アルタシア姫


 今回のリクエストは「恐竜戦隊コセイドン」のアルタシア姫。
 恐竜戦隊といっても戦隊シリーズではありません。昭和53年から54年にかけて制作された円谷プロの作品。タキオン粒子とかエントロピーとか、SF物理用語がちりばめられた意欲的な設定。そして、破天荒な円谷作品の中でも次回の展開が予測不能だった波乱万丈なドラマでした。簡単に言えばタイムマシンものです。時空を超えるということは多元宇宙を行くことなので、支離滅裂なストーリーになったとしても、SF量子論上は説明がつくといえばついてしまうのです。

 時は西暦2001年(平成13年)。時間移動の手段を発見した人類は、タイムパラドックスを監視する法律を作り、タイムGメンを設立します。タイムGメンには担当する年代がそれぞれあり、主人公たちのチームは白亜紀です。恐竜しかいないような時代へ行ってすることがあるのかといえば、それが色々とあるのです。

 アルタシア姫とは何者かというと、故郷をゴドメス星人に滅ぼされ、白亜紀の地球に逃げ延びた異星の女王。恐竜とは仲良くやっています。
 リクエストを下さった木戸健吾さんのオーダーは、金髪を黒髪にして欲しいということと、恐竜界の優しい聖母のように描いてほしいということでした。円谷作品における恐竜は、いつも保護される生物として描かれます。恐竜戦隊コセイドンも恐竜とは戦いません。ならば、何と戦っていたのかということですが、それが色々とあったのです。(けむに巻くような書き方をしますが、戦国時代の落ち武者とかフランケンシュタインと戦っていたと言えば、見てない人は混乱するばかりです)
 私は、平和な雰囲気を出そうと、おとなしい草食系男子な恐竜を集めることにしました。プロトケラトプス、ノドサウルス類…あと一匹はハドロサウルス類の鳥脚目をと考えたとき、ふと、このブログの最初期に描いたゴモラザウルスのことを思い出しました。ゴモラの恐竜時代の姿です。

 オリジナルゴモラは、大阪を破壊した暴れん坊でしたが、アメリカでリメイクされた「ULTRAMAN THE ULTIMATE HERO(ウルトラマンパワード)」のゴモラは、恐竜の生き残りという設定が拡大解釈され、絶滅危惧種のようにひ弱な生き物になりました。ほっといても死ぬくらいのひ弱さでした。ファンの間では便宜上パワードゴモラと呼ばれていますが、むしろパワーダウンしていました。

 白亜紀のアルタシア姫の傍に、ゴモラザウルスを立たせるイラストを描きました。はからずも、ウルトラ生物史とコセイドン史観を統一させたような達成感に陥っています。今回は自己満足です。前回の「キョーダイン」イラストの不本意と不評を雪辱したと思います。
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白川エツ子さん


 今回のリクエストは、宇宙鉄人キョーダイン第5話「くだけ!不死身のダダ軍団」より。捕えられて改造カプセルに封じ込められた白川エツ子少尉。参考画像をもとに初めに描いたのが下のイラストですが、ダイキライとガトリンガーばかり目立って、肝心の白川少尉がどこにいるのかわかりません。苦肉の策で、目を開けて顔をこっちに向けさせました。その代償として黒コップさんが要求しておられる緊張感が無くなりました。
 しかし、この絶体絶命の状況から白川少尉がどうやって脱出したのかというと、急に「くだものやさいへんちくりん」というとぼけた歌を歌い出すのです。すると、ダダロイドどもの機能に変調が起こるのでした……「宇宙鉄人キョーダイン」とは、だいたいそんな番組でした。

 白川エツ子を演じたのは堀江美都子。演じたというより堀江美都子そのままです。(余談になりますが、以前、このブログで取り上げた漫画「ゴーゴー悟空」の一コマ。三蔵一行の前に現れた観音様を見て、孫悟空が「堀江美都子さんですか?」と、ボケます。実は、作者の成井紀郎先生が、「ゴーゴー悟空」の前にテレビマガジンに連載しておられた「宇宙鉄人キョーダイン」の白川エツ子少尉と同じ顔だったのです。)もちろん、本業は女優ではなく歌手です。

 堀江美都子さんといえば……特撮イベントのバックステージの準備を覗きにいったとき、いっしょにいた女の子が、『堀江美都子さん!』に気づきました。なんと、私のすぐそばの暗がりの中に立っておられたのです。眼鏡をかけた小さい女の人でした。
 昔…アニメ雑誌で見た、すごくかわいいお姉さんの面影は残っていたのですが、そのときの気分は、羽のボロボロになった蝶を見つけたようでした。

 こんなになるまで、何と戦ってきたのか?
 堀江美都子の歌には悲愴感があります。「超電磁マシーン ボルテスⅤ」の主題歌なんて悲壮の極みです。アメリカ軍に突撃していく沖縄の女学生部隊の絶叫にも聴こえます。
 アニメソングの女王と称されました。実力もあり、人気もあり、その座を脅かすものはありません。
 しかし、デパートの屋上に呼ばれていくと『キャンディ♡キャンディの堀江美都子来たる』と書かれています。全人格を否定されたような暗澹たる気持ちになります。セル画の架空人物に負けたのです。
 これが、キャンディ♡キャンディのいがらしゆみこ先生サイン会ならわかりますが、堀江美都子は「キャンディ♡キャンディ」の企画に関わっていないのです。

 そもそも、アニメ歌手になるつもりはありませんでした。日本コロムビアが育てようとした少女歌手でした。第二の美空ひばりになる予定だったのです。
 美空ひばり候補者は、他に吉田よしみ(天童よしみ)と嶋崎由理(しまざき由理)がいました。この三人で「ハクション大魔王」のOPとEDを歌っています。(美空ひばりになりたかった少女はあと一人いました。淡路島の橋本惠美子。大阪での準決勝で、八尾の吉田よしみに敗退し、漫才師になりました。海原千里。現在の上沼恵美子。)

 堀江美都子を美空ひばりにしなかったのは、アニメ歌手の地位にひきとどめ続けた自分のファンでした。複雑な戦いです。認識力の低い客をあしらいながら、自分の夢と折り合いをつけなくてはなりません。あのとき…キャンディ♡キャンディを歌っていなかったら、毎年の紅白歌合戦のトリは堀江美都子だったかも知れないのです。

 今回、「宇宙鉄人キョーダイン」の放送期間を再確認して驚きました。「キャンディ♡キャンディ」と重なっています。それも金曜7時の裏番組。さりとて…「宇宙鉄人キョーダインの堀江美都子来たる」は、無かったようです。

ガイファード


 「宇宙船 YEAR BOOK 1997」(平成9年3月)。前年1996年・平成8年の作品データ集。この年は大変でした。戦隊シリーズ「激走戦隊カーレンジャー」、メタルヒーロー「ビーファイターカブト」、そして「ウルトラマンティガ」。これらに加えて、新番組「超光戦士シャンゼリオン」と「七星闘神ガイファード」が毎週放映されていたのです。私は「ティガ」と「ガイファード」を録画して、あとの番組は流し見していました。

 「七星闘神ガイファード」はカプコンがスポンサーで、東宝制作。東宝としては「電脳警察サイバーコップ」(昭和63年~平成元年)以来のテレビ特撮。
 「サイバーコップ」には、ワクワクするような新しさがあったのですが、「ガイファード」には新しさが全く感じられません。同時にスタートした「シャンゼリオン」が革新的にハチャメチャだったこともあって、「ガイファード」は保守的で地味でした。
 悪の組織対変身ヒーローの暗闘という昔ながらの正攻法。そこに、とことん理屈をつけるのです。
 主人公、風間剛は武道の達人で鍛えた肉体と気を身につけています。この人物に悪の組織がサイボーグ手術を施し、さらに宇宙生命体が寄生したのがガイファードです。強さの理由づけに何重もの説得力を纏わせています。

 変身ヒーローを見続けてきた者には、制作側が何をしたいのかが手にとるように分かります。ヒーロードラマとしてそつなく、破綻の少ない作品でした。
 そして、予算と時間の問題で表現しきれなかったところも痛いほど分かるのです。その映像を脳内で変換しながら観賞していて、最もしっくりきたのが石川賢先生の漫画です。ローキックで膝裏を狙う闘い方も痛みは伝わってくるのですが、ダイナミックプロ系の、首が飛んだり内臓が出たりする戦闘が、ガイファードにふさわしかったと思います。地味で堅実な作品としてではなく、テレビ史上、最も血みどろで残酷な変身ヒーローとして特撮ファンに記憶されるべきでした。

 YEAR BOOKには、怪人のデザイン画も掲載されています。「シャンゼリオン」は、篠原保さんが一人でやっておられるのですが、「ガイファード」は、数人のデザイナーが参加されています。意外な名前があります。コレクターとして高名な西村祐次さん。「宇宙船」が、いやに「ガイファード」を毎号大きく取り上げていたのは、お世話になっている西村さんが企画に参加していたからかも…?

 今回のイラストは、描きやすいという理由で悪の幹部メタル紫苑を描いたのですが、「ガイファード」と言われて、真っ先に思い浮かぶのは、ヒロインの女子高生の姿です。顔は綺麗なのですが、首が短く肩幅が広い。背が低くて手足が太い。ものすごくずっしりしていました。
 役柄ではなく、鳳龍院心拳という武術の宗家の娘だったそうです。戦闘員と闘っていましたが、蹴りはガイファードより速い。敵の突きを足の裏で受けて返すという空手にも無い技を使っていました。

クリッター


 「宇宙船 Year Book 1998」(平成10年3月)。前年1997年・平成9年に公開された全作品のリストとデータ。そして、小林晋一郎さんと開田裕治さんが「ウルトラマンティガ」を激賞する論評を寄稿しておられます。この世代の人が新作ウルトラマンを褒めることは希有な現象でした。
 現象と見たのは、本誌であの池田憲章先生までが絶賛されていたのです。開田師は、「帰ってきたウルトラマン」以降のウルトラマンはウルトラマンではないと思っていたのが、「ティガ」で認識を変えられたと白状し、小林さんにいたっては「生きていて良かった」という書き出しで始まる冷静さを失った賛辞です。

 「ティガ」については、以前、キリエル人について書きました。人類より先に地球に住み着いていた種族との、存亡をかけての戦いでした。
 今回は、もう一つの種族間闘争だったクリッターとの戦い。

 ティガ世界には、電離層にクリッターという生物種が棲息しています。フライングサーペントとかスカイフィッシュみたいなUMA的存在だったのですが、電磁波を吸収して怪獣化(ガゾート)し、実害が出て、ようやくその存在が確認されたのでした。
 初登場は第6話「セカンドコンタクト」。ガゾート化した一体は退治されます。かつての一話完結方式のウルトラマンシリーズなら、これで事件は解決したことになります。しかし、怪獣は突然変異個体であるとともに種でもあります。第15話「幻の疾走」に再び、ガゾート化したクリッターが降りて来るのでした。怪獣の描かれ方として当然であることに、私は感激しました。

 そして、第28話「うたかたの…」で、クリッターを絶滅させる作戦が発動します。話数が開いているのは、その間に、人類とクリッターの共存の可能性が検討模索されていたのです。結論が出ると、思考を停止し、地球平和連合TPC全支部の空軍が一斉に攻撃を開始します。怪獣を退治するとはこういうことなのだと、ものすごく感動しました。私の「ウルトラマンティガ」への評価はクリッターで決まりました。

 クリッター三部作で、一番好きな場面。
 悪魔のような存在でありながら、キリストをもじった名前のキリエル人。“流氷の天使”クリオネをモチーフにしながら、残酷な性質のクリッター。「ティガ」には、鼻につくようなあざといところがあります。第6話のラストシーン。夕空に昇っていくクリッターを見て、レナに、わざわざ「天使みたい」と言わせています。
 しかし、脚本家が狙ったであろうこのセリフを、レナ隊員=吉本多香美は、持ち前の眠そうな目で物憂そうに吐くのでした。第6話はこの客観的な突き放した一言で締まりました。

 「ウルトラマンティガ」好評の中、レナも人気急上昇でした。アンヌ以来の逸材と目されたほどです。
 吉本多香美は、近年も科学者役やお母さん役でウルトラマンシリーズに出演します。桜井浩子のような存在になってきました。

大群獣ネズラ


 あけましておめでとうございます。ネズミ年ということで「大群獣ネズラ」。背景レイヤーを外すと何食わぬ顔で年賀状に流用できます。本物のネズミをミニチュアセットの中で走らせる映画だったのです。イラストにしてみても、巨大感とか遠近感の出しにくいやつです。

 「大群獣ネズラ」は、昭和39年の大映お正月映画として企画されました。単体ではなく、ヒッチコックの「鳥」みたいに群で襲ってくる無限の恐怖を出そうとしました。
 大群獣を表現するために、まずはネズミをたくさん集めたのですが、そのうちネズミ算式に勝手に増えてゆきました。また、餌についても心配することなく、飢えたら共食いします。
 ただし、良いことばかりではありません。ダニが大量に発生しました。後年、エキスプロでライダー怪人を造る三上睦男さんは、ダニに噛まれてアレルギーで死にかけました。以来、ネズミ恐怖症になったそうです。ドラえもんみたいな笑えない話です。

 ダニは撮影所の周辺にも拡散し、近隣から苦情が出ます。それでも、撮影を続行していたのですが、住民が保健所に通報して、ついに中止命令が出ました。
 ネズミがダメならカメで行けと永田ラッパ社長の一言で決まったのが「大怪獣ガメラ」でした。そういうことで、カテゴリーはガメラに入れときます。
プロフィール

ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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