルトラマン」以前の企画書「科学特捜隊ベムラー」乃至「科学特捜隊レッドマン」で主人公となるはずだった人物です。昭和天皇のご軫念を酌んで和平工作に奔走した迫水久常書記官からとられた名前かも知れません。
 エンペラ星人との決戦に際し、ゾフィーも地球に降臨します。ゾフィーはサコミズの体を依代に選びました。ふさわしいと肯けました。人格者サコミズ隊長を演じた田中実はこの後自殺します。そのこともまた神秘的な記憶になっています。

地球の果てまで大冒険


 現在放送中の「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」がものすごく面白い。『ことし、ことし、あるところに…』というナレーションから始まった物語・今年のこの瞬間に観ておかないといけないような切迫感があり眼をそらすことが出来ません。
 前作「機界戦隊ゼンカイジャー」も面白かった。安定路線と言われていた戦隊シリーズを解体して前代未聞のドラマを展開しました。もうテレビ番組を録画して保存することはやっていないのですが、バカンスワルドの登場する第24カイ「侵略完了!できるか奪回⁉」だけは残しておいたらよかったと悔やんでいます。あのカイさえあれば、残りの人生をずっと笑っていられます。
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 令和の戦隊は安定を捨て冒険に突き進んでいるようです…という振りから、平成18年度の「轟轟戦隊ボウケンジャー」に。
 ちょうど今、YouTubeで公式配信しているのを毎週見ています。冒険しているなという切迫感がありません。毎回、宝さがしに出かけていくのですが、どんな場所に行っても服が汚れません。女子隊員はスカートをはいています。ブルーは香水をつけています。それぞれ、世界的に名の知れた探検家、トレジャーハンター、スパイという設定ですが、演じる新人俳優が若くて信憑性がとぼしい。
 敵組織が一つではないことが本作の特徴なのですが、それは戦隊シリーズの長い歴史の中にあって些事です。
 ダンプやブルドーザーなどの工事車両が合体するロボも前例があります。玩具の売上も計算出来ていたのではないでしょうか?冒険というより勝算しかありません。
 「魔法少女ちゅうかなぱいぱい」で冒険好きのお父さんの役をやっていた斉木しげるが博士役で出ていることくらいが冒険要素か。

電王の記憶


 平成ライダー第8弾「仮面ライダー電王」。何でも出来る男・天道総司の次は、何にも出来ない男。野上良太郎。勉強についていけず高校を中退してぶらぶらしています。お姉さんは喫茶店(ミルクディッパー)をやっているのですが、不器用なので手伝わすことも出来ません。買い物に行かせたら、自転車でコケます。
 この弱いやつが、変身したらガラッと強くなるのかと思ったら、そうでもなし。イマジンと呼ばれる怪物が取り憑いて、ようやくライダーとして完成するのですが、そのイマジンどもも問題のある連中です。モモタロスは乱暴、キンタロスは単純、ウラタロスは軽薄、リュウタロスは幼稚。
 なお、この中で比較的、安定感があるのがウラタロス。悪知恵の発達したやつで、口が巧い。いつも人間界の情報を蒐集しています。心理の裏側、社会の裏側ばかり見ています。結果として行動に間違いがありません。良太郎も自分に無い性質を持つウラタロスに信頼を置いているようです。

 ならば、ウラタロスと合体した仮面ライダー電王ロッドフォームが最強なのか?
 違います。良太郎の姉さん、野上愛理。ものすごく優しいのです。お転婆のハナもわがままなリュウタロスも、この姉さんの前ではおしとやかになり素直になります。良太郎を人質にして風呂屋に立て籠った強盗がいました。愛理は、とりあえずサンドイッチを作って差し入れに行きます。人質の人数分に加えて犯人の分もあります。ついでに自分の分も…その他意の無い優しさに犯人は改心してしまったのでした。
 もともと優しい人だったのでしょうが、婚約者が消えた悲しみを受け入れることが出来ず精神が退嬰してしまったのです。小学校低学年くらいになっているのではないかと思います。弟の良太郎を保育園児くらいに見ているので収入の無いことを咎めないのでしょう。
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 「電王」のテーマは幼児性でした。桃がパかッと割れて電王になるとか、家の前まで電車が迎えに来るとか、ほんの少しでも常識が邪魔をすれば生まれない発想です。メインライターは小林靖子さん。小林さんは、このテーマを後の「烈車戦隊トッキュウジャー」でも繰り返します。世界を救うのは生まれたての純粋な心と想像力だと。
 ややこの心に帰るべしという境地は日本の民衆仏教にも通底します。一人の作家の独創というより、日本人の宗教観、自然観。そして「桃太郎」「金太郎」を語り伝えてきたヒーロー観の中に仮面ライダーは実在します。そして、仮面ライダー電王が誕生したのです。

 ストーリーの謎は、だいたいデンライナーの食堂車でのディスカッションで解明されるのですが、私は、タロスどもがワチャワチャしていて、気分の悪いオーナーがいる状況がいやでした。ミルクディッパーの雰囲気の方が落ち着きます。愛理さん目当てで通う尾関君の熱演は「仮面ライダー電王」が語られるときもっと評価されてもよい。
プロフィール

ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。
特撮イラストの奨励と普及。

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