デンセンマン


 ケイブンシャ「ヒーローロボット大百科」の翌年昭和53年に出た「テレビヒーロー大百科」。表紙のメインは闘将ダイモス。そして、V3、タロウ、ジャン・クーゴ、ガッチャマン、鉄腕アトム、009。特撮ヒーローはV3とタロウだけ。時代はアニメ優位です。ただ、この時点では子供番組をアニメと実写に区分するという考え方は明確ではなかったようです。表紙の七人で放送中の現役ヒーローは闘将ダイモスとジャン・クーゴ。ジャン・クーゴとは「惑星ロボ ダンガードA」の後番組「SF西遊記スタージンガー」の主人公。宇宙の孫悟空です。この時代の子供は、堺正章の「西遊記」とドリフターズの「飛べ!孫悟空」、テレビマガジンの「ゴーゴー悟空」、そして「SF西遊記スタージンガー」と四つの西遊記を同時体験していたのです。世の中は孫悟空で出来ているのかと思っていたことでしょう。

 昭和53年とは、昭和33年に「月光仮面」が始まってちょうど20年。この大百科の副題は「ヒーロー20年史」。基本データ付きの年表が載っています。これをベースにして、新作を追加したり古い作品を挿入したりして、私もヒーロー史を作成し続けています。月光仮面は鞍馬天狗を現代風にアレンジしたものですが、鞍馬天狗から月光仮面登場の間に、頭巾スタイルの剣士ヒーローがたくさんいます。快傑黒頭巾、白頭巾、紫頭巾、まだら頭巾……。あと、多いのが、まぼろし探偵型。黒シャツ、黒ズボンに、黒の簡単な仮面。近年、発見したのが「快傑ハヤブサ」。昭和24年の映画です。日本ヒーロー史の完成が私の使命だと思っています。
 ヒーローの定義の範囲をどこまで拡げるかも難題です。この「テレビヒーロー大百科」にも、“ゆかいなヒーロー”というカテゴリーが設けられていて、デンセンマン、ムキムキマン、カウンタックマン、パンツマンその他が紹介されています。デンセンマンのデザインは石森章太郎先生と云われていますが、私はデザイン画を見たことがありません。そんなこと言ったらマシンマンもブラックも石ノ森ヒーローではなくなるのですが……。デンセンマンは漫画にもなって、秋田書店の冒険王には「釣りバカ日誌」で知られる北見けんいちさんが連載されていました。この人は石森プロではなく、赤塚不二夫先生のフジオプロの人でした。
 ムキムキマンのデザインは小森和子さんと云われていますが、おばちゃまの記憶には無かったようです。「ムキムキマン体操」のレコードは文化祭のバザーでタダ同然で入手してヒーロー史用の資料として保管しています。振り付けは楳図かずお先生ということですが、これもどこまで真実なのか?ヒーロー史完成の道はけわしいのです。
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 たまたま入手したテレビマガジン昭和50年7月号の話が長引きましたが、昭和40年代を怪獣の時代だったとするなら、昭和50年代はロボットの時代であったとは言えると思います。
 昭和52年に発行された、勁文社の「ヒーローロボット大百科」を見てみます。表紙のイラストは「全怪獣怪人大百科」でおなじみの前村教綱さん。ここに描かれているのが当時放映中のものです。
 「超電磁マシーン ボルテスⅤ」東映動画。堀江美都子の歌う主題歌とともに前作「超電磁ロボ コンバトラーV」をしのぐ支持を獲得しました。
 「惑星ロボ ダンガードA」東映動画。偉大なるマジンガーシリーズの後番組。テレビ先行企画ですが、原作を松本零士先生に依頼しています。この時期の東映動画は永井豪先生から松本零士先生に乗り換えたような感があります。
 ロボットブームというなら、東映特撮部門だって腕におぼえがあります。「ジャイアントロボ」をリメイクして「大鉄人17」を世に問うたのですが、実はロボットはロボットでも、アニメロボットに需要があったのでした。
 「合身戦隊 メカンダーロボ」。かといってアニメロボットがみな時流に乗りえたのかというと、やはり栄光なき勇者達の残骸が累々とよこたわっています。
 「ロボット110番」。半球で構成されたロボコンの体型を円筒構造にしたガンガラガンちゃん。前作を超えることはできませんでした。
 「ジェッターマルス」。清水マリさんをキャスティングしての「鉄腕アトム」のリメイク。玩具化しやすいように髪型が左右対称にデザインされました。前作を超えることはできませんでした。
 「ガンバロン」。等身大ヒーローが合体メカを呼んで巨大ロボットを操縦するという方向性は間違っていなかったかも知れません。

 この「ヒーローロボット大百科」は小学生対象ですが、なかなか良いことが書いてあります。基礎知識として、ロボットとはカレル・チャペックの1920年の戯曲「RUR」中の造語であること。映画に登場した最初のロボットは1926年ドイツで作られた「メトロポリス」のマリアだということ等。
 わが国におけるロボットの歴史としては、昭和初期の紙芝居「黄金バット」に鐵タンクなるロボットが登場するのが確認できる。また、ロボットが主人公の紙芝居として「鉄の男」という作品があること。戦前の漫画では「ハツメイ・ハッチャン」にロボットと認定できる物が描かれる。
 昭和31年「空飛ぶ円盤・恐怖の襲撃」から昭和52年「超人戦隊バラタック」まで、日本の映像作品におけるロボット史、決定版ヒーローロボット大年表は圧巻。「おそ松くん」に一回だけ出てきた、5円を入れると頭をなでてくれる“こじきロボット”まで入っています。「空飛ぶ円盤・恐怖の襲撃」が日本初のロボット登場映画であることは周知の通りですが、あのロボットにダレスという名前があることは特撮ファンでも知らない人がいます。私も古いめの特撮ファンの自負がありますが、未見不知のロボットがここに載っています。ただ、この大年表が信頼に足ると確定できるのは、ナース、キングジョー、ユートム、にせウルトラセブン、クレージーゴンは入っていますが、ウィンダムが入れられていないことです。あいつはロボットに見えますが設定では生物です。そして、ロボットとは工業製品ではなく空想の産物であることを再認識できます。

 巻末にケイブンシャ大百科シリーズの昭和52年新刊ラインナップが載っていました。大相撲大百科、野性動物大百科、自動車大百科などはまだしも…「算数パズル大百科」、これは欲しくない。

レーダーバットン・デスギャット


 テレビマガジンの話しは前回で終るつもりでしたが、釈然とせぬ思いが残りましたので、私の思う真テレビマガジンベスト10を提示します。
第1位 仮面ライダー
第2位 仮面ライダーV3
第3位 天才バカボン
第4位 マジンガーZ
第5位 グレートマジンガー
第6位 ジャンジャジャ〜ン ボスボロットだい
第7位 へんちんポコイダー
第8位 パジャママン
第9位 ゴーゴー悟空
第10位 シンセツくん

 第6位まではこのブログに既出です。7位のへんちんポコイダーは永井豪先生の漫画。不定期連載。セルフリメイクのへんきんタマイダーという作品もあり。
 パジャママンは藤子不二雄(藤本弘)先生の漫画。昭和48年12月号から49年10月号に連載されたのですが、FFランドにも収録されていませんでした。ピンポンパンの歌「パジャママン」との関連は不明。
 そして、ゴーゴー悟空。作者の成井紀郎さんは石森章太郎門下。仮面ライダーの企画設定に大きく関わった功労者です。石森プロの人なのですが、テレビマガジンでの最初の仕事はピープロの「鉄人タイガーセブン」の漫画連載。続いて「電人ザボーガー」。そして、ようやく「仮面ライダーストロンガー」「宇宙鉄人キョーダイン」。この「キョーダイン」が、なぜか突然ギャグ漫画になってしまいました。ガブリンクイーン、レーダーバットン、デスギャットが小原乃梨子、矢名見乗児、たてかべ和也のトリオのように、せこい悪さを仕掛けてくるのを、キョーダインが邀撃します。2頭身半くらいで描かれるヒーローがかわいくて評判になりました。そのハチャメチャな設定を壮大な世界観に止揚して始まったのが、「ゴーゴー悟空」です。お釈迦様が作った世界で悪者連合とヒーロー連合が大戦争をしています。観音様の密命を受けて三蔵一行が旅に出ます。登場するヒーローの顔ぶれが凄い。ズバット、ダンガードAら当時の現役から、ライダー、マジンガーらの歴代勇者はもちろん、ウルトラマン、ガッチャマンら講談社との契約の無い者、さらにはナショナルキッド、スーパージェッターら、テレビマガジン創刊以前、または読者の生まれる以前のものまで……。夢のような漫画です。

 テレビマガジンは小さな親切運動という社会奉仕活動に協賛していました。その広報ページに連載されていた4コマ漫画が永田竹丸先生の「シンセツくん」です。小さな親切運動の入会金は50円。年会費100円。原則として10人以上で申し込まなければならないようです。会員になるとバッヂと会報が送られてきます。小さな親切八か条もついでに採録しておきます。
一、朝夕のあいさつをかならずしましょう。
二、はっきりした声で返事をしましょう。
三、人がこまっているのをみたら、手つだってあげましょう。
四、電車やバスの中で、老人や赤ちゃんをだいたお母さんを見たら席をゆずってあげましょう。
五、紙くずなどを、やたらにすてないようにしましょう。
……以下略

飛べ!孫悟空


 話題を進めるつもりでしたが、やっぱりテレビマガジン10年目で採られた大人気投票の結果を検証しておくことにします。
第15位 勇者ライディーン ロボット美の極致と云われるライディーンは安彦良和さんのデザイン。ロータスクーポンを5500点集めるとライディーン人形がもらえるというキャンペーン広告が当時のテレビマガジンに載っています。
第14位 快傑ズバット 前回、テレビマガジンはズバットを推していなかったと書きました。実際、無視していたと書いても過言ではないのですが、よく見たら放映前こそ、盛んに煽っていました。現物写真が無いため記事はイラストで、まだ白くて、名探偵ズバットというタイトルだった期間もあります。
第13位 マッハバロン なんとマッハバロンがライディーンより上位にいます。
第12位 グレートマジンガー ミスターテレビマガジンはここにいます。
第11位 ザウルトラマン 初めてテレビマガジンに掲載されたウルトラマンです。ウルトラシリーズとしても円谷プロ作品としても初。裏事情はわかりません。
第10位 飛べ!孫悟空 実写版も出演者が話題だったのですが、人形劇の方も負けていません。全盛期のピンクレディー、郷ひろみ、山口百恵らが出ています。個人的に貴重だと思うのは、猪八戒が加入する第2話。ストーリーの中心が高木ブーなのです。
第9位 レインボーマン 私の体験的感覚ですが、レインボーマンについてだけは女子と話が合います。女子に支持されてのランクインなのでしょうか?
第8位 電人ザボーガー 70年代のピープロ作品はテレビマガジンがおさえているのですが、二作のライオン丸だけは小学館にとられました。
第7位 マジンガーZ テレビマガジンの守護神はここにいます。
第6位 タイガーマスク二世 私がこの時期のテレビマガジンを買っていた理由です。旧タイガーマスクについての記事もあり、往時の「ぼくら」「ぼくらマガジン」のために描かれた生頼範義さんのイラストが復刻されていたのです。
第5位 黄金戦士ゴールドライタン 玩具が売れた番組。タツノコプロ作品。タツノコではキャシャーン、ポリマー、テッカマンがテレビマガジン。しかし、ガッチャマン、タイムボカン・ヤッターマンを小学館にゆずってしまいました。 
第4位 ゴジラ へ?
第3位 仮面ライダースーパー1 15位までに仮面ライダーが一人だけ……しかも、スーパー1…?
第2位 太陽戦隊サンバルカン 落日の仮面ライダーを尻目に、日の出の勢いなのが戦隊!

 そして、一位がガンダムです。異議を申したくないのですが、仮面ライダー、マジンガーの頃はテレビマガジンが先頭に立って牽引していたのですが、ガンダムについてはブームの後追いでした。ちょっとなさけなく思います。
 少年倶楽部。少年マガジン。講談社の子供雑誌の良心を継承したのがテレビマガジンだと決めて私論を展開してきました。少年マガジンが変節したように、現在のテレビマガジンも体質の違う雑誌になっています。そのことを憂うのが本旨ではなく、ただ懐古するものです。
 良心と書きましたが、「赤い鳥」「銀の鈴」が子供雑誌だと思われていた時代、剣豪潭や探偵物が連載される少年倶楽部は俗悪雑誌の烙印を負っていました。やがて、昭和10年に発行部数75万部の最盛期をむかえるのですが、支那事変勃発後の経済統制にともないページ数削減の勧告を受けます。かの、のらくろも昭和16年10月号をもって連載を終了しました。最終的な休刊は昭和35年なのですが、戦後はついに少年雑誌の王者の地位に返り咲くことはありませんでした。

 少年倶楽部の紙数削減について、若い人のために少しだけ注釈をつけておきます。支那事変が拡大してページ数の制限を受けたと聞けば、戦争で日本経済が疲憊したのだと思われるかも知れませんが、むしろ逆だったのです。戦争遂行という緊急重要事態のために、少年雑誌の付録や漫画を削減するような緻密な経済統制や軍事予算の拡充に議会国民の同意が得られ、生産効率も向上し国力も強化されていったのです。事変前の陸軍は十七個師団だったのですが昭和16年には五十一個師団に増えました。(一個師団は三聯隊)これに世界最強の海軍があります。パラドックスのようですが、支那事変があったからこそ対米戦の見込みがつき、支那事変が終らなかったために対米戦に全力を投入できなかったのです。

レインボーマン


 テレビマガジンの話を今年も続けます。今回のお題は「テレビマガジン全ヒーローアルバム」(昭和56年9月号付録)。創刊10周年を記念して作られた付録です。9月号で配布されたアルバムに、同年の9〜11月号までに付いているカラーカードを貼り込んでいくというものです。10年間に掲載された実写、アニメ、漫画が収録されています。おそらく、テレビマガジンの価値に最初に気付いたのは、ほかでもなくテレビマガジン編集部だったのだと思います。購読年齢が限定される雑誌なので、これを10年間読み続けたという人は考えにくいし、10年分が保存されている場所といえば講談社の資料室ということになります。

 まず実写ヒーローを見てみます。仮面ライダーしか無いと言っても過言ではありません。70年代変身ブームの頃、ウルトラ兄弟は小学館の専属だったのですが、他に、キカイダー、ミラーマン、ライオン丸ら良い選手は小学館に持っていかれて、テレビマガジンは流星人間ゾーンとか白獅子仮面みたいな貧乏籤ばかり引いています。アニメロボではゲッターロボとコンバトラーVを逸したのが痛恨。昭和51年創刊の小学館のてれびくんは、ゴレンジャー、ロボコン、コンバトラーで部数を伸ばし、テレビマガジンに仇をなします。
 漫画については、10年の間に水木しげる、手塚治虫、桑田次郎、藤子不二雄といった大先生が執筆されていました。仮面ライダーシリーズの漫画連載は石森プロの人達によって描かれたのですが、アマゾンだけは石森章太郎御大本人の名義です。天才バカボンの作画記銘は赤塚不二夫とフジオプロ。しかし絵柄は赤塚先生のものではありません。漫画家の写真も載っています。「ジャンジャジャ〜ン ボスボロットだい」の真樹村正先生。公衆便所を秘密基地にする性欲の塊のようなボロットの作者は、意外にも端正な貴公子面。
 この付録アルバムが優秀なのは、イラストレーターとその作品にページが割かれていること。テレビマガジンではアニメ作品の図解にセル画を使わずリアルなイラストが描き起こされました。高名な小松崎茂先生にもマジンガーZが依頼されました。

 9月号で人気投票が募集され11月号で発表されます。1位は圧倒的に機動戦士ガンダム、2位が太陽戦隊サンバルカン……そういう時代なのですが、9位にレインボーマン、14位に快傑ズバットが入っています。宇宙船の人気投票でも上位に入った不思議な二作品です。しかも、テレビマガジンは放送当時、ズバットをそれほど大きくあつかっていません。漫画も読切りが一回載っただけ(作画は「超人ロック」で有名な聖悠紀さん)。ズバットを推していたのは、むしろ徳間書店のテレビランドでした。
 レインボーマンの上位ランクインについても謎です。最終掲載時期は昭和48年。昭和56年の選挙に投票されたとしたら、その人は何年間テレビマガジンを読んでいたことになるのでしょうか?小学生とは思われません。なお、レインボーマンの漫画を連載されていたのは、あだち充さんです。
      つづく
プロフィール

ハヌマーン&さとる

Author:ハヌマーン&さとる
怪獣本・特撮書籍の蒐集。

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